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米国の金融政策を決める米国連邦公開市場委員会FOMCの結果を待つマーケットは、方向感が見定めにくい動きが続いています。やや落ち着きを取り戻しているようにも見えるマーケットに、イエレン議長はどんな決定を伝えるのでしょうか。
人民元切り下げに始まった世界的な株式市場混乱を懸念した環境の中で、9月の利上げは見送られるとする見方が主流と伝えられていますが、一部の通信社に よる現地エコノミスト事前調査では、やや0.25%の利上げ見送りが半数以上いる一方で、利上げ決定予想者の数も40%強の数を示していて、見方は分かれ ているようです。さらに、少数派としては、0.125%利上げを予想する向きもいるようです。
決定が発表される日本時間18日午前3時が迫ってくる中で、昨日は米国の債券市場での動きが注目されました。
特に、金融政策の方向性が表れる2年債の売りが出て利回りは一時前日より0.1%高い0.8%(過去1ヶ月間の平均は約0.7%)に乗せ、10年債も2.29%(過去1ヶ月平均利回りは2.15%)に上昇しました。
昨日発表された小売売上高等の経済指標が予想より弱かったため、債券市場の動きは整合性に欠ける、やや違和感を感じるものでした。これだけをもって今週の利上げに結びつけるのも早計ですが、もしかして、ついに利上げか!?の可能性は想定しておいた方が良さそうです。
利上げがあってもなくても、重要なのは市場がどう反応するか、です。
0.25%利上げ=ドル高、株安、或は見送りで=ドル安、株高と単純な図式で動くとは考えづらいです。発表直後は解釈により乱高下の可能性がありますの で、どちらかを先読みしてポジションを傾けてしまうのはリスクが高いでしょう。とりわけシルバーウィークという長い連休を前にした日本の投資家にとっては 尚更です。
FOMC終了後には声明文と共に、経済見通しや政策金利の予想も発表され、こちらも注目材料になりますし、イエレン議長の会見がどんな文脈で市場に解釈されるによってもマーケットは動きます。市場の反応を冷静に見てからのアクションでも遅くないように思います。
9月に入ってからの主要通貨の対米ドルパフォーマンスは、まちまちでした。大きく売られたのはブラジルレアル、トルコリラ、インドネシアルピーなどの新興国通貨でした。新興国通貨安が続いています。
一方、スウエーデンクローネを上昇トップとして北欧通貨が買われ、ユーロ、豪ドル、日本円等も0.5%程度の上昇でした。
ドルの総合的価値を示す指標であるドル指数(ドル・インデックス)は8月の下落から反発してボックス圏での動きを続けており、200日移動平均である95.33よりも少し上95.60レベルでの動きになっていて、ドルは弱含み保合い状態です。
9月のドル円相場は、119円~121円が主な取引レンジでの動きに終始しています。株安などリスクオフの状況では、ドル円相場は円高方向へ下押しされますが、下値の水準では買いも出て120円台に戻されてくるという動きが続いています。
為替のポジション動向を見る上で参考とされる先物市場IMM投機筋ポジションは、最近円売りポジションが相当解消され軽くなっているのも、リスクオフでの円高方向への動きが限定的である背景と思われます。
ドル円相場の市場予想は円高方向へ微調整しつつあるように見受けられます。
ただ、日本企業による海外投資の増加、安保法案を通した後の安倍政権による経済対策実施と共に、日本銀行の金融再々緩和実施の可能性も否定できないと考えると、さらなる円安の可能性もありと考えています。
さて、中東から欧州への難民流入が問題化されています。欧州では難民問題のための首脳会議が開かれますが、各国の対応は一致しないようです。
大量の難民が流入しているとされるドイツは、難民対策のための特別予算を追加すると発表してます。この問題がユーロ圏経済にどのように影響してくるか注目していきたいところです。
ユーロ対米ドルは、月初の欧州中銀理事会後のドラギ総裁による量的緩和拡大発言で、下押しした場面がありましたが、基本的にはレンジ相場が続いて相当日柄が経過しました。
8月のユーロ圏のインフレ率は0.1%とゼロに近づき、経済見通しも改善せずという調査もあります。ドイツの最大手の銀行の大幅な人員削減も最近伝わりました。
このところ、リスクオフではユーロ買いが多くみられていましたが、マーケットの落ち着きと共に、上値は重くなってくると考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*9月16日18時執筆
本号の情報は、主に9月16日の東京市場終値水準を引用しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
人民元切り下げに始まった世界的な株式市場混乱を懸念した環境の中で、9月の利上げは見送られるとする見方が主流と伝えられていますが、一部の通信社に よる現地エコノミスト事前調査では、やや0.25%の利上げ見送りが半数以上いる一方で、利上げ決定予想者の数も40%強の数を示していて、見方は分かれ ているようです。さらに、少数派としては、0.125%利上げを予想する向きもいるようです。
決定が発表される日本時間18日午前3時が迫ってくる中で、昨日は米国の債券市場での動きが注目されました。
特に、金融政策の方向性が表れる2年債の売りが出て利回りは一時前日より0.1%高い0.8%(過去1ヶ月間の平均は約0.7%)に乗せ、10年債も2.29%(過去1ヶ月平均利回りは2.15%)に上昇しました。
昨日発表された小売売上高等の経済指標が予想より弱かったため、債券市場の動きは整合性に欠ける、やや違和感を感じるものでした。これだけをもって今週の利上げに結びつけるのも早計ですが、もしかして、ついに利上げか!?の可能性は想定しておいた方が良さそうです。
利上げがあってもなくても、重要なのは市場がどう反応するか、です。
0.25%利上げ=ドル高、株安、或は見送りで=ドル安、株高と単純な図式で動くとは考えづらいです。発表直後は解釈により乱高下の可能性がありますの で、どちらかを先読みしてポジションを傾けてしまうのはリスクが高いでしょう。とりわけシルバーウィークという長い連休を前にした日本の投資家にとっては 尚更です。
FOMC終了後には声明文と共に、経済見通しや政策金利の予想も発表され、こちらも注目材料になりますし、イエレン議長の会見がどんな文脈で市場に解釈されるによってもマーケットは動きます。市場の反応を冷静に見てからのアクションでも遅くないように思います。
9月に入ってからの主要通貨の対米ドルパフォーマンスは、まちまちでした。大きく売られたのはブラジルレアル、トルコリラ、インドネシアルピーなどの新興国通貨でした。新興国通貨安が続いています。
一方、スウエーデンクローネを上昇トップとして北欧通貨が買われ、ユーロ、豪ドル、日本円等も0.5%程度の上昇でした。
ドルの総合的価値を示す指標であるドル指数(ドル・インデックス)は8月の下落から反発してボックス圏での動きを続けており、200日移動平均である95.33よりも少し上95.60レベルでの動きになっていて、ドルは弱含み保合い状態です。
9月のドル円相場は、119円~121円が主な取引レンジでの動きに終始しています。株安などリスクオフの状況では、ドル円相場は円高方向へ下押しされますが、下値の水準では買いも出て120円台に戻されてくるという動きが続いています。
為替のポジション動向を見る上で参考とされる先物市場IMM投機筋ポジションは、最近円売りポジションが相当解消され軽くなっているのも、リスクオフでの円高方向への動きが限定的である背景と思われます。
ドル円相場の市場予想は円高方向へ微調整しつつあるように見受けられます。
ただ、日本企業による海外投資の増加、安保法案を通した後の安倍政権による経済対策実施と共に、日本銀行の金融再々緩和実施の可能性も否定できないと考えると、さらなる円安の可能性もありと考えています。
さて、中東から欧州への難民流入が問題化されています。欧州では難民問題のための首脳会議が開かれますが、各国の対応は一致しないようです。
大量の難民が流入しているとされるドイツは、難民対策のための特別予算を追加すると発表してます。この問題がユーロ圏経済にどのように影響してくるか注目していきたいところです。
ユーロ対米ドルは、月初の欧州中銀理事会後のドラギ総裁による量的緩和拡大発言で、下押しした場面がありましたが、基本的にはレンジ相場が続いて相当日柄が経過しました。
8月のユーロ圏のインフレ率は0.1%とゼロに近づき、経済見通しも改善せずという調査もあります。ドイツの最大手の銀行の大幅な人員削減も最近伝わりました。
このところ、リスクオフではユーロ買いが多くみられていましたが、マーケットの落ち着きと共に、上値は重くなってくると考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*9月16日18時執筆
本号の情報は、主に9月16日の東京市場終値水準を引用しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)