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白めがね大津尚之の書くby佐世保 Vol.11
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白めがね大津尚之の書くby佐世保 Vol.11

2017-06-29 15:01

    洗濯をする、という選択をしたのだが、


    外は生憎の雨。


     

    何故洗濯物が溜まりだすと雨が降るんだろう。


    不思議だ。


     

    週間天気予報をきちんと確認していれば


    計画的な洗濯も出来たのだろうが、


    そこはO型人間。


     

    「赤点さえ取らなきゃ良いのよ。」を信条に


    65点人生を常に歩んでいる私にそんなことが

    出来るわけがない。


     

    明日回せばいいじゃないか。


    なんだったら二回回せばいいじゃないか。


     

    E pur si muove


     

    それでも地球は回っているのだから。


    どうも、大津尚之です。


     

    しかしなんだって競輪の予想が当たらないんだろう。


    三連複の5車ボックスでも外れるし、


    「よし、これは取った!」って思ったら、

    4コーナー回って買ってない選手が突っ込んできたり。


    僕の予想を参考にしていただいている方、

    本当にすみません・・・。


     

     

    あれは、大学二回生の頃。


    当時私が所属していた部活は何故かスーツを

    着る機会が多かった。


    会議があればスーツを着て出席するし、


    幹部が代わればスーツを着て飲み会に行かなければならなかった。


     

    そんなこんなで一年間着るだけ着てほったらかしにしていたスーツ。


    気がつけばくったくたになっていた。


     

    さすがにこれはまずい、と思ったものの


    スーツなんてどう洗濯していいか分からない。


    そもそも洗濯できるものなのかすら分からない。


     

    そこで家事全般に詳しそうな先輩に相談することに。


     

    「クリーニングに出したらいいねん。」


     

    クリーニング?


    おお、そういえば近所にありましたがな。


    家に帰り早速支度をする僕。


    せっかく人生初のクリーニングなんだからスーツと一緒に

    カッターシャツも持っていくことに。


     

    家から歩いて5分のクリーニング屋。


    裏道を入ったところにある、いわゆる

    昔ながらって感じのお店。


     

    店に入ると、


    テレビの音が聞こえていて


    「すみません。」と声をかけると、

    ようやく奥からおばあちゃんが出てきた。


    どうやらおばあちゃんが一人でやってるみたい。


     

    クリーニングに出したい旨を伝え、


    お金を支払いその日は帰宅。


     

    後日受け取りに行った時に、スーツと一緒に

    みかんをもらった。


     

    それが嬉しかったのか、


    僕がおばあちゃんっ子だったからなのか分からないが、


    それ以来ちょくちょく通うことに。


     

    お店に行って、


    必要な金額を計算してもらって、


    受け取り表を記入してもらう。


     

    時間にすると、5分にも満たない時間なんだけど


    その中で少しずつ会話をするようになっていった

    (さすがに会話の内容は忘れてしまったけど)

     

    傍から見たら、何の変哲もない客と店員の関係。


     

    そんな当たり前の関係が10ヶ月くらい続いた

    頃だっただろうか。


     

    いつものようにクリーニング屋に行くと


     

    「本日サービスデー。」


     

    と書かれていた。


    はて?今日は何か安くなるのかな?


    そんなことを思いながら会計を済ますと、


    なんてことはなく毎度おなじみの請求金額。


     

    「表にサービスデーって書いてあったけど、

    あれって何なんですか?」


     

    『あぁ、カッターシャツのクリーニングが

    一枚無料になるのよ。』


     

    「でも、僕いつもと同じ金額ですよ?」


     

    『お兄ちゃん学生さんでしょ。


    少ししかまけてあげられないけど、

    いつもカッターシャツはサービスしてあげてるから。』


     

    この感動が伝わるだろうか。


     

    こうやって文字にしてしまうと少し味気ない

    感じがするけど、


    この時のなんとも言えない胸の温まりを今でも

    鮮明に覚えている。


     

    カッターシャツ一枚のおまけなんて、

    金額にしてしまえば130円でしかない。


     

    でも、そうじゃない。


    何気ない日常の中にある、何気ない優しさ。


     

    あのクリーニング屋のおばあちゃんは


    スーツだけじゃなく、


    心のシワまで伸ばしてくれていた。


     

    卒業してからは全く行くこともなくなった、

    あのお店。


    でも、いつかはまた行ってみたいと思う。

    その時は130円多めに握りしめて。

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