最近の国際情勢は混とんとしていますが、その中でも、大きな流れがある程度見えてきました。それを特徴づけるものの一つが、「勝ち組国家」と「負け組国家」です。
数の上でいえば「負け組国家」の方が圧倒的に多いのですが、代表例は中国と韓国でしょう。
拙著「銀座の投資家が「日本は大丈夫」と断言する理由」(PHP研究所)の第4章などでも書いているように、発展途上国から中進国まで発展することは、いくつかの条件さえ整えばそれほど難しくありません。人件費(人間)の安売りをして、少々粗悪でも安い製品を大量に輸出すれば、それなりのレベルまで発展できます。
最近は、日本製の工作機械の水準が驚くほど高まっているので、極端に言えば、それを地面に置いてボタンを押すだけで、工業国の仲間入りをすることができるわけです。
しかし、そのような誰でも製造できる製品は、ウォーレン・バフエットが言うところの「コモディティー」であって、さらに安い人件費(人間)を提供する国が現れれば、あっという間に追い越されてしまいます。(『勝ち組投資家は5年単位でマネーを動かす』(PHP研究所)第3章<循環する工場>などでも、関連する話題を採りあげています)
そこで、中進国に到達した政府は、産業構造をより高緯度化するために転換しようと躍起になるのですが、これはとても困難なことです。
第2次世界大戦後、(新たに)真の意味での先進国(一人あたりGDP4万ドル程度)入りしたのは日本とシンガポールのたった2か国です(産油国などは除く)。現在、一人当たりGDPが2万ドル程度の韓国や台湾は、成長著しいものの、まだ中進国グループに属しています。
なぜ、中進国から先進国へと発展するのが難しいのか?それは、先進国入りするためには政治改革(民主化・自由化)が不可欠だからです。
「経済と政治は関係ないんじゃないの?」と思われる読者も多いかもしれません。たしかに、発展途上国から中進国へと至る段階では、中国や韓国のように国民を弾圧し、言論の自由を奪う独裁政権の方がうまくいく場合が多いようです。
しかし、先進国型経済に転換するためには、鞭で打たれて無理やり働く肉体労働者では無く、(政治的自由を渇望する)高度な教育を受けた教養人が必要で す。したがって、政治的自由が無い国は、そのような知識人や教養人にそっぽを向かれるため、基本的に先進国入りをすることができないのです(シンガポール は小国ゆえの例外です)。
例えば、中国の共産党幹部は汚職で蓄財した莫大な資金を海外へ送金し、家族も移住させて亡命の機会をうかがっています。韓国でも、富裕層の子弟が徴兵を忌避するために、外国籍や永住権を取得することが問題になっています。
中国や韓国で反日運動が先鋭化しているのも、それらの国々の指導者層の愛国心の薄さが原因です。何かあったら、真っ先に自分の国を逃げ出そうと準備して いる人々がリーダーであるわけですから、それを見透かしている民衆に「反日=愛国」というゆがんだ考えを押し付けざるを得ません。
このような事情から、中国と韓国は、いわゆる新興国の中でもっとも危険な状態にあると考えます。
また、これまでもてはやされてきたブラジル、ロシア、インドも、各種経済指標を観る限り、とても困難な状況に直面しています。
期待された「アラブの春」は、「アラブの冬」に向かいつつあります。
東南アジア(ASEAN)諸国は、これまでも度々取り上げた「華僑経済圏」と「イスラム経済圏」がクロスオーバーするところです。しかし、ベトナム、タ イ、インドネシア、マレーシア、カンボジア、ミャンマー等々、個別の国々として考えると、必ずしも輝かしい将来が待っているとは思えません・・・・「負け 組」とは言わないまでも、「勝ち組」入りするには、相当な努力が必要です。
それぞれの国家としては、今一つですが、「華僑」と「イスラム」が関わる部分に大きく伸びる余地があるのが、東南アジア(ASEAN)地域の特徴といえるでしょう。
フィリピンについてはダークホースと見ています。
そして、長い間先進国であった欧州の国々の多くは、「かつて先進国であった」国々の仲間入りをするでしょう・・・エジプトも、3000年ほど前は、世界をリードする先進国であったわけですから・・・
<勝ち組国家>
逆に、勝ち組国家の筆頭は日本。続いて米国。それ以外には、もしかしてドイツ。そして、まだ不確かな部分もあるのですが、サブサハラ(サハラ砂漠よりも南)の国々など・・・。
勝ち組国家についての詳細は、企業情報を読み解け! バフェット流<日本株>必勝法=永久保有銘柄を見抜く18のポイント(日本実業出版社)の第10章、『勝ち組投資家は5年単位でマネーを動かす』(PHP研究所)の第4章、「銀座の投資家が「日本は大丈夫」と断言する理由」(PHP研究所)の第3章~第12章をご参照ください。
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(OH)
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