公開中の映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』では、アメリカが政府軍と反乱軍の二手に分かれて内戦に突入する。アメリカ大統領が軍隊で自国民を攻撃したのがきっかけだ。トランプもそうすると宣言した。
 10月20日、保守系チャンネルのFOXニュースの朝の番組に出演したトランプは、「敵は外国よりもアメリカ国内の左翼だ」と、議会襲撃でトランプを弾劾した民主党のアダム・シフ下院議員を名指しした。その前週の13日にはこうも言っていた。「奴らは病気だ。必要なら州兵、本当に必要なら軍隊によって対処すべきだ」
 自分が大統領になったら民主党を軍で制圧するのか? そんなふうにトランプは投票日まで残り3週間に突入してからも、全米を飛び回ってトンチキな言動の絨毯爆撃を続けていた。
 15日、トランプは激戦州ペンシルバニア州オークスで集会を開いた。それは「タウンホール集会」で、候補者が有権者一人ずつの質問に答えていく形式。しかし会場は空調が悪く、しばらくすると聴衆のうち2人が気分が悪くなって倒れた。
「質疑応答はもうやめ!」トランプは叫んだ。「音楽だ! 音楽をかけろ! 誰が質疑応答なんか聞きたいんだ!」 
週刊文春デジタル