昨年の11月あたりから見られる株式相場の低迷はロシアによるウクライナ侵攻後に一旦は終焉し、このところは反転上昇を見せている。
既に宇露戦争勃発して1カ月を経ているが、停戦に至らない中でなおも先行きには不透明感が漂っており、原油高騰、インフレ進行がマクロ経済にのしかかっており、有事の下での金利引き上げに米国の政策当局が舵を切ったことによる影響を横目に株価にはむしろ悪材料の出尽くし感からか反転の動きが見出される状況となっている。
このところの相場は日本郵船(9101)に代表されるコロナ禍での市況上昇の恩恵を受け業績が急拡大した銘柄群へのお金の流れがメインであり、この流れに沿うポートフォリオを構築した投資家の活躍が背景にあると考えられる。
こうした潮流で日経平均やTOPIXは既に半値戻りを達成。ソニーG(6758)など円安メリットを受ける輸出企業にも上昇機運が高まっている。
一方でまだまだ弱い動きなのはマザーズ指数。
一昨年の秋口をピークにしたマザーズ指数の下落はコロナショック時の安値527ポイントにまでは行かないまでも650ポイント前後までに低下した後に反転気味とはなってきたが、まだ下値模索を続けているとの印象が強い。
マザーズ指数がネガティブな評価となるのは今後の景気の悪化が事業基盤の脆弱な企業にとっては業績の悪化をもたらすとの懸念もありそうで、短期の運用成果を求める投資家は金利上昇局面に入ろうという局面で敢えて割高感のあるマザーズ銘柄に手を出すには時期が悪いと考えているものと見られる。
リスクマネーの受け皿は高配当利回り銘柄や圧倒的に低水準となっているバリュー銘柄で十分でリスク回避の傾向がまだまだ続いていると言っても良いだろう。
ただ、細かく見ていると新興市場銘柄にも割安感が強まった銘柄も出てきたことは事実で、銘柄によっては反転上昇の動きが見出せるようになってきた。
株価が何らかの理由でこれ以上は下がらないだろうと思われる水準では売りに対して買い向かう投資家が出て均衡化して下値圏での底堅い展開が見出せるようになってきた。
ここに来て需給が少しづつ良くなりそうな兆候も見出せる。
一つは自己株買いの活発化であり、IPO銘柄の上場承認取り消しなども需給を好転させる要因と言えそうだ。
昨年は125銘柄のIPOがあり、特に12月には全体相場が調整ムードとなる中で32銘柄と急増したたため、需給が極めて悪化した。
今年になって2月は7銘柄がIPO。3月は3銘柄の上場承認が取り消され8銘柄がIPOの予定。昨年の3月が13銘柄だったため5銘柄の減となる。取り消された3銘柄には東証1部上場予定さった住信ネット銀行が含まれており、現在のIPO市場の需給悪を反映していると言えそう。
4月のIPOは10銘柄で昨年4月の11銘柄から1銘柄減となる。
日経平均やTOPIXに比べ依然として弱含みの展開が続くマザーズやJASDAQ、東証2部などのグロース、スタンダード市場だが、極めて割安感の出ている銘柄も見出せるようになってきました。皆さんの中にも関心を寄せておられる方も多いのかも知れません。
(炎)
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