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白めがね大津尚之の書くby佐世保 Vol.15
光陰矢の如し。
時の流れに身をまかせていた結果、前回のコラムの更新から四ヶ月が経過していた。
こんなにも音沙汰がないと、「あの白眼鏡の人は何をしているのだろう。」と心配してくれる人も出てくるかもしれないが、ちょくちょく佐世保の中継にも登場しているせいか、
誰からも心配の連絡が入ってくることはなかった。
この年齢になると、びっくりするくらいの変化というものはそうそう起こらない。
【朝起きて仕事をして帰って寝る】
多かれ少なかれ違いはあるが、大体で言ってしまえばこういう毎日になる。
「だから」という理由にはならないが特筆すべきこともなく更新が滞ってしまった。
しかし、着実に変化は起きていた。
その変化とは「肥満」である。
このところ体重計に乗るたびに体重と体脂肪が増加している。
僕はこの原因が長崎にあると考えている。
最近は長崎に出張に来るたびに解説の平尾昌也さんが様々な食で僕たちを楽しませてくれる。
なんせ写真の撮り方が下手糞なので画面越しに美味しさが伝わるかはわからないが、
今一度この画像を見ていただきたい。
「異なるものを混ぜること」がちゃんぽんの定義とされているが、
この混ぜ方は実にマズい。
どこから食べても美味しい上にフカヒレまで乗っている。
大盛りにしますか、と問われれば黙って首を縦に振るしかないではないか。
見事なまでの薄造り。
コリコリとした弾力、確かな歯応え、感じる甘さ。
こんなにも焼酎が合うなんて。
僕の左手がグラスから離れることは片時もなかった。
誰が言ったか「〆のラーメン」
酔席の初めに「今日は行きませんからね。」と宣言しているにも関わらず
数時間後には暖簾をくぐっているのも長崎七不思議のひとつである。
と、まぁこのような感じで、
来ては食べ来ては食べを繰り返しているのだから、
これでは体重が減るわけがない。
美酒佳肴。
長崎には、たくさんの「美味しい」がある。
そしてその横にはいつも平尾さんの笑顔があるのだ。
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白めがね大津尚之の書くby佐世保 Vol.14
10月25日。
させぼ競輪場で九州地区プロ自転車競技大会が行われた。
その様子がニコニコ生放送で配信されたのだが、司会に抜擢されたのは普段は解説を担当されているヒラマサこと平尾昌也さんだった。
平尾さん一人で約7時間の生放送。どんな放送になるのだろうとワクワクしながら観ていると、闘将こと佐々木明彦さんを始め、多数の現役選手がゲストとして来て下さり盛り立てていた。
各選手と話している表情を見て、改めて平尾さんの人望の厚さを感じたものだ。(総勢30名のゲストの方にご出演頂いた:番組調べ)
当初の予定では司会のみ。
ゲストも難しいとのことだったので、本番前からとても緊張されていた。
私も幾度となく「どうやったら緊張しないのか。」「オープニングは、おはようございますの喋り出しの後に、どういう話をしたら良いのか。」など色々なことを質問された。
そりゃ不安にもなる。
収録であれば、最悪まずいところは編集でどうとでもなるが一発勝負の生放送。
しかもニコニコ生放送はリアルタイムで視聴者からコメントが来るので、
その重圧は計り知れない。
チームスプリント:長崎(井上昌己、佐藤幸治、山崎賢人)1分15秒948
他支部を寄せ付けない強さを見せつけたさせぼ競輪場では中継司会という立場で仕事をしている私だが、別の競輪場では実況を担当している。
今年で6年目になるのだが未だに「着順を間違えたらどうしよう。」「大事なところで言葉を噛んでしまったら・・・。」なんてことを考えドキドキしてしまう。
だから、出来るだけ同じ気持ちでのぞめるようにルーティンワークを行っている。
行っているのだが、いかんせん多い。
もう最近は自分でも何が何だかわからないくらいだ。
まず朝起きて神棚に水を供え拍手を打つ。
そこから熱いシャワーを浴び、苺のジャムパンとポタージュをの朝食をいただく。
電車が出発する6分前に家を出て、白の〇印3番の一番端の車両に乗り込む。
最初の移動時間は読書に費やし、乗換駅の一つ前の駅で本を閉じ、ドア付近に移動する。
乗換駅ではエスカレーターを使わずに階段を使用する。
競輪場に着くと正門からではなく裏門から入り、
(実況席に用意してくれているのだが)自分で出走表を2部取って行く。
実況席に入ったら、自動販売機でエネルギー飲料とアメリカンコーヒーを購入。
それを飲みながらスタッフと談笑。
9時25分から仕込みをし、10時のオンエア開始と同時にラジオ体操を始める(オンエア開始は10時だけど、実況の喋出しは大体40分後くらいなのです。)
ラジオ体操をすると同時に白湯を用意しておくことも忘れない。
そしてストレッチチューブを使いつつ、発声練習。
選手紹介の3分前までに済ませ、トイレに行く。
発走1分前に
(今日も選手・お客さん・スタッフ一同が事故なく競輪を楽しめますように)との願いを込め、実況マイクに向かって拍手を打つ。
で、ようやく喋り始める。
うーむ。
改めて読み返すとやっぱり多い。
でも一つでも止めてしまうと運気が逃げてしまう気がするから止められない。
こんなにやっても喋り出しでいきなり噛むこともあるんですけどね。
「あんなにやって噛むんかーい。」と。
そんな僕のルーティンを平尾さんにお話ししたところ
「面倒くさっ。そんな覚えられんばい。」
と笑われてしまった。
あんなに本番前は不安そうだった平尾さん。
しかし本番ではいつも通りの笑顔でリラックスした表情でお話をされていた。
さすがは元プロスポーツ選手。
一発勝負に強い。
平尾さんの凄さを垣間見た九州地区プロ自転車競技大会だった。
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白めがね大津尚之の書くby佐世保 Vol.13
「プロのスポーツ選手って凄い。」
競輪のお仕事をさせていただいて約8年。
何を今更そんなことを言っているんだ、とお叱りを受けそうなのですが・・・。
「釣るby佐世保」の釣りロケで現役の競輪選手とご一緒させていただくようになり、
一層そう思ったのです。
釣るby佐世保vol.4
https://www.youtube.com/watch?v=mDIVFRL0sHI
釣るby佐世保vol.5
https://www.youtube.com/watch?v=0-sNM-sBKXE
何が凄いって、身体づくりの基本がしっかりしているってこと。
船に乗っている時に、僕なんて少しの揺れが来ただけで立ってられないくらいになってしまうのに、江口晃正選手(長崎75期)も後田康成選手(長崎75期)も全く動じない。
船の乗り降りもスムーズだし、魚や荷物も軽々と持ち上げてしまう。
そういう姿を間近で見て、
スポーツの世界を本気で目指さなくて良かったなぁ。とつくづく感じたのです。
「ノストラダムスの大予言が当たって地球が滅びるんだから、勉強なんてしなくて良いんだよ。」
なんて思っていた1999年夏。
同級生に高校生になったらボクシングをしないかと誘われた。
当時の僕はというと身長163センチ、体重45キロ。
バスケットボール部に所属をしていたものの、「大津は声が大きい。」という理由だけで副キャプテンに任命され、試合ではいつも野次要員としてベンチを温めている始末。
シュートを打てば届かない、走るとすぐに息が上がる。
そんな僕がボクシング部?
冗談じゃないと首を横に振ると、彼は神のような一言を言い放ったんです。
「ボクシングって、イケてない奴が始めると、めちゃくちゃ強くなれるらしいで。」
そう言えば、その時に読んでいたボクシングの漫画も
いじめられっ子の主人公がメキメキと強くなっていく、という物語だった。
ボクシングをすると強くなれる。
人生が変わる。
彼女が出来る。
帰宅後、お風呂場で自分の身体を見てみると、どことなくボクサー体型のように見えてきた。
何気なくパンチを打つマネをしたところ、風を切り裂くような拳の音が。
部屋に戻り、蛍光灯のスイッチの紐を殴ってみる。
当たる。
こうなると気分は完全にボクサーだ。
高校デビューを信じてやまない大津少年は、ボクシング部への入部を夢見て筋トレに筋トレを重ねた。
そして迎えた翌4月。
さすがは拳闘部。
全国大会出場常連校なので、見るからに強そうな人たちが多い。
しかし、見た目は関係ない。
ここから先は拳で語り合おうぜ。
サンドバッグを打ちながら、そんなことを思っていた。
すると、先輩が・・・
「大津、大丈夫じゃ。サンドバッグは壊れんけぇ、思い切り殴ってみぃや。」
僕のサンドバッグは1ミリも動いてなかったのだ。
「・・・本気で殴ってます・・・」
「・・・えっ!?」
あれほどまでに他人が(しまった。)という表情をするのを、僕は後にも先にも見たことがない。
その後、辞めますという一言がどうしても言い出せずに練習試合を迎えた。
実践では大丈夫。
「くそー、殴られた。こいつ、思いのほかパンチが重いな。
右ストレートが来たら、左フックのカウンターをお見舞いしてやるぜ。」
漫画の世界では、こんなやり取りが繰り広げられているのに、
そんなこと考える暇もなくボコボコに殴られて負けてしまった。
8月にさせぼ競輪場で行われたミッドナイト競輪では
元プロボクサーで東洋太平洋2位だった鮫島康治選手(大阪111期)が優勝した。
「プロのスポーツ選手って凄い。」
やっぱりそう思う。
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