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記事 5件
  • ダンジョンズ&ドラゴンズ 『ネヴァーウィンターの失われし王冠』リプレイ -第8回-

    2014-01-21 17:03  
    巣穴にて ――ああ、ここは本当にあいつらの“巣”だな。 生前の記憶はところどころ失われているが、匂いの記憶は魂の深いところに巣くい、黄泉還りの時にも消え失せはしなかったようだ。馴染み深い匂いにセイヴは知らず笑みを浮かべる。「嬢ちゃん、足下は大丈夫か?」「“ライト/明かり”があるから大丈夫」 病み上がりのミシュナが杖を掲げる。ある意味この地下道にふさわしい鬼火が、壊れた石組みを照らし出していた。 ――一人だったら、もっと楽な方法があったんだがな。 やがて二人は先行する仲間達に追いつく。「アニキ! 来てくれたンすか?」「ああ、待たせたな。嬢ちゃんも一緒だ」 そこには先に死鼠団のアジトに赴いたジェイドやヘプタがいた。タランがいないのは、おそらくまた主の身代わりになって妖精境に戻ったのだろう。「あのエラドリンの兄ちゃんはどうした?」「身内の恥を雪ぎに、裏切り者を連れて地上に戻ったわ」とエイロヌイ。
  • ダンジョンズ&ドラゴンズ 『ネヴァーウィンターの失われし王冠』リプレイ -第7回-

    2014-01-16 13:11  
    Into the Dark Depth そのボート小屋は狭く埃だらけで、長いこと打ち捨てられていたのが明らかだった。中にあったのは傾いた木のテーブルに、泥まみれで腐りかけた絨毯のみ。それを剥がすと下水の悪臭が湧き上がり、瘴気が目を刺す。闇に向かって口を開いているのは往時の下水道につながる竪穴である。がたついた鉄のはしごが一筋、闇の中に降りていた。 ジェイドは火を灯した松明を竪穴の入り口へかざし、それから穴の底へと放り込む。オレンジ色の炎が下水道の床にぶつかり火の粉を散らす。炎が消える様子はない、ガスはないようだ。「うわぁ、ホントに入るんスか? ここに?」「私たちは死鼠団と戦っているのよ、当然ね。タラン!」「たまらないッスね。ぬるっとしてます。あ、ぐにゅっともしてる。うわ」 情けない実況を聞いてあなたは仲間と顔を見合わせる。 ヘプタは肩をすくめ、エイロヌイの笑いは意図が読めない。 病が完全に
  • 『水曜夜は冒険者!:マスタリングのうらがわ』-14-

    2014-01-14 17:55  
     皆様こんにちは、ニコ生D&D解説担当の塚田です。フォーゴトン・レルム世界の設定を解説するシリーズの第6回となる今回は、今シーズンのPC(プレイヤー・キャラクター)たちが信仰している神々について説明します。 本コラムの第9回(フォーゴトン・レルム解説シリーズの第1回)でも説明したとおり、フォーゴトン・レルム世界で生きるすべての知的生物は、自分の“守護神格”を選んでいます(死んだ後に自分の魂がどうなってもいいなら選ばなくてもかまいませんが)。これはゲーム上の数値などにはほとんど影響しませんが、キャラクターの個性を演出したり、ロールプレイのとっかかりにしたりする上ではとても便利なので、フォーゴトン・レルム世界に限らずD&Dを遊ぶ際にはなるべく信仰対象を決めておくことをお勧めします。 なお、以下の記述はD&D第4版の『フォーゴトン・レルム・キャンペーン・ガイド』並びに『フォーゴトン・レルム・プレ

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  • ダンジョンズ&ドラゴンズ 『ネヴァーウィンターの失われし王冠』リプレイ -第6回-

    2014-01-07 18:21  
    ごみため長屋 ざんざんと、雨が降っていた。 外れかけた板戸が軋む戸口に、あなたは立っている。背を向けた部屋の奥からは、か弱い咳が時折聞こえてくる。長旅の疲れが出たのだろう、あの後ミシュナは熱を出していた。 あなたの足下では、ごぼごぼとどぶから汚水が溢れている。 ここは、肌寒く、湿っていて、暗かった。 ブラックレイク地区のスラム、ヘプタとセイヴが住んでいる廃墟同然の長屋である。 正確には、かつての貴族の館、その部屋の一つ一つに有象無象が住み着いて共同住宅となっているのだ。良くある話である。館の持ち主は先の災害で死んだか、この街を離れており、不法滞在をとがめるものはいない。 リヴァイアサン亭を思い出す。 騒々しく、いる連中も決して褒められた素性ではないが、あそこは暖かく、乾いていて、明かりが途切れなかった。せめてミシュナだけでも残して置いてやりたかったが、ハラグ船長は首を横に振った。「すまねえ
  • ダンジョンズ&ドラゴンズ 『ネヴァーウィンターの失われし王冠』リプレイ -第5回-

    2014-01-07 17:33  
    荒廃のドラゴン、王冠の力 翼ある大蛇は冒険者の前に舞い降りた。 真珠のような鱗は、血と青い炎とでぎらついている。着地の衝撃で、冒険者たちは思わず後ずさる。ドラゴンの目には青い炎と残忍な飢えが宿っている。そいつは順々に立ちふさがる者を見まわすと、冠を戴いた戦士を睨みつけた。 しかし彼はびくともせずに仁王立ちし、剣を掲げ、言った。「我が都より失せろ!」全員:言い切った!エリオン:自分の都だって、断言しちゃった。DM:するとドラゴンの方が気圧されたかのように一瞬びくりと震える。 この貴重な時間のうちに、冒険者たちは息を整え戦いに備える。シーンとしては前回のセッションからつながりので小休憩は挟めないが、[遭遇毎]パワーを1つ回復でき、さらに戦闘開始時の位置を再配置できるのである。 さらに冒険者たちは目の前の竜について、それぞれの記憶をさぐる。ミシュナ:あー、〈魔法学〉判定は12……。「こんなの学校