今回の戻り相場は、あらゆる面で歴史的に見て経験則が通用しない相場のようです。
外資系ファンド運用者の多くが、過去の外部的な原因で株式市場が大きく下落した時に、どの程度の期間、また、どの程度の反発があったかを検証した結果、今回のように短期間でこれだけの上昇を演じた相場はないと語っていました。
私自身株式投資を始めて37年になりますが、これだけ大きく下落して、この早い期間でこれだけの戻りを演じた相場は経験がありません。
東京市場をはじめ、欧州・米国市場と先進国の株式市場は3月中旬底値から立ち上がり、この6月に入り、新型コロナウイルス前の水準にほぼ回復しています。米国市場、東京市場では40%前後の上昇を示現しました。
金融当局者、政策担当者らの、金融緩和策や大規模財政出動と二つの大きなテコ入れで現実を無視して、政策による回復期待のみで買いが入った株式市場です。
それに対して、冷静に現実社会を見つめた慎重な投資家により「空売り」が日毎に増加して、過去最高水準まで売りが積み上がってしまいました。今日現在も、買い方の優位相場になり買い攻勢が続いている株式市場です。
ある、慎重派の外資系ファンド運用者も弱気から一転、買い手側に転じ、強気派になったのは先週のことです。弱気派の大半が買い戻し姿勢に変化しているとも言われ出しました。
ここ直近の市場関係者のアンケートでも、慎重派が減り、強気派が多くなり、今の市場動向に沿った投資をしているとのアンケート結果が出たそうです。 強気になってしまっているようです。
今の株式市場は、テクニカル面やファンダメンタルの面での予測を語ることはできず、上記した金融担当者や政策担当者の意に沿った行動を取っていくことが最適のようです。
金融政策担当者にすれば、どのような形であれ、株式市場が好調であれば、時を経てから経済状況が改善され、景気回復も十分達成されるだろうと読んでいるようです。甘い考え方だとおもいますが、今はそれがベストだと言う事です。今は国策相場になっていると思っています。
ただ、大きな危険を孕む賭けになっているとも見ています。
外出規制など現状の経済状況とのギャップや、依然と感染者が毎日出ていることや米中関係の悪化、人権問題での抗議デモや、日本でも政権内の問題など、多難です。ちょっと冷静になった時に今の株式市場の状況は過度な行き過ぎもあるのではと感じます。
日経平均の動きは上値を一瞬取ってもその後の上昇力が乏しく、さすがに利益を確定する動きが表面化してきました。
株式市場を大局的に見る時が来た感じがします。注意深く、気を付けるべき状況です。
(大魔神)
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