今週(6月9~13日)の東京株式市場は、日経平均株価で20円、率にして0.1%の小幅上昇となりました。米株式市場でNYダウが連日で最高値を更新 するなか、東京市場は1日ごとに上昇と下落を繰り返しましたが、5月末からの上昇で、短期的な過熱感が高まったことも影響したようです。

 このコラムでも何回か取り上げた三菱商事(8058)ですが、本日(13日)、年初来高値となる2090円をつけました。14年3月期の決算発表(5月 8日)で増配と自社株買いを公表した後、株式市場の高評価が続いていますが、決算発表の前日(5月7日)の終値1819円から本日の終値2084円までの 上昇率は14.6%に達しました。

 中長期的な株式相場のテーマを考えた場合、やはり、食料とエネルギーは重要です。大手総合商社でも資源・エネルギーに強みを持つのは、三菱商事と三井物 産(8031)です。三菱商事は原料炭、三井物産は鉄鉱石で、それぞれ上流権益生産量でトップです。さらに、両社は、「サハリンIIプロジェクト」など天 然ガス権益でも他社を大きく凌駕しています。これらは、資源・エネルギー分野での取組みによる蓄積、大手資源メジャーとの関係性など長い歴史の積み重ねに よるものであり、他社が容易に追随できるものではありません。
 また、食料分野でも、三菱商事は、そのグループ企業による、メーカー(上流)から卸(三菱食品など)(中流)、小売(ローソン)(下流)に至るいわゆる 強固なバリューチェーン(価値連鎖)を形成しています。海外投資家などには、「総合商社」というビジネスモデルはなかなか理解できないもののようですが、 日本経済が発展する過程では、大きな役割を果たしてきました。

 なんだか「総合商社賛歌」のような文章になりました(笑)。株式市場で万年割安に放置されているセクターですが、少し目を向けていただいても宜しいかと思います。

(水島寒月)

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