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皆様こんにちは、投資家Sと申します。
創業(1964年)半世紀を超える投資日報社が、毎週月曜・木曜に発行を行っております、”投資日報α”(月曜版)に”投資家Sの今週の注目銘柄”を連載しております。
コロナ禍からの回復で地位財の価格が高騰しております。
スイスの高級時計ロレックス・デイトナの価格が今年に入ってから高騰しており、昨年7月の300万円からわずか1年で440万円近辺まで上昇しており、5割近い上げ幅となっております。
上昇の理由は至極簡単な理由であり、旺盛な需要に対して供給が追い付いていない為です。
コロナ禍で失業・残業代が減少した一般庶民とは異なり、富裕層は昨年からの株高で大いに潤っております。
価格の上昇はあるゆる商品に及んでおり、私が大好きな競走馬(サラブレット)の価格も高騰しております。
7月12日~7月13日に北海道・苫小牧市で行われた日本最大の競走馬競り市、セレクトセール2021の売上が225億円を記録して過去最高を更新しました。
本セールは、日本国内のみならず世界中の馬主やバイヤーから注目されるセールとなりますが、今年の主役はサイバーエージェント【4751】社長藤田晋氏でした。
藤田氏は今回のセールで23.6億円・18頭の競走馬を購入しており、総売上の10%程度を占める最大購買者となりました。
サイバーエージェントの子会社Cygamesが制作・販売を行っている、競走馬を擬人化したスマホ向けゲーム“ウマ娘プリティーダービー”が空前のヒットとなっており、競馬ゲームで稼いだお金を実際の競走馬に還元したのではと言われております。
一方で、事情通の間では、今回の大量購入はビジネス拡大の為の“投資”だったとの声も聞こえてきております。
ウマ娘は、過去の名馬=女性キャラクターの名称となっておりますが、現在ウマ娘に登場するのは2010年以前の競走馬が多いのも事実であり、直近10年の名馬は登場数が少ないです。
その理由は、近年の活躍馬がセールの実質的な主催者となる社台グループ(ノーザンファーム)の生産馬ばかりであり、ゲームに実在の競走馬を登場させる為には、オーナーと生産者に対して使用許諾を貰う必要があります。
日本を代表する名馬“ディープインパクト”、“オルフェーブル”、“アーモンドアイ”はいずれもノーザンファームの生産馬であり、今回の大量購入をきっかけとして、上記の馬をゲームに登場させる事が出来れば、20億円以上の金額も安い買い物といった所です。
企業オーナーやお金持ちの方は、高額な買い物であったとしても何らかの意味を持って購入しているケースがほとんどであり、欲しいという感情だけで買うケースは多くありません。
高額消費の裏には富裕層のしたたかな考え方が有る事が分かれば、株式投資のヒントにもなりそうです。
今回は、日本国内のみならず世界的にな猛暑によって注目を集めている、空調工事国内首位の銘柄を取り上げております。
■高砂熱学工業【1969】
空調工事で国内首位の高砂熱学工業【1969】(以下、高砂)は、1923年会社設立、1969年に株式上場を行っており、今年で上場52年となる。
同社に注目した理由は2点。
1)今期はコロナ禍での工事遅延による売上減少から急回復となり増収・増益予想
2)株主還元方針の変更に伴い、中期経営計画期間中は減配を行わない。
1)同社の前期決算は5月に発表されたが、コロナ禍による工事中断・遅れで減収・減益の決算となり、2020年3月期まで続いた最高益更新が途切れる事となった。今期は減益となった前期から増収・増益予想となっており、空調工事がストップした昨年第1四半期とは異なり、2回目の緊急事態宣言中であった前期第4四半期は、売上高営業利益率6.8%となって、直近5年間で最高となった。
4月以降も空調工事が止まっている状況には無く、前期と異なり第一四半期から順調な業績となり、今期予想を達成出来る可能性が高い。
2)2023年に創業100年を迎える高砂は、現在の中計期間における企業価値の向上に並々ならぬ意欲を持っている。それは配当方針の変更に表れている。
従前までは配当性向30%かつ連結純資産配当率(DOE)2%を下限として配当を実施していたが、今期からは減配は行わず、利益成長に応じて配当を増やして行く方針。今期の予想配当は前期から2円増配の58円配当としており、株主還元の強化を図っている。
7月8日時点の株価で配当利回りを計算すると3.08%となり、現時点で高配当且つ、来期以降減配の可能性が極めて低い銘柄となる。
株式市場ではキャピタルゲインを重視する投資家が多い事は重々承知しているが、利益の増加による配当の増加こそが、株式投資の醍醐味だと筆者は考えている。そして、短期のファンド勢ではなく、長期投資を行う機関投資家が重要視しているのも配当であり、配当下限が会社側から示された状態で、利益成長による配当のアップサイドが望める同社株は、個人投資家のみならず、機関投資家も買える銘柄である。
足元の株価は、今期の増配・配当方針の変更および、証券会社によるレーティング引き上げを好感して、4月30日に付けた1,640円の安値から15%高い水準で推移しているが、現在の株価でもPBRは1.0倍程度となっており、今期以降の業績回復が予想出来る状況を考えれば、株価に割高感は無い。
同社が5月に発表した中計には、CO2の排出量削減が”業績目標”として記載されており、ESG観点からも魅力ある銘柄、それが高砂の「実体」とみる。
(投資日報α 2021年7月5日号掲載)
(投資家S)
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▼櫻田 学氏プロフィール
トレース合同会社 社長
株式会社投資日報社 専務取締役
大学卒業後、2004年から証券会社にてFXの仕事に従事。
以後、14年間に渡り、営業・企画・トレーディングの最前線で活躍。
リーマン・ショック・ユーロ危機・Brexit等々の並居る大相場の中、裏方として市場の最前線で指揮を取り、FXの表も裏も知り尽くす。
2018年秋、11年間勤めたマネックス証券を退社して、暗号資産(仮想通貨)の交換業者となる、株式会社ディーカレットの立ち上げメンバーに加わる。
2020年5月に、相場道を究める為に同社を退職。
個人投資家として株式投資を行いながら、投資に掛ける時間が限られる兼業投資家の方に有益な情報を届ける為、株式について日夜分析を行っている。
日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト(CMTA)
相場に対するモットーは、「利食いたくなったら乗せろ」
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