ウクライナ軍が、八月六日にロシア領クルスク州に侵攻して三週間が経った。
 米シンクタンク、戦争研究所によれば、ウクライナの占領地域は約千二百平方キロに及び、ロシアが今年に入って占領したウクライナ領土(約千百平方キロ)より広いという。ウクライナ側は占領地に軍政指揮所を設置し、併合の可否を問う住民投票を計画するなど、長期領有を目論んでいるようだ。
 ロシア領が外国軍隊に占領されたのは、第二次世界大戦以降、初めてのこと。しかし、プーチン大統領はこれを「武力挑発」「テロ攻撃」と位置づけている。「戦争」となれば、戒厳令や国民の嫌う動員の発動につながるためだ。 
週刊文春デジタル