私、映画『マディソン郡の橋』(一九九五年)が好きなんです。
 珍しい橋を撮りにきたカメラマンのキンケイド(クリント・イーストウッド)が、人妻のフランチェスカ(メリル・ストリープ)に道を尋ねるところから始まった四日間の恋。
 主婦として平凡な毎日を送っていた彼女を彼は一人の女性として扱います。彼女が惹かれるのは当然なんですが、それでも最後は、「一緒に行かないか」というキンケイドの誘いには乗りませんでした。
 昔、見たときは、それが正解やと思ってました。彼に付いていっても幸せにはなれないだろう、と。 
週刊文春デジタル