産業新潮 
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
1月号連載記事


■その16 有利な地形(マーケット)で戦え

●負けてはいけない


 孫子はある意味究極の平和主義者です。なぜなら、戦いは国や民を傷つけ疲弊させるので、「戦ってはいけない」と厳しく諭しているからです。ただし無防備でいいというわけではありません。
 例えば隣国が日本を侵略すれば、日本国民は当然立ち向かわなければなりません。こちらがどれほど平和主義であっても、隣の野蛮な独裁国家が攻め込んで来れば戦わざるを得ません。逆に隣の野蛮な独裁国家に立ち向かうことこそ「平和」を守るための必須条件です。
 もし日本が負けて侵略されてしまえば、国民は地獄に突き落とされます。

 「永世中立国」であり、平和イメージの強いスイスですが、2013年の国民投票で男性に対する徴兵制の維持が決定されました。決して政府に押し付けられたのではなく、国民の総意です。
 参考までに、2002年にフランス(最近の報道のように、徴兵制の「復活」が議論されています)、2011年にドイツで徴兵制が廃止され、米国でも1973年から長期にわたって徴兵制は「停止」(いつでも復活できる)されています。

 また、スイスの兵隊の数は人口の1・9%ですから、日本の人口に当てはめてみると250万人という巨大な軍隊になります。
 「平和」はただぼんやり座っているだけでは得ることができないというのが孫子の考えです。できる限り(高度な駆け引きや戦略で)平和的に解決するよう努力し「専守防衛」を貫いても、どうしても戦わなければならないときがあります。その時は、逆に準備を完全に整えて「完全な勝利」を手に入れなければなりません。

 太平洋戦争についてはいろいろな議論がありますが、この戦いにおいても同様です。「一度始めた戦いは必ず勝たなければならない」ということです。
 当時の政府や軍部の非は、「戦争に負けたことに」にあります。(一度始めた)戦争は絶対に勝たなくてはなりませんし、敗戦国の国民はとてもみじめな状態に追いやられます。


●有利な地形で戦う

 孫子はズバリ「戦いにおいて地形はとても大事なものである」と述べています。具体的には次のようなことです。

◎自由に往来できる開けた土地では、敵よりも先に高台の日当たりのよい場所を確保すべし。兵糧補給の道を断たれないようにして戦うと有利だ。

◎行くのは簡単だが、帰るのは難しいような、障害のある地形で敵が備えをしていないときには、こちらから出て行っても勝てる。しかし、既に敵が備えをしている場合には、戦っても勝てず、帰ってくるのも難しくなり危険である。

◎枝道に分かれた地形では、こちらから出て行っても、あちらが出てきたとしても、どちらにとっても不利である。したがって、敵がこちらに餌(利益)を投げかけてきても、決して手を出してはいけない。むしろ、軍をその場から立ち去らせ、敵を誘って半分餌(利益)を出させてから攻撃をするのが有利だ。

◎両軍の陣地がお互いに遠く離れている場合には、攻撃を仕掛けるのは難しく、攻撃を仕掛けた方が不利である。


続きは「産業新潮」
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1月号をご参照ください。


(大原 浩)


★2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」(JKK)を設立しました。HPは<https://j-kk.org/>です。
★夕刊フジにて「バフェットの次を行く投資術」が連載されています。(毎週木曜日連載)


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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)