​​▼第609号
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                     2025/02/11

夏野剛メールマガジン 週刊『夏野総研』
          vol.609
                       【さよなら、日産】
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《目次》
01.先週の出来事
02.時事ネタPICKUP15
03.フカボリBiz
04.Q&A
05.ありか、なしか!
06.時事ネタ キュレーション
07.編集後記

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【01.先週の出来事】
社会問題からプライベートな話題、訪れたレストランまで、「先週あったこと」をベースに、夏野剛の頭の中やプライベートを覗いていくコーナーです。
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◆2025/02/03-2025/02/09

 トランプ大統領が就任して3週間。さっそく無理ゲーなことをたくさん言い出して、世界は大混乱すると思ったが、そうでもない。
 ということで、今回は「常識と非常識」について考えてみたい。

 通常であれば有名人が非常識なことを言うと、大炎上する。そして、メディアや社会から攻撃される。
 私自身もはっきりとした物言いをすることで、たとえそれが真実であっても「不適切な発言」ということで何度も炎上したことがある。

 ところが、トランプ大統領はどうか。
・アメリカがグリーンランドを買収するべき
・アメリカがパナマ運河を取り戻すべき
・パレスティナのガザ地区から住民をすべてヨルダンに移住させ、その跡地はアメリカ直轄地としリゾート開発するべし

 これらはもう、大炎上必至のメチャクチャな意見だ。
 第二次世界大戦以降、武力による国境の変更や、住民の意思ではない強制的な移住などは絶対にいけないことだという建前で外交が行われていた。にもかかわらず、その前提を超大国のアメリカ自らひっくり返す発言。
 しかもそれらを実現するために関税や武力の行使を否定しないというのだから、一気に19世紀に戻ったようなとんでもない話である。

 そのほか内政においても、
・連邦職員は全て出社すべし。リモートワークは認めない
・海外援助は全て凍結。USAIDという組織も解散
・「メキシコ湾」を「アメリカ湾」と改名
など、トンデモ政策を大統領令として続々打ち出している。

 それどころか、
・オハイオ州スプリングフィールドでは、移民が犬猫を食べている
・LAの山火事は州が水の供給を絞ったせいだ
・ワシントンDCの飛行機事故はダイバーシティ推進政策のせいだ
 などという、全く根拠がないばかりか、素人から見ても信じることはなさそうな迷言も目立つ。

 トランプ大統領のこれらの発言に対する国際社会の反応は惨憺たるものだが、アメリカ国民は半ば諦めているのか、デモも起きないし、大統領罷免の動きも一切ない。
 メディアも大非難キャンペーンをやるのかと思ったが、そういった動きはない。

 そう「トンデモなさすぎて、炎上することもない」ということなのだろう。