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市場潮流
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市場潮流

2013-12-30 14:02
    本年最後にお届けする「市場潮流」となりました。
     11月半ばから執筆を始めさせていただきましたが、日経平均株価は本日(27日)で8日続伸。年末にかけ国内株式相場は久々に「掉尾の一振(とうびのいっしん)」の様相を呈しています。14年も有益な情報をお届けできま
    すよう努力してまいります。何卒宜しくお願い致します。

     先週も触れましたが、14年1~3月の株式相場の最大の注目ポイントは日銀の追加緩和の時期と考えます。日銀の金融政策決定会合の日程は、1月 (21~22日)、2月(17~18日)、3月(10~11日)、4月(7~8日、30日)、5月(20~21日)となっています。追加緩和の時期に関す るESPフォーキャストによる民間エコノミストの予想は、(1)3月以前、(2)4月、(3)7月の3通りに大別され、構成比は(1)が21%、(2)が 47%、(3)が13%と4月あるいは4月以前とみる向きが有力となっています。
     日銀の声明文での景気、物価に対する見方の整合性が問題になりますが、やはり、「兵力の逐次投入はしない」、「市場の期待に訴えかける」との黒田総裁の ポリシーからすれば、4月以前にサプライズを伴う規模・内容で実施する可能性は大きいといえましょう。これらを踏まえて円安が進行、自動車など外需依存型 製造業を中心に業績改善期待が高まり、株式相場は当面上昇基調を維持するとみています。

     突発的なニュースとしては、安倍首相が靖国参拝を実施したことが挙げられます。12年12月に安倍首相が就任して以来、中国、韓国との外交関係は好転の 兆しが見えませんでした。このため、中韓両国との関係の株式相場への影響は軽微にとどまるものと考えます。ただ、米国が「失望」という表現で懸念を表明し たことは気になります。これは中韓両国への配慮による米国の「ポーズ」の要素も多分にあるとみていますが、これまで「アベノミクス」に対して理解を示し、 「円安政策」を黙認してきた米国が、安倍政権に対し強硬姿勢に転じることは、「円高→株安」の再現につながりかねない事態として懸念されます。中韓両国と の関係よりも対米折衝を注視したいと思います。

     14年1月からはNISA(少額投資非課税制度)がスタートしますし、同じく1月から、日本証券取引所グループと日本経済新聞社が共同で開発した新たな 指数「JPX日経インデックス400」の算出が開始されます。120兆円超の資産を擁する公的年金の運用改革論議が高まっており、今後株式投資が拡大され た場合、ROE(自己資本利益率)が高い銘柄など成長株への選別投資にあたり同指数が採用される可能性があります。

     以前取り上げました100円ショップのセリア(2782)は、今期および来期営業最高益を更新見込みであり、実績ROEも24.8%と高く、新指数にも採用されています。本日は年初来高値となる4370円をつけました。
     また、無人時間貸し駐車場を運営するパーク24(4666)も同じく今期および来期営業最高益を更新見込みであり、実績ROEは22.1%に達しています。

     こうしたROEの高い銘柄には要注目ですが、一方で研究開発などに資金を投入することであえて低い利益率にとどまって企業にも注目したいと思います。
     東京海上アセットマネジメント投信運用本部チーフファンドマネジャー兼チーフストラテジストの平山賢一氏は、「日本には営業利益の半分を研究開発に使う ような企業がたくさん存在する。本当であれば、ROEを世界標準の15%に出来るのに、あえて8%に抑えて利益率を半分にし、研究開発にお金を使う。これ を上場企業がやっているのが日本。ドイツにも似たようなことをやっている企業があるが、大半は非上場企業。研究開発に熱心な企業に投資家が資金を投入しや すいという点でも日本の株式市場はすごく面白い」と著書「インフレ時代の資産運用塾」(朝日新聞出版)で言及しています。
     一面的な見方だけでなく、日本の市場、企業の特性にも目配りした銘柄選択をしていきたいものと考えます。

     それでは、皆様良い年をお迎え下さい。

    (水島寒月)

    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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