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相川伸夫のクロスフォ―企業IRレポ
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相川伸夫のクロスフォ―企業IRレポ

2019-12-11 15:47
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    ■相川伸夫ピックアップ銘柄フォロー
     ※12月6日(金)執筆時点

    ・山王(3441)2016年12月19日配信
     株価560円⇒697円(+24%)
    ・テノックス(1905)17年2月20日配信
     株価815円⇒857円(+5%)
    ・特殊電極(3437)17年6月12日配信
     株価2922円⇒5000円(+71%)
    ・東北特殊鋼(5484)17年9月4日配信
     株価1831円⇒1450円(-21%)
    ・新報国製鉄(5542)17年10月2日配信
     株価1577円⇒1193円(-24%)
    ・パウダーテック(5695)18年2月19日配信
     株価4845円⇒3750円(-23%)
    ・東京エレクトロンデバイス(2760)18年4月6日配信
     株価1970円⇒2323円(+18%)
    ・アバント(3836)18年6月25日配信
     株価473円⇒1070円(+126%)
    ・神戸天然物化学(6568)18年8月13日配信
     株価2718円⇒1533円(-44%)
    ・丸順(3422)18年9月18日配信
     株価826円⇒704円(-15%)
    ・クロスフォー(7810)18年10月9日配信
     株価421円⇒358円(-15%)
    ・カンロ(2216)19年11月5日配信
     株価1665円⇒1634円(-2%)

    ※ピックアップ銘柄は買い推奨ではありません。
    私の目で面白い、アツイ要素がある!という理由で記事を執筆した企業の経過観察です。
     執筆から3年程度は継続ウォッチしていきたいと考えていますので、銘柄は今後さらに増える見込みです。



    ■クロスフォー(7810)の企業IRレポ

     12/7(土)クロスフォ―の土橋代表に登壇頂き、名古屋で個人投資家向け企業IRを開催いたしました!
     100人近くの参加者に1万円相当のダンシングストーン(500株の優待品との事)を大盤振る舞いして頂けました(太っ腹!!!)。
     また、企業IRの時間以外に社長自らが商品説明(ダンシングストーン・テニスブレスレット・EZ Clasp)をする時間も設けて頂き、たくさんの参加者が熱心に話を聞いていただけました。

     企業IRで新しく紹介があったのはジャケットと呼ばれるEZ Claspの金具部分自体をちょうちょ等のモチーフで飾り、金具を留めると蝶が花に止まっているような形状にデザインすることが出来るというものの発表がありました。
     このジャケットに関しても特許の申請がしてあるとのことですが、このジャケットに関しての特許戦略は守りの戦略との説明がありました。
     ジャケットはジュエリー製造メーカーが思い思いにデザインをそれぞれ加工してもらい、その代わりEZ Clasp(イージークラスプ)を使ってもらうという事が条件になるのです。
     土橋社長は私が会っている中では一番自信満々で説明しており、ビジョンに対する自信の表れだと思われます(笑)。
     足元の決算に関しての数字は分かりませんが、来期以降にはこの自信が数字としても表れてくるのでは??と期待します。


    ■クロスフォーレポートの補足解説

     もうご覧になったかもしれませんが、『みんなの運用会議』にてクロスフォ―のアップデートレポートを掲載しました。恒例になってきました記事執筆の背景や視点についての補足解説をしたいと思います!

    ・7810 クロスフォ―アップデート
     EZ Claspとテニスチェーンの持つポテンシャル!
      レポートby相川伸夫
     https://double-growth.com/7810-crossfor-3/


    ■上記リンクのレポート概要説明

    1.ジュエリー小売り企業としてみるのではなく、パーツ製造企業として着眼することがポイント
    2.EZ Claspの説明をするに当たっての現在の留め金具に関してのリサーチ結果
    3.EZ Claspのポテンシャル・普及に向けての生産計画
    4.テニスチェーン製造において非常に大きな進展
    5.国際宝飾展で実店舗調査報告

    …というのが私がみんなの運用会議で書いた内容のザックリ説明です!
     詳細はリンクからお読みください。


    ※この先は記事を読んで頂いた物として話をします!


     クロスフォ―のHPでも私の記事が企業のIR資料として紹介して頂いています。そちらから参照ください。


    ■製造業としてみた時の凄さに惹かれた!

     クロスフォ―の記事冒頭で説明していますが、私が同社に着目しているのは製造業としての強いポテンシャルです。
     これまではその製造業も海外向けのダンシングストーンパーツと国内向けのダンシングストーンの完成品(自社の低下価格&OEM供給の高価格)になっていましたので、今ひとつ製造業と言い切れないというのが正直な所でした。
     しかし、テニスチェーンとEZ Claspの加速で同社を製造業であると認識できるほどにその要素が強くなります。
     製造業が今の売上を大きく伸ばすに当たり、一番のネックになるのは『設備投資をしてコストアップさせないと売上(生産量)を増やせない』事にあります。
     例えばアプリゲームをイメージしてもらうと分かると思いますが、最初の開発は一定のコストが発生するもののひとたび大ヒットすればどれだけでも売り上げが伸びていきます。
     これが可能なのはアプリゲームでの製品には『重さや仕入れや輸送』の問題が存在しないからです。

     一方で製造業の場合、凄く高級で粗利率の高い高級車が大ヒットしたとしても一日で作れる数に対して物理的に制限が掛かってしまい、限界点はその時の設備投資金額(=固定費)に依存してしまいます。
     飲食店もこれに同じです。どれだけ人気でも客席数は限られており、行列の長さも無限には伸びません。よって増収には出店=固定費の増加が不可欠なビジネスモデルなのです。

     クロスフォ―が有利だと言っているのは製造業にも関わらず、これらに対しての制限が相当に有利なことです。

     貴金属はg当たりの金額が非常に高いです。

    【2019年12/6時点の相場での価格】
     ・18kなら4100円/g
     ・14kなら3100円/g
     ・10kなら2300円/g
     ・銀なら60円/g
     ・真鍮なら1~5円/g
     ・プラスチックなら1円以下/g

    ※ちなみに製造業と言えば自動車産業!自動車と言えば鉄!!
     ・鉄なら0.1~0.06円/g

     こうやって並べるといかに貴金属が高く、鉄の素材原価が安いかは一目瞭然です。
     高価である貴金属製品は本来量産することが大変難しい種別です。
     難しいのは加工難易度ではなく、地金の金額が非常に高価であるがために少量多品種で一品ものに近い性質になりやすいからであり、大量に作れても生活必需品ではなく嗜好品に使われる以上、製品を捌くことが困難。
     このことが一般的に大量生産されない一番の理由です。

     逆に言えば、売りさばくことが出来さえすれば製造業において非常に高収益を確保できて固定費当たり売上高を大きく伸ばせるビジネスになりえます。
     その困難な大量生産をクロスフォ―なら可能であると感じたのが記事執筆の大きな理由です。
     『小さいから軽くて、輸送が簡単で粗利率も高い』なんて製造業では最高の条件ですから(笑)この着眼で同社を観ないと面白さが中々伝わらないでしょう。


    ■EZ Clasp(イージークラスプ)について

     「この一見どこにでもありそうな金具のどこがそんなにスゴイの??」
     多くの投資家、特に男性はそう思うのが良く分かります。
     私も最初はそう思ったのですから(笑)

     私は現地・現物・現認主義です。
     当然小売店も10店舗以上回りましたし、国際宝飾展の展示会にも足を運んで確認をしてきました。
     まず、テニスブレスレット(10万円以上)を探すには高島屋や阪急百貨店、ティファニ―やカルティエ等のいかにも高級な商品があるところにしか陳列されていません。
     ダイヤがふんだんに使われたテニスブレスはそうした高級層か、もしくはスワロフスキーのような低価格のブランドには1万円の真鍮×CZ(キュービックジルコニア)のテニスブレスが存在していますのでこれらを見て頂くと良いでしょう。
     それらの留め金具事情をまとめたものが留め金具の記事になります。

     実際に見て回るとEZ Clasp(イージークラスプ)がいかに付けやすいかが実感できるのではないか?と思います。


    ■BSについて

     今回の記事では特に触れていないのですが、同社はどうしても見た目のBSが悪いのも不人気の要因の一つでしょう。

     BSの見た目を大きく悪化させているものには2つあります。
     1つ目は上場時に立てたカッコいい本社費用の借入15億円分。
     2つ目は事業運転資金(委託販売による小売店店頭商品)の借入の10億円分。
     おおまかにはこうした理由で自己資本比率も悪く映っています。

     2つ目の運転資金は説明不要と思いますが、1つ目の本社費用は説明が必要なので解説させて頂きます。
     まず、投資家からすると本社に金をかけるのは『愚の骨頂』だという認識をされる方が多くいます。
     これはサラリーマンの自らの年収に対して分不相応な金額で豪邸を建てても『豪邸は金を産まない』事に起因する負債であるという認識から生まれるものです。

     では、質問を変えます。

     世界の一流ブランド、ティファニーやカルティエなどの企業と今後取引をしていこうと考える場合の本社はどのような作りにするのが良いのでしょうか?
     確かに5億円くらいで建てたよくあるビルであっても一流ブランドも相手をしてくれるかもしれません。

     クロスフォ―は世界のジュエリー市場の『黒子』としての覇権を取りたいのです。
     本社がしょぼくても取引が成立するかもしれませんが、きちんとした門構えであった方が相手の心象が良くなる。ましてや美しさやファッションを重視する宝飾の世界なのでここへの投資は惜しまなかったのです。

     こうした事情があって現在の財務の借金が存在します。
     在庫に関しても18年の記事で書いたように減損でのダメージも知れているので私はそんなに気にしていませんが、気になる方もいるのも分かります。
     そういう時には、肝心のお金を現在貸している銀行が一体いくらの利息で貸しているのかを観る事をオススメします。
     最新の有価証券報告書の第32期で行くと70Pにその記載があります。

     それによれば…

    【クロスフォ―】
     ・短期借入金=0.2%
     ・長期借入金=0.6%
    で銀行から融資を受けています。
     これは非常に低い利率で融資を受けています!
     と言っても、比較対象が無いと分かりにくいので国内でビジネスをしている
    大手企業と比べてみます。

    【オリエンタルランド=ディズニー】
     ・短期借入金=0.23~0.39%
     ・長期借入金=1.6%

    【東海旅客鉄道】
     ・短期借入金=0.15%
     ・長期借入金=1.14%

    【ジャパンディスプレイ】
     ・短期借入金=0.8%
     ・長期借入金=4.2%

     これで分かってもらえたでしょうか?
     一般的な解釈として利率が高くなる=貸し倒れリスクが高いと銀行が認識しているという解釈で大丈夫です。
     また、借入金の使途が新規事業への挑戦に関する費用であればリスクが高いと判断されて利率が上がり、これまでの延長上の資金需要であれば利率が低くなる傾向もあります。
     ですので単純に数値だけを比較してクロスフォ―が圧倒的に優れていると言えるものではないですが、銀行にとっての貸し倒れ懸念というのがこの利率にはほとんど入っていないであろうことが分かると思います。
     「自己資本比率が何パーセント以下は危ない」などの事が本に書いてあることはよく見ますが、あれは迷信です。
     銀行が貸してる利率で判断する方がはるかに建設的です。

     上記の事からクロスフォ―の借り入れ金は銀行にとってリスクだとは考えていないだろう事が分かるわけです。


    ■まとめ

     同社は現在0to1のステップにいます。
     新しい事業が目論見通りに成功する確率は低いです。
     それよりも今伸びている事業に投資してもっと伸びる確率の方が高いのが現実です。

     よって、多くの方は同社の株を買う判断は通常今はしないでしょう。
     会社の変化が業績でも表れた瞬間に入るのが最も効率的で失敗が無いように思えるからです。

     しかし、私は次のように考えています。
     1)同社の時価総額は62億円であり、日々の売買高も3000万円程度なので機関投資家はまず入ってこない市場である
     2)同社はBSには載らない価値あるものが多い事(特許・世界中のジュエリー製造メーカーとの販路・これまでの実績)
     3)優待利回りは100株だと12.5%、500株だと5.5%。買っているプレイヤーが個人であるのでこの利回り意識は下値目処算定においての十分な材料になり、クロスフォ―が優待を辞めるのは考えにくい
     4)同社の業績が、今後上場時も超えていくと考える投資家が希少であろうことから売り圧が弱いと考える

     このような背景から下値はある程度算定出来て、上は夢が見れると考えています。
     これまでの同社が抱えるもっとも大きなリスクは製造リスクでしたが、奇跡の人材の加入によって大きく後退し、現在一位のリスクは『EZ Claspの特許申請が棄却されること』。
     こうなると戦略が大きく崩れるのは明白なので、ツライですね(汗

     私の予想では装身具に限定しての特許申請にあらかじめ範囲を絞るなどして通りやすい形で出していることと想定しています(特許庁の審査官をやっていた方が今のクロスフォ―の知財担当である事から)。
     これが一番のリスクなのでこれが突破できると本当の意味で後は数字を待つだけになります。


     くれぐれも投資判断は必ずご自身で行い、自己責任でよろしくお願いします。


    それではまた。


    『全力全開全力前進!!!』


    (相川伸夫)


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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