上場企業は押し並べて業績を向上させながら、企業価値の向上に努めることになる。その経営の過程で株主をはじめとしたステークホルダーと対話を重ねながら業績の向上を目指す。

 上場企業にとって株主、経営陣を含めた従業員及びその家族、取引先(上場、未上場企業)、提携先などステークホルダーとの関係は重要だ。株主は期間限定で保有することが多いが中長期スタンスで保有する安定株主も多い。
 同じ発行済み株式数、浮動株数ならできるだけ中長期で持ってもらうことが良いし、そのためにも明確なビジョンを描いて株主に説明する努力が求められるが、IR不足の企業、説明が不得手な企業にあっては現実は厳しい。
 そこには自社の評価を少しでも高めるための工夫が求められるが、これがうまくいくかどうかで市場での評価は異なってくる。


 とにかく上場企業には頑張れ!!と言いたい。


 既存株主に長期にわたって自社株に投資してもらう努力も重要だが、完璧に長期投資家ばかりに保有してもらうことになると流動性が気になることになる。このために過去に投資していたけど、現状は保有していない投資家やまだ投資したことのない投資?家に新たな株主になってもらうことになるがこれには地道なIR活動が求められる。

 株価の位置を理解して投資家と阿吽の呼吸で自社のビジョンを説明することが求められる。


 とにかく上場企業には頑張れ!!と言いたい。


 長期で仕事をしてくれる自社従業員にインセンティブ制度に基づいて自社株を保有してもらうことも意義のあることだろう。給与水準の高い低いに関わらず上場企業であれば持株会制度で優遇措置を施してこうした自社従業員に持株会に入ってもらうべきだ。
 役員を中心にしたストックオプション制度を全社員にも広げていってはどうだろう。


 昨年12月に上場した関西系の塗料専門商社オーウエル(7670)の株価は上場してからほとんど上向く兆しが感じられない。今期業績も減益見通しで足踏み状態のため、PER7倍台、PBRは0.4倍以下の低水準で評価されている。

 同社の従業員持株会は13.7%の筆頭株主になっており、毎月19日か20日に従業員持株会と見られる買いが入り、その日の寄り付きだけ株価が上昇するといったアノマリーによる変動が見られるが、発行済み株式数(自己株を除く1034万株)が徐々に吸い取られているとの感触がある。
 この場合、将来の業績向上が各従業員の資産形成にも役立つことと現状の配当利回りの高さが従業員に恩恵をもたらすことへの意義もある。また同社の場合は取引先との株式持ち合いも活発で、取引先である日本ペイント?や関西ペイントに株式を保有してもらっている。
 同社が保有する取引先の株式総額は93億円(受取配当金総額2.1億円余り、前期支払い配当金2億円を若干上回る)近くにも及び、保有する現預金63億円(有利子負債44.5億円)を加味すると66億円という時価総額を大きく上回っている。つまり同社の従業員持株会は同社株を財務面でのリスクをさほど気にしないで機械的、定期的に確保していることになる。

 いずれは市場での評価が高まる時が来るだろうから、現在平均年齢42歳の同社従業員はいずれはメリットを享受することになると推察される。

 上場後元気のない同社株だが、引き続き頑張ってほしい。


(炎)


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