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■久瀬太一/8月15日/26時
コメ0 3D小説「bell」本編 125ヶ月前
「順調に進んでるみたいだな」 ときぐるみが言う。 オレは、暑いわけでもないのに額にかいていた汗を拭って、息を吐き出した。「なにが起こってるんだよ、一体」「オレは知らないよ。ま、そのうちわかるだろ」 こっちは命懸けだってのに、気安く言ってくれる。「なんにせよ、まずは明日のことだろ」 ときぐるみが言...
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■久瀬太一/8月15日/25時55分
コメ0 3D小説「bell」本編 125ヶ月前
一瞬、視界が途絶えて、次にみえた景色は先ほどまでと少しだけ違っていた。 オレはどこか、狭苦しい場所がいた。ちろちろと水の音が聞える、暗く、湿った場所だ。 窓の向こうのオレが、ふっと頭上をみあげる。 そして、ぼそりと呟いた。「しろとくろをみわけよ?」 なんだ、それ。「これは、ややこしい暗号じゃな...
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■久瀬太一/8月15日/25時45分
コメ0 3D小説「bell」本編 125ヶ月前
傍からみていると、なんだか間抜けなシーンだったが、本人は緊迫していたのだろう。 ふう、と達成感のある表情で額の汗を拭う。 そして、割れた鏡の中に落ちていた紙片を拾い上げだ。 また、長い文章が並んでいる。 ※【無色の日】其は、全ての始まりの日全ての元凶【白と灰色の節、初めの力の日】終わ...
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■久瀬太一/8月15日/25時40分
コメ0 3D小説「bell」本編 125ヶ月前
「なるほど」 と、窓の向こうのオレは言った。「もう一体、ドッペルがでる可能性があるなら、サクラをつれていくわけにもいかないか」 それに、みさきとちえりによく似た少女――サクラが答える。「いえ。私は、お姉さまを捜すのは、私の目的ですから。すべてお任せするわけにはいきません」「でも危ないらしいぜ?」「...
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■久瀬太一/8月15日/25時15分
コメ0 3D小説「bell」本編 125ヶ月前
「ピエロの方は、これでいいのか?」 どこか自身なさげに、オレは言う。「でもドッペルゲンガーの方は、なんだかやばそうだな」 どうやばいのか、オレにもわかるように言って欲しかった。窓の向こうのオレは気遣いが足りない。 そう思ってると、オレは言った。「とにかく部屋の入口に、鏡がある。そこからドッペルゲ...
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■久瀬太一/8月15日/25時10分
コメ0 3D小説「bell」本編 125ヶ月前
その部屋の奥には、なにかギターとは少し違う、見慣れない弦楽器をきかならす男がいた。 彼は綺麗な声で言う。「ようこそ、お客様。あの騒々しいピエロと同室で、ずいぶん疲れてしまいましたよ。その苦労があなたにならおわかりになるでしょう?」 オレは頷く。「あんたは?」「名乗るほどでもない、吟遊詩人です。...
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■久瀬太一/8月15日/25時
コメ0 3D小説「bell」本編 125ヶ月前
どうやらオレは、またソルたちへの返答を再会したようだ。重要なことだ。「オレ、プレゼントを貰うと記憶が欠落する可能性があるようだ。八千代もミュージックプレイヤーの件では記憶が欠落しているように思えるので、その辺りの話を突っ込んできいてみてもらいたい、だそうだ」 プレゼントと、記憶は関係しているの...
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■久瀬太一/8月15日/24時40分
コメ0 3D小説「bell」本編 125ヶ月前
「11番、12番、両方読めない。13番、おいオレ、越智の山は覚えているな?」 覚えている。そこまでは辿りつけると思う。 窓の向こうのオレは、より詳しい情報を叫ぶ。なんだか妙に記憶に残っている、なつかしいスーパーの名前で、少し笑う。「なにか思い出すことはないか? と言っている」 当時のことは、いくつか思...
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■久瀬太一/8月15日/24時25分
コメ0 3D小説「bell」本編 125ヶ月前
「おいオレ、隣のきぐるみに、次の質問をしろ!ひとつめ、本物のいい子について何か知っているか? ふたつめ、『ヨフカシはスイマの中にいる』と言ってたが、本当はプレゼントの壊れてしまったスイマがヨフカシと呼ばれているのではないか?」 オレはきぐるみに視線をむけて、尋ねる。「だってよ」 きぐるみは首をか...
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■久瀬太一/8月15日/24時15分
コメ0 3D小説「bell」本編 125ヶ月前
――次は、8月16日です。 と車内アナウンスが言った。 よかった、という感情と、まずい、という感情が、同時に湧き上がる。 明日のことは知りたいとは思っていた。 でも窓の外にみえる景色は、大抵よいことじゃない。 ※ オレと八千代は、どこかホテルの一室にいるようだった。狭いビジネスホテルのシ...
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■久瀬太一/8月15日/24時
コメ0 3D小説「bell」本編 125ヶ月前
そしてオレは、夢の中の停留所にいた。 静かな夜だ。虫の泣き声もきこえない。 空を見上げると半月が浮かんでいる。そういえば、いつもこのバス停から見上げると半月がみえるように思う。 当然のようにバスがやってきて、そのライトがオレを射す。 オレは当然、そのバスに乗り込む。 ※「よう」 とき...
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■久瀬太一/8月15日/22時
コメ0 3D小説「bell」本編 125ヶ月前
宮野さんの激しい質問と、それをのらりくらりとかわす八千代の会話を聞き流しながら、そこそこ高級なコース料理をゆっくりと味わって食べた。取材の方に意識が向いていたからだろう、宮野さんも次の皿を催促したりはしなかった。 帰り道、オレと八千代はタクシーの後部座席に並んで乗る。「元気な子だね」 と八千代...
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■久瀬太一/8月15日/20時30分
コメ0 3D小説「bell」本編 125ヶ月前
電波が悪いのか、少しだけ割れた、女性の声が聞える。「こんばんは」 とその声は言った。雪だろう。 スマートフォンに向かって、八千代は語りかける。「こんばんは。オレの他にもふたり聞いている。いいのかい?」「こちらはかまわない」「そう。じゃあ、続けて」 八千代はテーブルの上のワインを手に取り、口をつ...
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■久瀬太一/8月15日/20時
コメ0 3D小説「bell」本編 125ヶ月前
「暗い店ならどこでもいいよ」 と八千代は言った。頬にはアザができていて、おそらくそれを気にしたのだろう。 彼は頭を殴られていたため、昨日から今日にかけて病院で過ごした。幸い――と言っていいのかわからないが、検査の結果みつかったのは肋骨に入ったひびくらいで、入院の必要はないそうだ。「じゃあ、今夜でい...
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■愛媛ブログ主とのやりとり/8月15日
コメ0 3D小説「bell」本編 125ヶ月前
■メール>>山本さま ご連絡が遅くなり、申し訳ありません。 愛媛での待ち合わせについて、日時は「8月16日(土) 12:30」 確定でお願いします。 ただ、天候が悪い可能性があるため、集合場所を駅前としたいと思います。雨天でも晴天でも、下記の場所までいらしていただけましたら幸いです。 「ドトールコーヒ...