岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/11/29
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2017/11/12配信「『シン・ゴジラ』のオンエアを見ながら解説します!」の内容をご紹介します。
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2017/11/12の内容一覧
- 前説・放送開始まで
- キンコン西野との本どうなった?
- コモドールPET2001
- 『おそ松さん』見たよ
- 『シン・ゴジラ』スタート
- 蒲田に上陸
- 俳優が嫌がるカット割り
- ゴジラの変形
- アニメの構図 左右対称構図
- 巨大不明生物特設災害対策本部の設立からゴジラの命名まで
- 石原さとみの演技
- ゴジラの正体から自衛隊の敗北まで
- 庵野作品はエリート主義
- レンズの選び方
- 本物の自衛隊による総力戦
- 冷房付き格納庫の話
- 邦画がこれから向かうべき方向
- 下向いて口を開けるのがすごい
- 首相の交代は必要だったのか?
- 休憩
- 巨災対再集結から米大統領からの核使用宣告まで
- 映画の盛り下がりを作る
- この映画で一番頭のいいやつ
- 謎の解明と人間関係の解決シーンが弱い
- テレビでは言えないセリフ
- 『エヴァ』の人間否定から、『シン・ゴジラ』の人間賛歌へ
- カメラマンの腕
- まとめ
- 『空手バカ一代』を語るよ
俳優が嫌がるカット割り
(0:17:40 東京都品川区国道15号のシーン~)
ああ、やっぱり、こういうふうに東京都内に車が並んでいるという光景は、画になるよな。
で、はい、怪獣が車を薙ぎ払いながらやって来る。この車の吹き飛び方は、実はリアルというよりは、漫画的なんだよな。ちょっと極端なんだけど。でも、ここは極端に漫画っぽく見せた方がいいシーン。
そして、次にここで「可哀想な人たちがマンションごと殺されちゃう」というシーンをきちんと入れるわけだ。おお、マンションの壊れ方がいいね。底の土台の部分から折れて倒れるっていうふうに見せている。ここら辺は、初代『ゴジラ』の上陸シーンの「お父さんのところまで行くのよ!」に近い感じだな。今の東宝で「遠慮なく人間を殺すゴジラ」っていう企画を通すのは、なかなか大変なんだよ。
この、会議で人が喋っている画面に法律の条文が被るのは面白いね。この「延々延々、法律に振り回されて話が進まない」という場面で、その前提となっている条文を画面にバッと出すというのは、実はギャグなんだよな。
でも、それ以上に、これをやることで画面全体の見栄えが変わる。『シン・ゴジラ』では、とにかくアブノーマルな構図や、こういった見た目の移り変わりというのを最優先して画面を作っている。
なぜなら、この映画って、放っておいたら部屋の中で人が話しているだけのシーンばっかりになっちゃうんだよ。さっきみたいな面と向かった会議のシーンというのは、緊迫感があるように見えるんだけども、これをずっと続けてたら、すぐに単調化するんだ。だから、今の、法律の条文がそのまま表示されるみたいな、見た目的に面白い場面を入れている。
で、総理を含めて、防衛出動するかどうかの話し合いのシーン。
この総理の「防衛出動は大変だぞ」みたいなセリフの言い方、僕は「ああ、やっぱりダサイな」と思うんだけど、そう思った瞬間に、カットがパンと切り替わっちゃうでしょ? これを演じている俳優さんは、こういうの、すごく嫌がるよね。
これを演じている俳優としては、「悩んでいる中、決心する」というところまでをワンカットで見せたいはずなんだよ。それが演技だから。こんなふうに細切れにされると、演技なんて見せられないんだけども、ここでは細切れにしちゃってるよね。つまり、「俳優を使い倒している演出」だというのが、ここでわかる。俺はね、これが邦画の新しい形、映画の新しい形だと思うんだけど。まあ、実際に演じている俳優としては、こういうのを嫌がるよね。
ここもいいね。総理に結論を迫る人達の顔がどんどんアップになってきて、総理を映すフレームもどんどん顔に寄って行く。そして、すぐ次には「防衛出動を総理が宣言」というニュースが流れる映像に変わる。「では、宣言する!」みたいな、苦渋の決断をするシーンは画面に映らないじゃん。これも、やっぱり俳優としては、やりがいがない。かわいそうにな、本当に(笑)。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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