このところのビジネスは二極化していると感じられる。
どう二極化しているかと言うと高級化と低価格化に2分されているのではないか。
高級品が売れているという事例ではタイルや建材を取り扱っているアドヴァングループ(7463)で聞かれる高級ユニットバスや高級キッチンの話が上げられる。
アドヴァングループというとイタリアから仕入れた意匠性の高い高級な大理石を販売しているとのイメージがあるが、このところ同社の売上拡大に貢献しているのは、意外にも高級ユニットバスとのこと。
リゾートホテルや高級マンション向けなどに売れ行きが好調らしい。
高級で言うと1セット数千万円クラスの高級イタリア製キッチンも取り扱っている同社であるが、もともとは住宅用タイルの取り扱いからビジネスはスタート。タイル職人の教育研修などを地道に実行しながら年商規模を着実に拡大し、近年では茨城県坂東市にある大規模な流通センターを活用して製品を製造する工場としても機能し海外有名ブランド企業と組んで日本での高級住宅機器の製造販売で事業規模の拡大に向けて前進(社名の由来になっている)している。
建築設計士さんなどに話を聞いてもアドヴァングループが高級品のイメージがあるとのこと。粗利率の高い高級住宅機器の取り扱いでコロナ禍でやや停滞してきた業績を飛躍に導こうと現社長の末次氏は国内外を飛び回っているとのこと。
世界中の高級ブランドを取り扱う同社の生き方は同業他社にも徐々に広まろうとしている。
例えばライフスタイルとして定着してきたガーデニング関係でも世界トップクラスのタカショー(7590)が高級感のあるガーデニング資材を投入し着実な成果を上げているという。
高級というと別の言い方ではラグジュアリーという言い方が思い浮かぶが、ラグジュアリーゴルフアパレルブランド「MARK&LONA」を国内外で展開するキューブ(7112)が成長途上にある。同社のゴルフアパレルはキムタクをアンバサダーにしており、若年富裕層に受け入れられコロナ禍の中でも年々売上を伸ばしてきた。
同社の売上高は2020年26.6億円⇒2021年39億円⇒2022年55.5億円と推移。今期2023年のは62億円となる見通し。
これまでの代表的なショップであったGINZA6の店舗の3倍もの面積の路面店を南青山の骨董通りに4月22日にオープンすると先日発表したが、IPO後に鳴かず飛ばずできた株価はこうした積極的な世界にアピールするフラッグシップ高級ショップをビジネス発展の礎にするとの意気込みが感じられる。
世界には数多くのラグジュアリーブランドが存在しており、フランスやイタリアなど欧州や米国での巨大な企業を生んできた。これと同じことがなかなかできないできた日本だが、既に上場まで果たして展開のための軍資金を確保した同社の試みは注目に値する。
国内での自社出店や、取り扱い店も今後増加するがゴルフが盛んな一種のブームともなっている韓国では既に44店舗が総代理店を通じて展開されているようだが、今後はイタリアや米国、台湾、中東、ASEANでの展開が期待される。
このように高級ブランド品を世界中の富裕層へ販売する指向は日本にとっては一つの方向性となるであろう。
一方では低価格指向も相変わらず続くのであろうが、春闘での比較的高い賃上げが実行され安さだけを追求してきた時代から多少は変化していると感じられる。このところの様々な原材料や輸送費、人件費などコストアップ要因が進展する中で低価格化路線よりも高級化路線に活路を見出す動きも見出せるようになった訳で銘柄選びのヒントになれば幸いだ。
(炎)
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