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自主性を育む金融教育
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自主性を育む金融教育

2020-11-07 10:50



     億近読者の皆様こんにちは。
     小学生向けのお金の教育論について寄稿させていただいております遠藤です。

     今回は、「お金の教育で育める自主性」についてお話をさせていただきます。


     私が推奨するお金の教育では、子供に2つの貯金箱を準備してもらいます。

     1つは、「使うお金を入れる貯金箱」もう1つは、「貯めるお金を入れる貯金箱」です。

     貯める貯金箱のお金は目標金額が達成できるまで使うことができない、というルールにします。

     こうすることで、「お金が貯まるルール」を知ることができます。

     散財癖があった子でも、このルールを身に付けるとお金が貯まっていきます。

     実は、「使うお金を入れる貯金箱」の方には、もっと重要な教育的要素が含まれています。

     それは「自主性」です。

    「使うお金を入れる貯金箱」のお金の使い道を、子供に任せることで自主性を育めます。
     そのお金はゲームセンターで使おうが、お菓子やジュースに使おうが自由にし、無駄遣いもOKにすることで子供は判断力をつけていきます。

     お金の使い道を任せていくと、

    「ゲーセンでお金使ってもなんにもならない。何度も楽しめる漫画を買おう。」
    「お菓子を買いたいけど、来月遊園地で使うお金をとっておこう。」

    このようなことを自ら考えて学んでいきます。


     このように、お金の教育には子供の自主性を育む効果があります。
     子供の自主性を育むためには、子供に決めさせる習慣が大切です。


     教育について書かれた書籍「一流の育て方」には下記のような記述があります。

    (引用)
    「子どもに自由に決断させてこそ、子どもの自主性・主体性が育つというのは、
    本書で第一に強調したい、大切な教訓です。」


    「一流の育て方」ムーギー・キム/ミセス・パンプキン著 ダイヤモンド社 P42
     amazonリンク ⇒ https://amzn.to/2TSXC0h


     もちろん、自主性を育むために子供に任せると失敗はつきものになります。
     しかし、社会に出たら失敗こそが成功への礎となることはいうまでもありません。投資においても何度かミスを繰り返してこそ、判断力が磨かれていきます。

     このようなことを申し上げると、
    「自主性が大事とはいっても、自由放任主義にして、家に引きこもって1日中、
    中毒的にゲームばかりしているのも容認しなければならないの?」

    と不安に思われている親御様も多いことでしょう。

     それは容認する必要はありません。

     虎の子の退職金1,000万円で購入したトルコリラを無金利のまま、証券会社の預かり金で置いたままにするという判断をしている人がいたら、我慢せずに助言した方が良いのと同じです。

     子供に任せるとは言っても、アドバイスは必要です。

     最低限のアドバイスはしますが、判断は任せるということが大切です。


     お金の使い道以外に子供に任せられる事柄は、案外限られています。

    「学校に行くの、行かないの?」といちいち聞かなくても子供は学校に行かなければならないことは知っています。答えが本当はわかっているのに、子供を煽っても仕方がありません。

    「宿題をするの、しないの?」「いつするの?」という質問も、「すぐにやった方が良い。」という答えは見えています。

     真夜中までゲームばかりやっていて宿題をしないで、翌日は寝不足で頭がぼーっとしたまま学校に行かせる、ということを容認していたら、子供の将来が明るいはずがありません。任せる覚悟がないのに、判断を委ねても意味がありません。

     宿題をするかしないかは、子供に質問する必要はありません。
     やらなければいけないのです。

     利口な子は選択を迫れば、親が求める利口な選択をします。
     一方で自由放任にすることでとことん道を外れる子もいるでしょう。

     子供の特性に合わせて、任せていいことと、いけないことがあります。

     実は自主性を伸ばす教育はとても難しいのです。

     この点で、お金の教育は、子供に自主的に判断を任せるのに、丁度よい重要度になります。
     自分で家の中の仕事で稼いだお金であれば、大人が誘導しなくても子供は段々と合理的な道を選んでいきます。

     何も自分で決められなかった子が、自ら決められるようになります。
     仮に多少お金の使い方を失敗しても、子供のうちであれば大したことにはなりません。

    「結局うちの子は、利口だから親のいうことなんでも素直に聞いてくれるけど、自主性という意味では心許ないかも。」

    と思われている親御さんは、「使う貯金箱のお金の使い道」だけ、放任してみたらいかがでしょうか。

     お子様の意外な自主性を見られるかもしれません。


    (遠藤)


    [遠藤 功二氏 プロフィール]

     日本FP協会認定CFP
     1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
     MBA(経営学修士)

    大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
    証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
    自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。

    生き抜く力を育むお金の体験型教室FP君
    web:https://fpkun.com
    メッセージ:koji.endo@fpkun.com


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