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「わからなかったことがわかるようになるということ」
コメ2 草の根広告社 44ヶ月前
じかんが知りたいの、とある朝、娘が言った。 そろそろ子どもも読める時計を用意しなくちゃね、と妻と話し合った。 じかんがわかったよ、と保育園から帰ってきた娘が言った。先生に訊いたら教えてくれたのだという。
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「おともだちと同じものが欲しい」
コメ0 草の根広告社 44ヶ月前
「ティッシュをいれるポーチがいるの、ズボンにつけるやつ」 朝、娘が唐突にそんなことを言い始めた。しまいには先生が持ってきて下さいと言っているとまで言い始めた。「本当に? 先生に聞いてもいい?」 妻の言葉に口籠もる。なんてことはない。友達がズボンにつけていたポケットポーチと同じものが欲しかっただけだ。
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「都会のジャングルジム」
コメ0 草の根広告社 45ヶ月前
初めて行った都会の公園で、娘が初めてジャングルジムに挑んでいた。次はどこに足を掛け、どこを掴んで這い上がるか。一工程終えるたびに「ふう」と息をついて休みながら思考を巡らせている。年上の子どもたちが俊敏な猿のような身のこなしで背後から次々に娘を追い越して昇っていく。ひとまわり体の小さい娘の姿など...
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「彼女はここから自転していく」
コメ2 草の根広告社 46ヶ月前
冬晴れの午後、補助輪のついた自転車が納車された。「明日から天気が悪いみたいなので一日早く持ってきちゃいました」 自転車屋のおじさんがそう言って笑った。白か、赤か、紫か、それとも水色か。迷い続けた娘に根気よくつきあってくれた。ぼくも妻もあえてなんの助言もしなかった。娘が自分で決めるのをひたすら待...
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「二〇三〇年の大寒も」
コメ0 草の根広告社 46ヶ月前
海からの冷気が強い朝だった。車のハンドルも凍えている。分厚い手袋をしていても手が悴む。カーラジオが二十四節気の一つ「大寒」を告げる。人間が狂わせたと言われている地球環境の時計が正確なことに安堵した。
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「人生の可能性を拡げてくれるものは何か」
コメ0 草の根広告社 47ヶ月前
「パパ、うしろがまわってるトラックはタンクローリーじゃなくてミキサー車なんだよ」 後部座席で車窓を見つめていた娘が唐突に言った。
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「半径二㎞圏内の大宇宙」
コメ0 草の根広告社 47ヶ月前
緊急事態宣言という非日常下。気がつくと行動範囲を半径二キロ圏内に縮小していた。海と菜園のある里山と丘の上の公園と保育園。それと買い物に行く鮮魚店と精肉店と酒屋と養鶏場。すべてが半径二㎞圏内に収まっている。その圏内を娘と散歩をしていて気づいた。それがこの海辺の町で生まれた四歳の娘にとっては日常の...
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「行き場のないありがとうを」
コメ0 草の根広告社 47ヶ月前
「クリスマスにサンタクロースからプレゼントを貰う人もいるけど、貰っていない人もいるんだよ。ちなみにパパは子どものとき、悪い子じゃなかったけど、一度もサンタにプレゼントを貰ったことはないよ。でも、それを悲しいと思ったこともないよ。プレゼントを貰わないのがパパの当たり前だったからね」
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「サンタクロースの長い影」
コメ0 草の根広告社 47ヶ月前
サンタクロースを信じていない子どもだった。枕元に靴下を置いたこともなければ、目が覚めたらプレゼントが置かれていたこともない。かといってそれを淋しいと感じた記憶もない。醒めていたのだろう。物心ついた頃から同世代の子どもたちを「ガキだな」と鼻で笑っていたくらいなのだから。
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「人はどうやって字が読めるようになるのか」
コメ0 草の根広告社 48ヶ月前
山から吹き下ろす晩秋の冷たい風が窓を叩く夜のことだった。妻が読み聞かせる絵本をじっと見つめていた娘が「や、き、い、も」と、ひらがなで書かれた文字を指差しながら声に出して読んだ。
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「すべて忘れてしまう今なのだから」
コメ0 草の根広告社 48ヶ月前
去年のクリスマス、三歳の娘にカメラをプレゼントした。子ども用ではあるけれど、本当に撮影できるデジタルカメラだ。毎日目にするけど見るたびに違う海や空の表情にぼくらと一緒に日々感動している娘を見ていて、彼女も自分の記憶として撮りたくなるんじゃないかなという思いがあった。最初はとても喜んでいたけれど...
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「パパとママには内緒の話」
コメ1 草の根広告社 48ヶ月前
保育園に娘を迎えに行くと園長先生に手招きされ、こんな話を切り出された。「トイレの電気が暗かったので休みの日にLEDに変えたんですよ」 どうして園長はぼくにトイレの電球の話なんかするんだろうと首を傾げる。