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ドラッカー18の教え 第14回
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ドラッカー18の教え 第14回

2018-04-26 08:39
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    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/
    5月号連載記事
    ■大きければいいというわけではない


    ●大きいことはいいことだ?


     私と同世代かそれ以上の方なら、山本直純氏が出演したエール・チョコレート(森永製菓)の「大きいことはいいことだ!」というコマーシャルをご記憶のことでしょう。当時はまだ高度経済成長時代で、規模さえ拡大すれば、業績(利益)は後からついてくると思われており(実際かなりの部分においてそうだったのですが・・・)、「大きさ」を追求する世相をうまくとらえて、このCMは爆発的にヒットし、おかげでエールチョコレートもかなり売れました。

     今では、やたら規模だけ大きくても仕方がないということは、大手金融機関・企業の破たんによって、世の中に知られるようになりましたが、それでも企業経営者の報酬は、会社の業績やクオリティよりも、規模によって大きく影響されます(儲かっている町工場の社長よりも、赤字経営のグローバル国際大手企業の経営者の方がたくさんの報酬をもらうのが普通です)。


    ●「目的のある組織」


     ドラッカーはGMなどの米国大手企業のコンサルティングで有名ですが、実際のところは、いわゆる中小企業のコンサルティングもかなり行っており、病院などの非営利法人の運営にもかなり深くかかわっています。

     そして、ドラッカーにとっては病院も、軍隊も、教会も、企業も「組織の形態の一つ」であり、「組織の根本原理」は、形態が変わっても同じだと述べています。ただし、組織には「目的がある組織」と「目的が無い組織」があり、企業は前者に入ります。企業の目的はそれぞれ違うでしょうが、企業ホームページを開けば、目的と書いては無くても、その企業がどのような理念で設立され、何を目指し、何を成し遂げてきたのかが必ず書かれています。

     そして、企業の最大の特徴は、「決算書という通信簿で評価される」ということです。経営者は「口先だけではなく、実績を上げなければ評価されない」のは当たり前のことのように思えますが、他の組織には見られない特質なのです。そのため、企業というのは「実績を上げる」のに極めて適した組織であり、近代になってから、企業の勢力範囲が急拡大したのも納得できることです。

     企業においては、実績を上げなければなりませんから、必要以上の人員を抱えることもできませんし、身動きが取れないほど肥大化することも最終的にはできません。もし、必要以上に肥大化してしまったら、結局のところ目的を達することができずに自滅します。

     要するに、企業のような目的のある組織は、「目的を達成してしまう」か、「目的を達成することができなくなる」状況になったら、解散・消滅する運命にあるのです。


    ●「目的の無い組織」

     「目的の無い組織」といわれてもピンと来ない方が多いと思いますが、世の中には「目的の無い組織」があふれています。典型的なのは、家族(家庭)や町内会でしょう。家族や家庭は、何かの目的の(何かを成し遂げる)ために結成されたわけではありません。「存在することそのものに意義がある」組織なのです。ですから、「目的を達成したから解散する」とか、「目的を達成できなくなったから消滅する」ということはありません。子供が勉強ができないからと言って、家族を解散させてしまう親は(たぶん・・・)いないでしょうし、町内会の野球チームの足を引っ張るからと言って、誰かを町内会からリストラすることも現代では(昔は村八分というものがありましたが・・・)考えられません。

     そして、目的の無い組織の中で最も巨大なものが国家と言えるでしょう。帝国主義時代の欧米の国々(政府)のように、他国を侵略蹂躙し領土を拡大することが目的であった時代もありますし、多くの(共産主義)独裁国家(政府)の目的は独裁者(共産党員)の私腹を肥やすことにあるのは確かです。しかし、すくなくとも日本を含む先進国においては、「国民の生活基盤としての国家」を安定的に持続することが「存在意義」です。つまり、日本という国家で何かを達成するのではなく、国家が永続し国民が幸せであることが「存在意義」なのです。

     これは(共産主義)独裁国家やかつての欧米帝国主義国家に比べれば、はるかに素晴らしいことです。しかし、大きな問題も抱えています。

    (なお、国家は「政府」とは異なります。国家は家族のような国民の集合体ですが、「政府」は国民から委託を受けその目的を達成するための組織です。共産主義独裁政府などは、国家という組織から委託を受けた目的から逸脱した行動をとっているということです)


    ●予算主義の弊害

     最近はましになりましたが、それでも3月末が近づくと、あちこちで道路を掘り返し渋滞を引き起こします。もちろん、余った予算を消化するためです。これこそが「目的の無い組織」の最大の問題点です(本来政府や行政は目的があるのですが、その目的の「達成」を事実上誰も監視していません)。達成すべき目的が無いから、一生懸命努力して、費用を安くしても、予算が余ってしまえば「予算が余っているなら他に回そう」ということで、翌年から自分の部署の予算を減らされてしまうだけです。これでは、仕事を合理化したり、コストを削減するインセンティブが働きません。少しでも知恵の働く人間なら、「仕事そっちのけで何の役にも立たない予算獲得のプランを次々と考えて、獲得できる予算を最大化するよう必死の努力をし、とにかく組織を拡大(肥大)させることに奔走する」はずです。我々がイメージする官僚・役人のイメージはこのようなものですが、彼らが悪人というわけではありません。目的の無い組織では、「組織の存続そのものが存在意義」ですから、むしろ彼らの行動は理にかなっているのです。

     問題は人間の資質ではなく、組織の在り方です。国家そのものに目的は無くても、国家を構成する政府の個々の組織には、本当は明確な目的があります。必ず、なんらかの目的を持って政府組織が発足しているはずです。ところが、多くの政府組織が「目的が無い組織」であるがごとく振る舞うのは、目的はあっても「評価」が無いからです。例えばある政府組織が、「国民の幸福度を向上する」ために結成されたとします。しかし、国民の幸福度は簡単に数値化できませんから、世の中の人々から「俺(私)はまだ十分幸福じゃない」と、常にクレームを受け、その政府組織の予算も人員もどんどん肥大します。これがまさに、日本をはじめとする先進国の医療、年金をはじめとする社会福祉が破たんしつつある原因です。

     「目的のある組織」の特徴である「数値による評価」の手法を取り入れ、「費用対効果」の概念を導入しなければ、この問題は絶対に解決できません。


    ●企業の中の「目的の無い組織」


     残念なことに、「目的のある組織」であるはずの企業の中にも「目的の無い組織」があります。それがいわゆる間接部門と呼ばれる部署です。この間接部門と呼ばれる部署は、企業の運営にとって重要であるにもかかわらず、目的の達成度合いの評価を数値化するのが困難であるがために、政府組織と同様の問題を抱える場合が非常に多いのです。ここでも、「明確な目標の設定と評価の数値化」が極めて重要なわけですが、そうはいっても、例えば人事や経理の仕事が会社の業績にどのように貢献したのかを数値化するのはとても困難です。

    (続く)


    続きは「産業新潮」
    http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
    5月号をご参照ください。


    (大原浩)


    *2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」(JKK)を設立しました。HPはこちら https://j-kk.org/


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    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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