平安時代なら引目、鉤鼻、おちょぼ口。18世紀のヨーロッパでは病的なほどの白肌と過剰な付けボクロ。美人の定義は時代によって変わると言われているけれど、「美しい」と感じるものもまた、知らず知らずのうちに自分の中に蓄積された“美しさ”の定義によって、ジャッジしているように思う。そう考えれば、『偶発的ルネッサンス少女』に描かれる偶発的に生まれる構図にときめき、心惹かれてしまうのも当然だ。だって、それが美しいものだとして教育されてきたのだから。
 弛まぬ努力によって得た外見と内面によってモテてモテてしかたのない男子高校生のリクトだったが、どこか満たされない毎日を送っていた。 
週刊文春デジタル