イデオロギー対決議論はもうやめませんか?
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管理人です。
おくやまさんではなく申し訳ありません・・・
ですが、今回は、おくやまさんに直談判致しまして(笑)、
ジョン・J・ミアシャイマー教授のインタビュー記事を、
おくやまさんが直々に翻訳されたものを
ご紹介させて頂くことになりました。
これをお読み頂けば、
▼「リアリズム」の理論とは何か?
~ジョン・J・ミアシャイマー『大国政治の悲劇』から読み解く~
http://www.realist.jp/mea2.html
を、管理人がなぜしつこく大プッシュしているか?
ということがよくお分かりになって頂けることと思います。(笑)
このインタビュー記事、出典は、
▼‘Peaceful rise’ will meet US containment
http://www.globaltimes.cn/content/823045.shtml
となりまして、globaltimesというのは、『環球時報』のことです。
これは、中国共産党の機関紙「人民日報」系のメディアです。
ミアシャイマー教授をここに呼ぶとは・・・
管理人は思わず、「中国恐るべし・・・」と口にしてしまいました。
(ほんとうに、です。)
非常に面白い内容なので、じっくりとお読み下さい。
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▼中国の「平和的台頭」はアメリカの「封じ込め」に直面する▼
ジョン・ミアシャイマー(John Mearsheimer)はシカゴ大学教授であり、
中国では『大国政治の悲劇』によってその名が知られている人物だ。
その本の中で、ミアシャイマーは自身のアナーキーな世界秩序をベースとした
悲観的な見方から、中国の台頭は最終的に「非平和的」になると予測している。
彼の本は2001年に出たのだが、それ以降の彼の見方は変化したのだろうか?
中国の「平和的台頭」はアジア・太平洋地域に何をもたらすのだろうか?
環球時報の記者は、彼の最近の北京訪問の際に独占インタビューを行った。
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(環球)
『大国政治の悲劇』は
来年四月に新板になって出版されるそうですが、
中国について触れた部分も書き直されるみたいですね。
あなたが長年唱えている「中国の台頭は平和的ではない」
という立場に変わりはないですか?
(ミア)
私は結論部分を完全に書きなおしましたが、
そこでは中国の台頭が平和的なものかどうか
という点だけを議論しております。
ここで一章分を丸々その議論に費やしているんですが、
基本的な議論は全く変わっておりません。
初版の結論では部分的な議論しかしませんでしたが、
新しく書いた結論では中国が平和的に台頭するかどうか
という問題についてかなり集中的に議論してますよ。
(環球)
中国の台頭に関してあなたがまだよくわからない点、
もしくは考え直したいと思っている部分はありますか?
(ミア)
いえ、私は「中国が平和的に台頭できない」
という結論においてはかなり自信を持っております。
私の議論は自分の国際政治の理論を元にしたものでして、
私の理論は他のあらゆる社会科学の理論と同じように、
常に正しいというわけではありません。
よって私が間違っていることが証明される可能性はあります。
それに私は今回のケースでは
自分の理論が間違っていることを望んでますよ。
でも私の本の題名のように、私は「悲劇的」なことを述べているのです。
私は自分の理論が間違っていることを望んでおりますが、
それでも間違いは証明されないと考えております。
(環球)
最近のことですが、習近平主席は
近隣外交を見直すべきだと述べておりまして、
隣国とは「ウィンウィン状態」を達成すべきだと言ってます。
これについてはどうですか?
中国の台頭が新しい段階に入ると思いますか?
(ミア)
私は習主席の「ウィンウィン状態」を作るという見解
(これはどの米国の大統領にとっても同じでしょうが)は
極めて理想的なものであると思います。
ところが実際には「ウィンウィン状態」はありません。
大国間の国際政治は基本的にゼロサム・ゲームです。
一方が勝てば一方が負けるというものです。
アメリカは地球上で最も強力な国家であり、
東アジアでも最も強力な国家です。
ところが中国が台頭して段々と強力になってくると、
中国はアメリカが西半球(南北アメリカ大陸)で圧倒的になったような形で、
自分たちもアジアを支配しようとしたがるようになります。
もちろんアメリカは中国がアジアで支配的になるのを防ぐために
色々と努力をするでしょう。いいかえれば、
米中間では激しい安全保障競争が起こることになるということです。
(環球)
最近中国の専門家から聞かれるのは、
「中国はもっと控えめな戦略に切り替えるべきだ」
という主張ですが、これについては同意されますか?
(ミア)
もちろん私は中国にとって最も賢明なアプローチは、
国際社会にたいして控えめにするものであると考えますよ。
近隣諸国と危機が起こった時には、
ソフトかつ柔軟に振る舞うべきでしょう。
現時点ではタカ派的な対外政策を追求するのは
中国の国益にはならないですね。
私がこう言う理由は、
時間は中国の味方をしていると思うからです。
時間の経過と共に中国はさらに強力になるでしょう。
したがって中国がすべきなのは、
現在よりももっと強力になるまで待つことです。
積極的に動き出すのはそれからにすべきでしょう。
なぜなら将来、周辺国やアメリカと比べて相対的に強くなったら、
やりたいことができるようになる可能性が高まるからです。
よって短期的に中国にとって最も賢明な戦略は、
やはり控えめにすることでしょうね。
(環球)
しかし周辺国がすでに
「中国は独断的になっており、もう控えめな政策を止めた」
と考えていることは矛盾してませんか?
(ミア)
周辺国は別の動機の構造を持っています。
彼らは(私はフィリピンやベトナムのことを言っているのですが)
時間は中国に味方していることを理解しています。
従って、彼らの視点から見れば、現在の中国を恐れて
今のうちにトラブルを起こしておくほうが得策となります。
中国はまだそれほど強力ではないですし、
アメリカもまだ強力な存在ですからね。
ここ十年間に東アジアで起こった
すべての危機を振り返ってみるとわかるように、
これらのほとんどは中国ではなく、
周辺国たちによって引き起こされたものであることがわかります。
私は中国がこれらの挑発のほとんどに
過剰反応をしたと考えておりますが、
挑発は中国によってはじめられたわけではないのです。
だからこそ彼らは尖閣や南シナ海などで
中国がまだそれほど強力ではない
今のうちに紛争を解決してしまおうと考えているわけです。
中国と周辺国の動機の構造は違うのです。
(環球)
では彼らが挑発してきた場合には、
中国は無視すればいいということですか?
(ミア)
いいえ、無視することはできないでしょう。
中国側としては自分たちの立場を明確にしなければならないからです。
しかしこれは私の個人的な意見ですが、
中国は戦闘的な言葉や軍事力を使うべきではなく、
代わりに慎重な言葉を使うべきなのです。
ところが、中国はすでに挑発に過剰反応をしており、
その結果、周辺国やアメリカを必要以上に怖がらせてしまいました。
それでもさらに強力になれば、周辺国やアメリカを
怖がらせることになるのは避けられないでしょうね。
あまりにも巨大になって、軍事力も強力になるからです。
国家が別の国を見てどれほど恐るべき存在なのか
を見極めようとした場合、彼らは必然的に
その意図(intention)ではなく、
能力(capability)を見てしまいがちです。
なぜなら他国の意図は判断できないものだからです。
数十年後の中国の意図なんて、
誰も知ることができないわけですから。
でも中国が段々と強力になって、
いつかアメリカよりも強力になるという単純な事実は、
周辺国やアメリカを自然と怖がらせることになるのです。
( ・・・その2につづく )
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▼「リアリズム」の理論とは何か?
~ジョン・J・ミアシャイマー『大国政治の悲劇』から読み解く~
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