教え子から電話があった。
「老人ホームに入ってらっしゃるんですか?」
「そうなんだ。うらやましいか?」
「いいえ、うらやましくありません」
「うらやましがっても入居には年齢制限がある。七十歳になるのを待つことだ。君も死ななければ七十歳にはなれる」
「入居したくないんです」
「じゃ聞くが、自分は歳をとると思っているか?」 
週刊文春デジタル