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個人投資家の皆さんにとってIPO市場の存在はどのように映っているでしょうか。
今まで聞いたこともないような企業が一定の手順で関係者とともに上場に向けた手続きや準備をした結果、晴れて上場が承認されると企業のブランドとともに社会的に存在感を示せることになります。
その最初の一歩が企業の株式を見ず知らずの人に投資してもらうIPOです。
IPO企業は未知数ながら時代を映す鏡のような存在と言えるのではないでしょうか。
今年も12月は25日までに19銘柄がIPOする予定。
その中にはAI関連銘柄やドローン関連などの有望銘柄が含まれています。
事業の内容もさることながらIPOを今後の企業成長に向けた契機として、経営者が率先して発展に向け取り組む姿勢が感じられれば投資家はそれに賛同してリスクマネーを投じることになります。
しかしながら、現在のIPO市場はキャピタルゲインを主体にした目先の利益優先の短期投資家が潤う機会を与える場になっている感が致します。
IPOがゴールになるような企業は論外で成長指向も見出せない企業にはIPOする資格はありません。
一方の投資家も公開価格で手に入れたIPO株を初値やその後の高値で売却するだけの存在となっているのかも知れません。
お祭り騒ぎのようなIPOから時間の経過とともにその企業は存在が忘れ去られる運命にあるというのは筆者のこれまでの経験から来る冷めた見方かも知れませんが、IPO後に企業は自社のファンとも言うべき投資家との関係をつなぎ止めようとIR活動に注力します。
昨年7月のIPOから1年以上を経過した企業で「億の近道」で話題となったクロスフォー(7810)という山梨県・甲府市に本社を置く宝飾品メーカーがあります。
同社は自ら特許化したダンシングストーン(揺れ続ける宝飾品)をコアの商材として世界の有名ブランド宝飾品企業への部品提供を通じて消費者に販売しようとしているユニークな企業だということはご存知の通りです。
日本発世界企業となるべく社長自らアイデアあふれる製品を世に送り出そうと懸命に頑張っています。
公開値730円に対して初値は1051円という比較的穏健な水準でしたが、その後の高値は1810円(2分割換算で905円)までありました。今年になってIPO後の前期決算見通しを大幅に下方修正したことから、その後の株価は大きく下落してしまいました。
同社のビジネスは直接自社製品を消費者に販売していませんが、最終的には一般消費者に身につけてもらう必要があり、株価の下落が続く中で、これを株主優待制度に組み込んだ結果、何と株主数は4000名足らずから一気に16000名(多くは100株の単元株数株主?)を突破するに至りました。
送られてきた優待製品を手に取った株主の声が掲示板などで千差万別に聞こえてきますが、IPO後1年余りでこれだけの株主(投資家)との接点ができたことは同社にとっては大いに意義のあることだと思われます。
同社の土橋社長は、IPOはゴールではなく長期的成長の一里塚に過ぎないと企業説明会や株主総会でも力強い発言をしています。それには今期発売されたテニスブレスレットやデコリン(デコレーションリング)などの新製品投入も後押ししてくれそうです。
世界を相手にビジネス展開する同社が多くの株主に支えられ、どこまで成長を遂げられるかとても興味深いところです。
同社は需要期にあたる12月14日に第1四半期の決算発表を予定。前年同期にあったTVCMの費用がない分どこまで反動で業績が伸びたかを確認する機会がやって参ります。
430円高値を抜け出すきっかけとなるか、第1四半期が先行投資期で失望に終わるかが試されると見られます。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)