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本日の日経新聞で「仕組債(EB債)のクレームが増え、金融庁が実態調査に乗り出している」との記事がありました。
この件については以前から何度も書いており、直近では7月7日のメルマガにも書きました。この金融商品は全く投資に値しない商品であることです。
※7月のコラム ⇒ http://okuchika.net/?eid=10616
「素人目には分かり辛いリスク部分をきちんと説明しているのか?」と言う書き方になっていましたが、そもそも日本で大々的に販売されているEB債はその商品の組成において収益性(リスク・リターン)に大きな問題が潜んでいることです。損失が発生するときには大きな損失となり、利益が出ても僅かな額に留まることが指摘されていません。
つまり「ハイリスク・ローリターン」の商品設計になっている訳です。
それでも昔のEB債の組成ではオプションのノックインレベルの設定次第の面がありましたが、ここ数年はノックアウト・オプションも組み込み5~10%程度の株価上昇でも早期償還となるトリガー条件を付けることで、株価が上がれば早期償還になり、その資金で新たなEB債を勧め易くする工夫がされています。
つまり、早期償還となった資金で新たに購入することを続ければ、結果として頻繁に同じ商品に乗り換えていることになります。そして購入の都度、1年以内の短期の商品であるにも関わらず法外な手数料が(投資家の目に触れずに)抜かれています。
収入の手段を失いつつある金融機関(金融庁のテリトリー)を儲けさせるために、こんなイカサマ商品を長年放置していた当局にこそ問題があります。
某公共放送の夕方の5分ほどの番組「ストップ詐欺被害 私は騙される!」でも言っている通り、上手い話や理解出来ない金融商品に手を出してはいけません。
10%以上の利息(とは言えこれは年利の話)を謳いつつ、組入れた資産が5~10%程も上がれば早期償還になってしまい(ここで利息は終了)、その後、販売金融機関が手数料を得るために何度も新たな買いを勧められ、そして下がったときにはフルにリスクを取らされる。
こんな金融商品(モドキ)がまるで安全な商品であるかのように説明され、金融工学に詳しくない素人投資家から膨大な手数料を得てきました。
10年も前から問題点は指摘されていたのに、当局は何故もっと早くこのような商品販売を止められなかったのか。少なくとも組成する会社や販売会社が幾らの手数料を得ているのかを開示させることをしなかったのか。
「貯蓄から投資へ」ではなく「貯蓄から手数料へ」のお手本です。
(街のコンサルタント)
[編集部注]
街のコンサルタント氏の過去コラムで仕組債の分かりやすいものは2018/04/12のコラムです。 ⇒ http://okuchika.net/?eid=7689
また、20年以上前にEB債についてのQAがあります。
http://okuchika.net/?eid=10687
ご参考まで。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)