長期間に渡る資産運用において、不動産物件の購入・売却や相続などで大きな資産が動くとき、どのように考え、どんな決断を下していけばいいのでしょうか。
 そして、専門家に相談すると、どういったメリットが得られるのでしょうか。


 今回は、10年近くマネーライフプランニングのクライアントである木村政俊さんを対談のゲストに迎え、私たちのコンサルティングやアドバイスについてどう感じているか、率直な感想をうかがいました。

 初めて相談に来てくださった当時の木村さんは、誰もが知る人気ラーメン店の店主・経営者でした。
 そして現在は、ご家族で沖縄県に移住し、パーソナルトレーニングジムのオーナー兼パーソナルトレーナーとして活躍されています。

 この10年の間に木村さんの人生は大きく変化しました。
 そのときどきの決断を支えていたものの1つが、金銭的な自由だったそうです。
 将来のマネーライフプランについて考える人たちにとって、木村さんの歩みは大きなヒントとなるはずです。


●出会ったときは、ラーメン店の店主だった木村さん 今は沖縄でパーソナルトレーニングジムの経営者兼トレーナーに


小屋:木村さんと初めてお会いしたのは、僕が独立してしばらくした頃でした。
 どういう経緯でマネーライフプランニングを知って、相談に来てくださったんですか?

木村:当時、僕は今後の事業や資産運用に関して、何人かの専門家に相談していたんですね。
 その過程で情報を検索するうち、小屋さんのことを知り、お会いしに行ったのが最初。第一印象は鮮烈でしたよ。
 言い回しは少し違うと思いますが、はっきりと「私は結果を出して、そこから報酬をいただいています」と言われたのを覚えています。

小屋:たしかに当時も今も手数料ではなく、運用資産の額に応じてフィーをいただく専門家は少数派ですね。

木村:実力主義というか、他の専門家の方々と姿勢が異なるな……と感じました。それで資産運用だけでなく、事業の悩みについても話したのかもしれません。

小屋:通常、事業に関しての相談は身近にいる税理士さんに聞くケースが多いと思います。

木村:もちろん、顧問の税理士さんとも話しました。でも、当時の僕の相談の内容は事業の税務のことだけでなく、もっと広く、将来に向けたライフプランニング全般に渡るものだったんですよね。
 それで、さまざまな視点からアドバイスを聞きたいと思い、何人かの専門家のところに相談に行っていたんです。

小屋:たしか、木村さんに初めてお会いしたとき、体調のこともお聞きした記憶があります。

木村:そうですね。大病をして体調を崩した後、仕事に復帰したものの、“このままでいいのかな?”と不安に感じていた頃でした。
 複合的に悩み事がある一方で、経営者は孤独です。体調のこと、お金のことなど、同業者にも相談できない部分があって。
 小屋さんには本当に公私両面でたくさん話を聞いてもらい、アドバイスをしてもらいましたね。

小屋:そこからもう10年近くのお付き合いとなりますが、今日は改めて木村さんの半生についてお聞きしたいと思っています。
 今は沖縄の読谷村に移住されてパーソナルトレーニングジムの経営とトレーナーをされていますが、出会ったときの木村さんは人気ラーメン店の店主でした。
 この10年の変遷のお話はもちろんお聞きしたいんですが、そもそも「ラーメン屋の木村さん」になる前はどんなお仕事をされていたんですか?

木村:もう少し遡ってお話をさせてもらうと、僕はずっとラグビーをしていまして、高校時代は花園に2年連続で出場したんですよ。

小屋:そうなんですか!それはすごいですね。

木村:最初は東京のラグビーの強豪校に入ったんです。でも、初練習の時点で“あ、なんかここじゃない”と思って、宮崎の高校に転校しました。寮生活を経験しながら花園にも国体にも出られた、その体験から“思ったら、動く”という自分なりの型ができましたね。
 高校卒業後はラグビーで大学進学する道もあったんですが、違う世界が見たい気持ちが膨らんで、留学しました。
 ただ、高校時代はラグビーオンリーで勉強という勉強はしていないんですよ。
 だったら、イギリスやオーストラリア、ニュージーランドのような、ラグビーでつながれる国に行けばいいのに、中学の英語の教科書から勉強し直してアメリカのオクラホマに行きました。これも“アメリカがいいな”という直 感でした。

小屋:長く滞在されたんですか?

木村:19歳で行って、2年弱ですね。最初はオクラホマ、次にミネソタ、最終的にはボストン。
 知り合いも増えて楽しく過ごしていたんですが、父親が体調を崩し、入退院を繰り返す状態になって母親から「帰ってきてほしい」と。父は祖父が興した医療機器販売の仕事を継いでいたので、帰国してそれを手伝うようになったんです。

小屋:留学を途中で切り上げて、家業を手伝うようになったんですね。

木村:そうですね。池袋にあった事務所で父の仕事を手伝いつつも、自分は何か違う事業ができたらなと思っていました。
 その後、僕が24歳のときに父が亡くなり、そこから3年は事業の整理も含めて医療機器販売の仕事を続けたあと、“自分が好きなことをしよう”と飲食業、それもラーメンの世界に入ったわけです。

小屋:最初からずっと同じ店だったんですか?

木村:最初はあちこち食べ歩きして、いくつかの有名ラーメン店など何店舗かで働いて、最終的に修業先に決めたのが、とある人気店の本店でした。

小屋:それが20代後半くらいですかね?

木村:そうですね。26歳だったかな。ただ、その店は学びたい人を誰でも受け入れてくれる店ではなかったので、1ヶ月半ほど通い詰めて「弟子にしてください」と頼み込み、修行に入りました。
 今みたいに店舗が多くない状況でしたし、親父さんも「教えるよりも盗め」という感じでしたね。

小屋:修行はどのくらい?

木村:1年ちょっとです。僕は独立が早い方だったと思います。

小屋:それがあの店だったんですね。僕も木村さんの店とは知らずに何度か食べに行ったことがあります。

木村:ありがとうございます。


●「身体のことを大事に。店はクローズしましょう」他の専門家とは違う小屋さんのアドバイスが信頼できた


木村:2002年に店をオープンして、閉めたのが2013年の3月ですから、11年ちょっと営業していました。
 ただ、僕は3年目の2005年に体調を崩してしまったんですね。
 当時はがむしゃらに売上を伸ばすことを求めて、休みもとらず店に立っていたので。
 それが響いたのか、肝臓を患って、それ以降は肝機能の数値が上がったり下がったりしていました。

小屋:そうだったんですね。

木村:それからは生活習慣を見直したり、従業員を増やして自分の負担を減らしたり、移転して店の規模を小さくしたり、試行錯誤しながら店を続けていました。
 “店を開ければ、お客さんは来てくださる。でも、このまま継続するのは身体のことを考えると難しいかなぁ”と迷っていた頃、小屋さんにお会いしたわけです。

小屋:事業を継続するかどうかと、所有されていた不動産についての相談もありましたね。

木村:当時、僕が住まいとして持っていた南青山二軒と目白一軒の物件をどう活かしていくか、池袋の借地に建てた一棟アパートをどうしていけばいいか。
 店のことも含め、今後の方向性を相談したところ、小屋さんがズバッと「身体を大事にしてください。お店はクローズしましょう」とアドバイスしてくれたんです。
 他の専門家の方は「収入的にも、有名店の看板を出せる権利的にも、店を閉めるのはもったいない」という意見でした。
 だからこそ、小屋さんの言葉は刺さりましたし、この人は信頼できると感じました。

小屋:木村さんの資産状況をお聞きして、「不動産の整理、売却をすることで、いったん事業をクローズしてもファイナンス上は成り立つ素地があります」「一番の課題は体調面ですから、それを最優先で解決しましょう」と話したんですよね。

木村:自分の中でも「身体と向き合って、いい環境をつくっていかなくてはいけない」「人生を別の方向へ進めたい」と感じていたので、小屋さんの意見で「ラーメンで10年間、内容濃くやりきったんだから」と思えたんですね。

小屋:こういう機会でもないと、直接お聞きにしにくかったのですが、10年前にお店をやめることも含めた私たちのアドバイス、コンサルティングは、その後の木村さんにどう役立ちましたか?

木村:振り返ってみると、あのときにああいう形で一区切りつけられたのは本当によかったです。
 今につながっていく次の展開に向けて動き出せましたし、考え方も大きく変わりましたから。
 僕ら相談する側はアドバイスを聞くことで、信頼できる選択肢を増やすことができますよね。
 その上で最終的に判断し、動くのは自分です。きっと他の相談者の方も小屋さんと話しながら、改めて自分として、会社として、どう動けるかを考えていると思います。
 10年前の僕はいろんな専門家にアドバイスをもらったことで、自分では考えつかない道筋がいくつも見えてきました。
 そうやって選択肢を広げる方法があることを実感できたのも、コンサルティングを受けてよかったことの1つです。
 もちろん、アドバイスを鵜呑みするのではなく、自分で調べて、調べて、調べて、妻ともたくさん話し合ってから行動にうつしました。
 自分1人ではなく、妻と娘、家族を含めての人生ですからね。


後編へつづく


株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)


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