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有料メルマガ・石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」の過去配信ライブラリ「銘柄研究」「コラム」のうち、コラムの一部を掲載いたします。
自立した投資家、石川臨太郎のコンテンツをお楽しみ下さい。
なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。
=コラム「業績伸長が確実な企業がSell in Mayで下げたら、安く買うチャンス」
(有料メルマガ第328回・2015/5/5配信号)
※2015年5月現在の内容です。留意してお読み下さい。
【前略】
株式市場には、理論では明確な説明ができないものの、よく当たるといわれる経験則というものが存在します。これをアノマリーと呼びます。
『セル・イン・メイ(5月に売れ)』もこのアノマリーの一つです。相場には人の心理が大きく作用しますから、金融工学的な理論だけでは説明がつかない現象がしばしば発生します。したがって、こうしたアノマリーを意識して投資をすることは意外と重要です。ミスターマーケットは経験則に従うことも多いからです。
しかし、こうしたアノマリーは、明確な定義がない分、時代や環境によって、その意味が次々と変わったりしますから、実際に活用する場合には注意が必要です。
『幸運の女神さまは細部に宿る』とも言われています。幸運の女神さまの合図は、わずかな変化に現れることが多いことから、このように言われているのだと考えています。そして『幸運の女神さまは、一番努力して準備をしたものに舞い降りる』とも言われています。つまり細部に宿った幸運の女神さまのウインク(=合図)を見逃さない能力を鍛えることも、重要な準備の一つだと私は考えて実践しています。
【中略】
決算発表の内容を確認してから投資判断を行っても十分間に合うと考えています。最近の投資家は疑り深く臆病で、企業の決算発表があってから投資行動に移ることが多いです。フライング投資はリスクが高いです。特に株価が下げることが多い5月には、慎重に投資行動を行うほうが良いと考えています。
【中略】
私も若かりし頃は『ガツガツガッポリ稼ぎたい。』『とにかく早く大きく稼ぎたい。』と思いながら株式投資を行っていました。
そう思いながらも臆病な性格なので、用心しすぎた、へっぴり腰スタイルで株式市場と向き合っていたので、それほど早く大きく稼ぐという夢は、実現することができませんでした。その代り、株式投資から強制退場をくらうような致命的なダメージをうけることもありませんでした。
多くの幸運に助けられて、株式投資でも着実に利益を積み重ねることが出来て、その稼ぎを勝ち逃げさせて、賃貸不動産投資や私設年金に資金をシフトしていたので、60歳から私設年金を受け取ることが出来るようになってきて、現在の物価レベルなら株式投資に依存しなくても『ホッコリと生活を楽しむ』ことが可能な状態を作り上げることができました。
これから心配しなくてはいけないことはアベノミクスや黒田日銀のやりすぎで制御できないような大きなインフレが襲ってきたときに耐えられるような資産の防壁を株式投資で築いて準備をしておくことです。
【中略】
私は株式投資を始めてから、すでに30年以上がたちました。私が最初に恐る恐る買った株は東芝でした。まだほとんどの銘柄の投資単元が1000株の時代です。1985年の1月18日のことでした。
サラリーマンとして稼ぐ1か月のお給料以上の金額42.1万円を東芝株に投じました。1株421円で東芝株を買ったわけです。期待に反して株価は下げ続けて9か月後には東芝の株価は329円になってしまいました。しかし我慢して我慢して株価が買値を上回るのを待ち続けて1986年7月24日に460円で売って、人生初の株のキャピタル・ゲインを手に入れました。
しかし東芝の株価は上昇を続けて、売ってから2か月後の9月30日には853円と買値の2倍以上になりました。
この経験を活かせたかといえば、全く生かすことが出来ないで、株式投資を始めてから20年くらいの間は『運が実力のすべて=株で稼げたのは、すべて幸運のおかげ』という状況が続いていました。運が無ければまったく利益を上げられないというのでは、長く株式投資を続けて、いろいろ経験して学んでいる甲斐がありません。
そこで、いろいろ勉強し、工夫して、少しくらいは『稼げて当然』という株式投資もやりたいと努力してきました。
その中で投資した結果が良かったのが、PERが10倍以下で、業績が投資した以降も着実に増えていく可能性が高い企業の株への投資です。
最近の研究銘柄としては、そのような銘柄を取り上げることが多くなってきています。ただインフレ対応のための投資対象としては、含み益が大きな不動産を持っている賃貸不動産業を営む企業などに関しては、PERが20倍を超えていようとも、ときどき研究銘柄とすることがあります。
含み不動産銘柄に関しては、PERではなく土地の含み益も勘案した『すでに持っている資産価値』を重視して銘柄選択を行っています。
【中略】
このメルマガの購読者のほとんどの皆さんは、デイトレードのように1日で売買の決着をつけるような忙しい投資手法を選ばずに、投資した銘柄をある程度の期間はホールドしつづけることにより、相場変動のリスクを取り続ける株式の投資手法を選んでいる投資家であると予想しています。
そうであるならば、投資環境の悪化でリスクオフが生じることを、想定したうえで売買を行って、自分の投資目的をかなえることができる可能性の高い『自分の株のポートフォリオ』を作っていく必要があります。
どのように価値のある『もの』(⇔株ばかりではなく、あらゆるもの)でも、投資家や消費者などの状況によって価値や価格は変動します。
投資環境が悪化した時に信用取引などを行っている投資家は、追証で破綻するリスクを背負い込みます。
自分が想定して耐えられる範囲で投資をしていれば生き残ることが出来るのでしょうが、人間はえてして欲に惑わされて限度を見誤ります。自分以外にも大きく相場を張っており破綻に近い人々が生き残るまめにロスカットの売りを出してきたことで、株価が連鎖して下がり、多くのレバレッジ投資家の売りを誘発させます。
そのために現物で投資するだけの、より安全な株式投資(=どんなに損をしても投資元本額の範囲までの損失であるという意味です)をしており、どんなに割安な株に投資していても、リスクオフで株式市場から逃げ出す投資家たちの影響を被ります。
そのとき本質的な企業の価値より、瞬間的に大きく下げたバーゲン価格で、株に投資するためには、普段から投資対象の企業の本質的価値をしっかりと確認しておくことと、資金的な余裕を持っておくことが必要になります。『セル・イン・メイ』で株価が下がる銘柄があり、その銘柄がもし、投資する価値が高いと判断できている割安な銘柄であるならば、今まで以上に安く投資できるチャンスになります。
投資環境の悪化でリスクオフとなった市場では、多くの企業の株が、その企業の『本質的価値』とは違うバーゲン価格まで下落することが多いです。
その時に買いたい株と同じように下げている自分のポートフォリオ銘柄を処分して売って(=買値からはかなり上げており含み益となっている場合もあれば、買値より下げて含み損となっている銘柄もあります)資金を作ろうとするならば、どの株を売るかの判断を短期間に下さなければならなくなります。
当然のことですが、現在持っているポートフォリオ銘柄も自分が厳選して投資した、色々な意味で割安なバリュー株がほとんどです。市場で一時的についてしまったバーゲン価格と比較して『本質的価値』が高い企業ばかりです。
そのような株を売っても欲しい、より割安な株であるかどうかの判断も瞬時に行わなければなりません。普段から自分のポートフォリオ銘柄を評価しなおしておくという作業(=準備)も必須事項です。
そして投資の判断を行って実行した結果が、自分が予想した動きとは逆で売った株が上がって、買った株が下がるという、ダブルパンチの損の往復ビンタ(=値上がり益の喪失と、買った株の含み損の増加)というダメージを被ることも多々起こります。この状態が一時的な場合もあれば、長期間継続してしまう場合もあります。
過去の長い経験が生きる時もあれば、まったく想定外のリスクが発生して、自分の思惑を吹き飛ばす事態が起きてしまうことも起こります。
一番わかりやすい例で言えば、東日本大震災が起こったのは3月11日でした。3月10日までの投資家を取り巻く環境と、3月11日の地震、津波の被害、福島第一原発の被災と放射能拡散事故の連続パンチで、私の投資あたまも白紙状態になりました。
しかし、どう立ち回ったら自分の投資資金を守れるかを考えないわけにはいきません。このような悲惨な天災リスクと人災リスクが複合で発生しているのですから、自分の株式のポートフォリオが被弾して損失が発生するのはやむを得ない事態です。
そのような厳しい状況の中でも株の売買は継続されて、刻々と株価が下落していく時の恐怖と、テレビで次々に映し出されてくる東北地方など被災地の被害の大きさと爆発して水蒸気を上げる福島第一原発の映像から受ける恐怖。
思い返してみれば、よくあれだけの恐怖の中で株式市場に踏みとどまって、株式投資を続けられたものだと少し自分を評価したい気持ちになります。
このような厳しい投資環境と株価の大きな下落を経験したことにより、それなりに投資度胸が鍛えられて、少々の株価の下落には動じなくなってきます。
毎年のアノマリーの『セル・イン・メイ』で生じるような下落くらいで心臓が縮んで身動きが取れなくなるような軟弱な精神力は、すでに持っていません。投資に使う心臓には、十分すぎるほどの毛が生えました。
しかし、どんなに図太くなろうとも、なるべく自分が投資している投資資産の金額を減らしたくないという思いは当然のごとく強く維持しています。
そのためには3月本決算銘柄に投資を行うならば、その企業の新年度の業績予想を確認し、かつ、その企業の研究をしっかり行ってから投資行動をスタートする。決算発表前に思惑でフライング投資などしなくても、十分に間に合うと考えています。
【後略】
経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎
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