バフェットさんの発言から大手総合商社株の人気が高まったことがこのところの全体相場上昇を後押ししたとも言えます。
 総合商社は世界的に見ても日本独特の存在でお金と知恵とで世界を舞台に活躍し利益を得てきました。その多くは天然資源の開発によるもので、このところのエネルギーや金属素材価格の上昇で三菱商事を中心に、いずれの大手総合商社も空前の利益を上げています。

 ただ今期については市況の頭打ちから減益見通しが示されており、本来なら株価は停滞が予想されるのですが今年は有名投資家であるバフェットさんという後ろ立てを得ての活躍です。
 勿論、三菱商事のように自己株買いを実施するなど企業努力もあっての株高ではありますが、この先に待つ展開は世界経済の状況とも関わります。
 リスクがどこかに潜んでいることにはなりますし個人投資家の皆さんにとっては、ここから更に追いかけるのは気が引けるのかも知れません。


 ご存じのように日本には三菱商事、三井物産、伊藤忠、住友商事、丸紅に、豊田通商、双日を加えた売上高1兆円以上の7大総合商社が上場しており投資家各位の関心を集めています。
 皆さんもこの中のどこかの銘柄を保有されているかも知れませんね。
 これらの7社を合わせた売上高は前期は78兆1605億円、営業利益は3兆8557億円でした。これに対して7月21日現在の時価総額は38兆3281億円となっています。つまり日本の株式3市場合計時価総額の4.6%を占めていることになります。
 6社平均予想PERは9.1倍、同実績PBR1.28倍、予想配当利回り3.2%となっており、まだ特段の割高感はない状態ですが今期の7社の営業利益合計は3兆950億円ですので極端な割安感も薄れてきたとの印象です。

 こうした総合商社はコングロマリット(悪く言うと何でも屋)という立ち位置から基本的に評価が高くないのが世界的な位置付けですが、バフェットさんはこうした評価を変えてしまいました。今後もこれらの総合商社株はマネーとマンパワー力で業績を拡大させながら市場での評価を高めることになるかと思われます。


 一方、筆者が気になっているのは同じ商社セクターの中で取り扱いアイテムが限定的な専門商社の位置付けです。

 日本の株式市場には機械や化学品、鉄鋼、建材、エレクトロニクス、半導体、燃料などの分野に特化した商社が上場しています。
 現在、リョーサン(8140)のような半導体商社が一部ファンドに関心を持たれてイレギュラーな株価上昇が見られますが、その多くは余りまだ関心を集めていないように思われます。

 専門商社でもやはり成長分野の商社と成熟ビジネスに関係した商社では評価が分かれています。
 例えば紙パルプに関わる専門商社としては日本紙パルプ商事(8032)とKPPグループ(9274)の2社がありますが、皆さんもご確認頂きますとこれらがとても割安に放置されていることがわかるかと思います。
 これらの筆頭株主はいずれも日本一の山林保有会社、王子ホールディングス(3861)ですが、こちらもPBRが0.6倍以下となっており、ペーパーレス社会の到来が意識される中でネガティブな評価がなされている結果ではあるとしても、見方を変えるとすこぶる高いリターンを得る可能性があるものと考えます。

 紙パルプ業界に限らずテレビメディア各社もそうですが衰退産業と一般的に見なされた企業への極端な低評価が現在の低PBR状態の根源てあるなら、もう一度これらの企業の良さを見出すことが必要なのかと思います。


(炎)


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