マネーライフプランニングの梶原真由美です。
今回は最近読んだ本の紹介をしたいと思います。
テーマは「老後へ向けての資産形成」です。
雑誌やメディア等で「老後難民」「老後破産」「下流老人」など、老後に関するネガティブワードを目にしない日はありません。
なぜなら我が国は、前例のない超高齢化社会を迎えようとしているからです。
平成27年度の日本総人口における65歳以上の割合は、26.6%です。
将来人口推計データによると
平成42年(2030年)には31.2%
平成62年(2050年)には37.7%
となるそうです。
ここに少子化の影響も重なるので、単純に考えても現在の社会保障を変わらず受け続けることが出来るとは思えません。
そこで今後は各人の「自助努力」が必要で、将来への資産形成の為に
「貯蓄から投資へ」20年間程と言われ続けているのですが、実際に
「貯蓄から投資へ」は殆ど進んでいないようです。
なぜ「貯蓄から投資へ」は進まなかったのか?打開策はあるのか?
これらの答えを求めて、
フィデリティ退職・投資教育研究所所長の野尻哲史氏の著書
脱老後難民「英国流」資産形成アイデアに学ぶ
(日本経済新聞出版社)
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を読みました。
野尻氏は、この「貯蓄から投資へ」が進まなかった理由を分析するとともに高齢化社会へ向けてすべき「資産形成」のヒントは英国にあるとしています。
著書のポイントを私なりに要約すると
・デフレが長く続いた事で、結果として現金や預金を持っていることが有効な方法となってしまっていた。
・日本人の「貯蓄」の所有者の2/3は高齢者であり、「貯蓄から投資へ」は高齢者が預貯金を取り崩して株式や投資信託を買うなどのリスクを取れ!という意味に捉えられてしまった。
・金融教育が不足している
・「貯蓄から投資へ」ではなく「収入から投資へ」資金を向かわせるべき。
・日本は英国よりも高齢化が先に進むのにも関わらず、対策は進んでいない。
・英国は2000年から高齢化へ向けての金融制度改革を開始している。
・その最たるものは企業年金制度改革(企業年金の強制導入・従業員の自動加入)である。
・日本もNISAやiDeCoなど、国民の資産形成自助努力の為の後押しとなる制度を導入してきたが、その制度設計にはまだ課題が残る。
・目標は「全ての働く人の資産形成を後押しする制度」
私個人の感想としては
長期的には国民全体の金融リテラシーの底上げと金融制度改革が必要不可欠。しかし高齢化対策は喫緊の課題であり、悠長な事は言っていられない状況。
そこで英国のように企業年金自動加入等、「収入から投資へ」の強制力を持った制度導入も必要なんだろうと感じました。
やや専門家向け(金融機関やFP)の内容となっておりますが、この本からみなさんが学べることは以下だと感じました。
・高齢化に対しての危機感を正しく持てる
・世代によって資産形成の方法は異なる理由
・収入の一部を資産運用に回すことの効果
・未完成ではあるが各種制度(NISA・DC)の改善を期待しつつ、すぐに取り入れる必要性
内容に興味をもたれた方は本を手に取り、まだNISAやiDeCoをスタートしていない方は、これを機会にスタートされてみてはいかがでしょうか?
(梶原)
プロフィール:梶原 真由美(かじはら まゆみ)
ファイナンシャルプランナー。株式会社マネーライフプランニング所属。
1976年千葉県生まれ。40歳で出産、12歳年下の夫と長女の3人家族。
26歳の時にスノーボード追突事故で両足骨折する。賠償金で大金を受け取
るも、当時お金に関する知識が皆無だった為、安易にFXなどに手を出し、
あっという間に使い果たす。
他の人には同じ失敗をしてほしくないとの想いで30歳の時にお金のアドバ
イザーであるFPへ転身。
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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)