そんな中で気になる新興国の状況。
まずは今年春頃からデモのニュースが増えたトルコ共和国。エルドアン首相が来年の選挙に向け政治色の強い政策を打ち出し始めている故に、イスタンブール やエーゲ海沿い地域に多い世俗派(と言われていますが、西側先進国との交流も多く比較的裕福な高学歴層が多数住み、宗教的な厳しい戒律などを嫌う層)が反 発を強めているとの事です。
宗教意識が希薄な日本の都市部に住んでいると分かり辛いですが、海外の人達の宗教感はとてもしっかりしています。それ故にそれら国々の政治家もその宗教上の考え方や対処法を認識していますので政策にも影響を与えます。
日本人にとっては違和感を覚えるラマダン(断食)や毎日5回もするお祈りなどもイスラムの人々にとっては当たり前のことです。日本のTVでは沢山の人が 集まってお祈りを捧げる金曜日の礼拝の映像ばかりが流されますので、イスラムの人はまるで仕事よりお祈りばかりしているかのように錯覚しがちですが、通常 は時間が来たときにちょっとだけ仕事の手を休め、空いた場所でメッカの方向を向いてサッとお祈りする程度の姿をよく見かけます。イスラム教圏の方達も他宗 教同様、教義にとても忠実ですから、短い時間であってもお祈りなどは規則正しく行います。宗教観(道徳観)がしっかりしていますから、人が見ていなければ いいと言った(一部の日本人に蔓延している)はしたない考えを持った方は少なく感じます。もちろん悪い人はどこにでも居るし、貧困の状況によっても違うの でしょうが、世界的にも恵まれているはずのこの日本で、高齢者を狙った詐欺が増えているなどのニュースを見るにつけ残念な気持ちになりますね。
メディアももう少し正確に視聴者に認識してもらえるよう、より公正に多くの海外の状況を伝えて欲しいと思っていますが、日本のマスメディアの中途半端さ、手前勝手さ、責任感の無さを感じてしまうのは私だけでしょうか。
トルコ共和国はここ10年ほど急成長したとは言え、そう簡単には先進国感覚で投資環境を捉えるのは難しそうです。まだ国民の8割以上が「敬虔な」イスラ ム教徒(実質は99%がイスラム教徒)であり、資本主義的な思想も都市部を除いてはそれほど浸透していません。今後の成長に於いても資源輸入国である故の 制限がありますし、また国の東側には内戦状態のシリアがあり、エーゲ海を隔てたギリシャとも紛争を抱えています。山岳地帯ではクルドの独立問題も続いてい るなど、どこの新興国に於いても平和ボケの日本人では安易に理解が出来ない環境であることを認識しなければいけません。
一連のデモについて先日は、今は選挙対策の意味もあって支持を得る為の行動をとっているが、選挙が済めばエルドアン首相の強硬姿勢にも変化が出るだろ う、トルコはイスラム圏の中でも随分と西側の思想が広まっているから、宗教対立的な暴動などには発展せず、落としどころを探る動きになってくるのではない か…と言った話をその筋の方から聞きました。
もともとは政教分離を国是として1900年代前半に独立した国ですから、宗教的な色彩による対立は他のイスラム教国ほどに深刻ではないはずですし、今後 の政策次第では各都市でのデモや暴動なども来年に向けて徐々に沈静化するとも考えられます。これらの問題が落ち着いて来れば、これからの5年、10年単位 での投資対象として有望な国になるのでしょう。
同時に、同国は世界有数の親日国でもありますから、是非、より一層の親交を持ち、同国や周辺国家の安定のためにも日本は出来る限りの支援をすべきと思っています。
億近のコラムではインドやアジア諸国などの新興国の話題が時々出て来ますが、小職も知りうる範囲で書いていきたいと思っています。
ブラジルなどのBRICS諸国、トルコやメキシコなどのNEXT11と呼ばれる国々を中核として、一人当たりGDPが10,000ドルを超えてきている 国々は今後は一層面白い投資対象になるであろうと期待しています。それらの国に良い投資対象が無いかなど、色々と金融市場(投資商品)を調べ、少しずつで も成長期待のある国への海外分散投資を進めて頂くのが宜しいかと考えています。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)