産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/
3月号連載記事
■組織は凡人を非凡にすることができる
●一+一=三になる
数学の公式で「一+一=二」は誰でも知っています。そしてこの公式は普遍的であり、変わることがありません。また、現実の世界でも、佐藤浩市が某社のコマーシャルで語っていたように「力を合わせれば一+一=三になるというのは幻想であり、一+一はあくまで二にしかならない」と考える人々も多いようです。しかし、それは間違いです。
そもそも、一+一が二以上にならないのであれば、それぞれ一のままでいた方がましです。例えば、自営業者・フリーランスは一です。その一が集まって組織を作ってもメリットが無いのであれば、一億総フリーランスになった方が、国民にとって良いということになります。なぜなら組織に属すれば、当然のことながら組織のルールに拘束され、個人の自由が多少なりとも束縛されるからである。逆に言えば、組織の目的は、一+一=二以上のものを生み出すことであるともいえます。
●組織人が独立してうまくいかない理由
もちろん、大企業などの組織を飛び出して大成功したベンチャー起業家は数え切れないほどいますし、私の知人・友人にもそのような成功者は多数存在します。だから、例外が存在することを否定しませんが、一般的に言えば、組織人が独立して成功する可能性は高くありません。成功者は、メディアなどで繰り返し取り上げられるから目立ち、失敗したものは世の中から忘れ去られるから目立たないだけのことなのです。
「大企業を飛び出して独立したのはいいが、世間の誰も相手にしてくれない」というのはよく聞く話です。大企業の看板を背にしていた時には、その影響力に期待してもみ手ですり寄ってきた人々も、その看板が無いただの人は無視するというわけです。
確かに企業(組織)の看板(ブランド)は、一+一=三になる好例でしょう。よほどずば抜けた才能を持つ人物でなければ、一のままで強力な看板(ブランド)を築くのは困難なのです。
しかし、問題は看板(ブランド)だけではありません。ドラッカーが常々主張するように組織では「強みを生かす」ことができます。よく、大きな組織の中では埋没して個人の特質が生かされないという人がいますが、それは全く逆です。
組織の中では、基本的に不得手なことはする必要がありません。例えば、営業担当者が会社の経理や税務申告を担当することや、経理担当が重要クライアントとの交渉を行うことは滅多にありません。それぞれの長所が生かされた部署に配属されていれば、得意分野だけに特化するわけですから一+一=三になるのも当然です(ただし、配属=人事には最新の注意を払わなければなりません。長所どころか短所である分野に配属してしまえば、一以下の仕事しかできませんし、全体としても一+一=二以下の成果しか上げられない可能性も出てきます)。
それに対して、独立すれば基本的にすべての作業を一人でこなさなければなりません。税理士の協力を仰ぐにせよ、営業担当者時代には見たことも無い決算書を作成し、税務申告をしたうえでその結果に対する最終責任も負わなければなりません。また、逆に経理担当者時代には、業者に命令していたのが、個人事業ともなればすべての人に頭を下げて機嫌よく仕事をしてもらわなければなりません。
続きは「産業新潮」
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3月号をご参照ください。
(大原浩)
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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
ては御自身の責任と判断で願います。)