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 先々週からの一方的なドル安の要因は何だったのか?

 日本円も対米ドルでは、7月10日の114円台から僅か10営業日で110円台まで買われました。
 目に付いたのは新興国(特に資源国)の通貨高と債券高です。両方が同時に買われていましたが、これが所謂、米国金利の上昇期待が下がったための資金移動(逆流)なのか、または単なるショートカバーだったのかは不明です。

 足下の各指標からは為替を大きく動かすほどの変化は感じられませんでしたが、先々週辺りからはFRBのスタンスに若干の変化を感じるニュースが増えています。ユーロでも緩和策を見直す発言が増えていましたから、ユーロ・ショートの巻き戻しが中心になっていたのかも知れません。
 VIX指数が下げているとのニュースも増えていますから、このレンジ相場に変化が出たときはちょっと怖くもあります。


 それにしても世界的な金融緩和の影響から投機資金の活発化がうかがえます。
 これらの短期資金はここ数か月ほど日本市場を離れているようですが、動き出してトレンドが出ると一方的に且つ大きく動きます。株式市場に限らず為替でも債券市場でも機械的な売買による無機質な動きも感じます。


 各種統計からは世界的な景気回復の芽が多少なりとも出てきているようですが、とは言え為政者たちが期待するほどの回復の芽は見当たりません。
 また日本に至っては一部の輸出企業は潤っているものの回復とまでは言えそうもありません。第一四半期の業績発表が始まり若干なりとも景気持ち直しへの期待感も出始めていますが、余り力強さを感じられません。


 雇用増や企業増益となっても賃金は上がらず、どちらかと言えば、若干程度の賃金増加があっても社会保障費の上昇がその増加分を打ち消しています。
 ここ10年程を見ても社会保障費は着実に増えています。足元では毎年約30万人の人口が減り、2020年を過ぎれば毎年40万人を超える人口減少(=内需の減少)と労働生産人口の減少が顕著になります。

 成長戦略はもとより、日本にとって人口問題と財政問題は喫緊の課題ですが、視聴率が取れないためメディアが取り上げず、結果として政治も行政も動きません。
※日本のメディアは本当に役に立ちません。


 対米ドルで110円~120円程度の上下で一喜一憂しているうちに根本的な問題、すなわち目に見える形での国力低下と日本円が趨勢的に下落する環境が迫っているのか。

 このままでは日銀は行き着くところ(金融政策の限界)までベースマネーを供給し続けることになるような気がしてなりません。


 バラエティー番組の最強コンテンツになってしまった加計学園問題など、国会での情けないほどレベルの低い議論を見るにつけ、将来を悲観せずにはいられません(苦笑)


 「一億総活躍」などの意味不明の標語や日本復活待望論などに惑わされず、着実な将来設計や資産分散が必要と感じる昨今です。


(街のコンサルタント)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)