はじめに。
先日のニュースで、自民党内に酒の安売り競争を規制する法案を議員立法で提出する動きが出ているとありました。小規模店舗の保護が目的とのことで、不当 廉売や酒税収入の観点から・・・などの見立てもありましたが、そこは体制紙、事実をはっきり書きません。要は大手酒販店との価格競争を避けたい地元後援会 の小規模店が地方議員を突き上げただけです。民間の競争に口出しすべきでないのは明らかなのに、少ない得票数で当選した地方既得権議員が細かな行政にまで 口出しし規制緩和の障害となる好例です。
悲しいことに、日本では様々な法案作りを議員が役所(行政)に丸投げし、そしてその法律が成立しても内容すら良く理解していない議員ばかりであることで す。結果としてその後の政令省令で役人にやりたい放題となってしまい、国会では頓珍漢で中身の無い国会討論(これも役所が作成)が続き、本質的な議論がな おざりにされてしまいます。
憲法第41条には国会が唯一の立法機関だと明記されているのに、立案をしない形式的な国会運営の陰で政治家は日々何をしているのか?仕事もせず陰でカサコソとロクでもないことばかりをしているゴキブリなら要りません。
政治家の最重要な職務である法案作りを官僚に任せ、彼らが熱心なのは本来は行政の仕事であるはずの道路や橋を作ることばかり。本末転倒が続きます。
大胆な規制緩和や構造改革、社会保障(財政)改革などが直ぐにも必要なのに、安倍政権が発足して2年半が経ちましたが遅々として進みません。日本が崩壊するまで、この無味乾燥な政治パフォーマンスが延々に続くという懸念が確信に変わりつつあります。
さて、セル・イン・メイ(SIM:株式は5月に売り)とは良く聞く言葉ですが、日本においては実際にはどうだったのか?
大雑把ですがTOPIXベースで概ね3~5月に高値を付けて、その後秋頃まで下げた年を検証すると2000年以降では、2000年~2002年、2004年、2006年~2008年、2010年~2012年です。
反対に春頃に買っておいて正解だったのは、2003年、2005年、2009年と2013年以降になります。この15年間の結果は10:5になります。かなりの確率ですね。
特徴はと言えば、春頃に高値を付けて下落する(SIMの)年はイメージし辛いですが、上昇した年は体感的にも明らかに景気回復をしていた時期ではないで しょうか。つまり年末(将来)に向けて希望が得られた時期と言うべきか。そしてSIMの年でも更に年末まで下落し続けた年は明らかに景況感が悪化した年と 言えそうです。リーマンショックがあった2008年や東日本大震災のあった2011年などです。
説得力のあるデータを並べるより(個人的には)大きな事象に対しては直観的なものを大切にしています。そんな感覚で今年を想像するに、確かに日本企業の 業績は(具体的な数値は予想し辛いものの)改善はするのでしょうが、為替や資源価格の不透明感や米国を除いた地域の景気回復の遅れ、各地での紛争や大国同 士の敵対など、今年は安心できる程の要素が見当たらないと感じています。しかも時価総額は既にバブル期並みですから、個人的には慎重になっています。
今年はSIMになる可能性が高いかもしれません。
但しそんな中で、日経平均株価はこの2年間で60%も上がった一方、単純平均株価は25%しか上がっていませんから、如何に指数採用の値嵩株がインデッ クスを押し上げたかが分かります。つまりは指数を操るファンドと公的資金とで指数を吊り上げただけとも言えますから、何度も申し上げていますように既に日 経平均株価は株式市場の実態を表しておりません。
同時に、短期筋が参戦したくなる何らかの材料が出ない、または指数寄与度の低い銘柄は依然として割安に放置されたままであると言い換えられます。
役所から配布される記事が多い体制紙では「賃金が上がった、株価が上がった」という煽り記事が目に付きますが、実際のところ消費税率以上に賃金が上がっ ているのは数百社程度の大手上場企業や、震災から3年経ち元に戻った公務員給与ばかりであり、株式市場にしても指数の上昇ばかりが目立っています。
とは言え日本の株式市場ではまだバブル相場が終わる気配はありません。横並び的に吊り上げられる指数(日経平均や日経400など)に注意しながら、今後1~2年間は割安な、または将来性を評価するための銘柄研究が一層大事になると考えています。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)