7月号連載記事
■競争戦略の核心その2 ブランド力
●ブランドとは何か
「ブランド」という言葉は、日常よく使います。しかし改めて「ブランドって何?」という問いかけをされると、なかなか説明するのが難しいものです。私はブランドの要素を、大きく次の三つに集約します。
1)(一流と評価される)洗練されたカッコよさ
2)自分自身の表現手段
3)内容に関する信頼
●洗練されたカッコよさ
1)の「洗練されたカッコよさ」は、欧米の一流時計・化粧品・ファッションブランドなどに顕著な要素です。この要素を欠くと、高額な一流ブランド品として販売するのは困難でしょう。
「カッコよさ」を構成するのは、「王室御用達」などの格式、一流デザイナーによるデザイン、数百年にわたる伝統、創業のドラマチックな物語、そのブランドを愛用している人々自身のカッコよさをはじめとして無数にあります。
特に最後の「愛用している人々自身のカッコよさ」は極めて重要でしょう。
端的に言えば、高額なブランドを購入する人々は、そのブランドを購入することによって「一流の洗練された人々」の仲間入りをしたいのです。ですから、 「成金国」の「成金」の人々が、金の力にものを言わせて買いあさるのは、本来ブランドにとってプラスではありません。「成金」に見られたくて高級ブランド を買う人はまずいないでしょう・・・
ですから、欧州に行けば高級ブランドの店は「うちの店にふさわしく無い方はお引き取り下さい」というような雰囲気を漂わせています(もっとも、こぎれいな格好をして札束を積めば「売ってくれない」ということはありませんが…)。
別に高級ブランドではなくても「洗練されたカッコよさ」は重要です。
例えばナイキのシューズをはじめとするスポーツ用品。「カッコいい洗練されたスター選手たちが愛用している」ことが重要なポイントです。ブランド愛用者 たちの大部分は、それらのスター選手の後を追うべく、バスケットボールやサッカーの練習に励んでいるわけではありません。それでも一流の選手が使用してい るブランドというのは強い力を持ちます。
さらにもっとカジュアルなブランドで言えば、「レッドブル」。エナジードリンクの中でも強いブランド力を持っていますが、同社はそのブランドを確立する ために、モトクロス、セスナ飛行機などのレースを、巨額の費用をかけて開催しています。「レッドブル」とこれらのカッコいいスポーツ大会が結びつく= 「レッドブルを飲む人はカッコいい」となるわけです。
コカ・コーラも同様の戦略をとっています。同社の広告戦略の巧みさは有名ですが、象徴的なものは、数十年前に放映された山の頂上で大勢の若者が歌を歌っている有名なコマーシャルでしょう。
コカ・コーラと、若者が山の上で歌を歌うことには何の関連もありませんが、これらの広告戦略がコカ・コーラのイメージを決定づけ、消費者にペプシコーラではなく、コカ・コーラを選択させているのです。彼らがコークを選ぶのは、決して味が良いからではありません。
<続く>
続きは、産業新潮
http://homepage2.nifty.com/sancho/7月号をご参照ください。
(大原浩)
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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)