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 桜の花びらが散る中、日本では新年度が始まりました。
 海外からは「貿易戦争」懸念、一方、安定政権が続いてきた国内政治の混迷懸念もあり、明るくない環境でのスタートではありますが、氣分改め良い年度にしていきたいものです。


 株式相場は、1月から月足が陰線続きに加えて乱高下激しいワイルドな動き。
 同様に、ドル円相場も1月から月足は陰線続きで、3月期末106.28というサポートの節目105円を辛うじて耐えた場所で終わりました。

 日米の政治リスク、とりわけ米国政府が通商政策で「どんなカードを出してくるか分からない」不安を考えると、円高への警戒感は引き続き続くことが予想されます。かつての日米貿易摩擦の時代とは状況は異なりますが、やはり輸出企業の業績への影響が心配されます。
 また、例年は3月には期末要因で円高になる傾向があり、新年度入りで新規の外債投資も入り反動が入るという傾向がありましたが、今年度は同様だとは予想しがたいです。


 さて、米国の金融市場では、長期金利が頭打ちになっています。貿易戦争懸念も影響しているとされ、10年米国債は、このところのピーク2.95%から直近2.7%台まで反落。1月の雇用統計で懸念された賃金上昇も、以後の数字が上昇を懸念するような裏付けが見受けられず来たことも要因になっています。

 そんな中で、今週は3月の米国雇用統計が4月6日に発表されます。
 3月のFOMC(米国の金融政策決定のための会合)では、新FRB議長のパウエル氏が終了後の記者会見で、これまでの議長以上に、データを重視する姿勢を伺わせました。

 今回の雇用統計では、今のところ、3月の非農業部門雇用者数増減の予想中心値は、前月比プラス18.5万人、失業率予想は4.0%と伝わっています。2月の数字(+31.3)からの反動は予想されるものの、雇用者数の伸びは示されるだろうという予想が大半です。米国の雇用状況が良いのは織り込み済みで、注目されるのは、賃金上昇率の加速を見ることができるかになります。インフレ率が目標値の+2%へとFRBが自信を持てるか、それによって今後の利上げ頻度への裏付けが作られていくと思われます。


 短期金利が順調に上昇する中、上にも記したように、長期金利には頭打ち感が出てきています。
 それを映してか、今後のインフレ期待をより反映する10年債と、今後の金融政策動向を反映するとされる2年債の格差が縮小しています。

 この利回り格差は、株式相場を見るうえでも参考になる指標です。
 2年VS10年スプレッドは、2010年以降では2.8%(2010年3月)をピークに上下しながら、直近で0.49%と、この期間に限っていえば現水準が最も縮小しています。
 2年VS10年スプレッドの逆転(短期金利の方が長期金利よりも高い状態)は、株式市場の相場転換のシグナルとしても注目されます。
 例えば、最近で逆転したのは2006年12月でした。

 昨年末に米政府が打ち出してスタートした減税政策の米国景気への貢献度は大きいと思いますが、その恩恵にも賞味期限があるでしょう。リーマンショックからの米国の景気回復の道のりは10年近くにも及びます。金融政策正常化のプロセスである利上げで短期金利が上昇する中、期待インフレ率の上昇を伴わないのであれば、将来的には長短金利差は縮小して利回り曲線はフラット化していくのではないかと思われます。


 ドル円相場は、貿易戦争懸念、特に米中の駆け引きに左右されて、上値重く、方向性が見えにくい展開が続きそうです。
 日本の薬品会社による過去最大の海外企業買収検討の報道や日朝首脳会談開催の報道等はドル円の下値をサポートに作用しましたが、結果としては一時的でした。


 日本円のみならず、ユーロも方向感がはっきりしない展開が3月月初から続いています。

 主要通貨の対米ドルパフォーマンスで目立つのは、メキシコ・ペソ、韓国ウオン、(BREXITで進展のあった)英ポンドの上昇、一方で下落で目立ったのはブラジル・レアルで、多くの通貨の変動は限定的でした。


 4月の為替相場。3月までの第1四半期が政治要因に振らされてきたので、この辺りで経済指標に注目が行く相場になるか。まずは、今週金曜日に出る米国雇用統計への反応から見ていきたいと思っています。


 相場格言に、「2日新甫は荒れる」があります。2日から市場が始まった4月。慎重に行きたいものです。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※4月4日東京時間17時執筆
 本号の情報は4月3日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)