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記事 6件
  • ダンジョンズ&ドラゴンズ 『ネヴァーウィンターの失われし王冠』リプレイ -第4回-

    2013-12-20 12:44  
    座礁リヴァイアサン亭にて「お、英雄さん。メシは食ったか? 賄いで良ければ喰ってけよ。お代だ? いらねえいらねえ。あんた達がこの“船”に乗っててくれると心強いからな!」 がはは、と豪毅に笑うと毛むくじゃらの船乗り、ハラグ船長はあなたの手に魚の大皿を押しつけると、店の名のとおりにリヴァイアサンのような巨体を揺らし厨房に戻った。「へへへ、ずいぶんと扱い変わったッすね!」あなたの運んで来た皿に真っ先に手を伸ばすのは、逆立った髪のヘプタ。テーブルには先日、ネヴァーデスの門で死人達を打ち払った英雄達が座っていた。 あの後、あなたはセイヴ達に釣れられて『座礁リヴァイアサン亭』に戻ったが、ハラグと船乗り達に大歓声で迎えられた。それからここで過ごして今日で三日目である。怪我も治り、肩を並べた戦友のことも少しずつわかりはじめた頃だった。「飯、喰いながらでいいがよ」口を開いたのは死人のように白い顔の男、セイヴで
  • 『水曜夜は冒険者!:マスタリングのうらがわ』 -13-

    2013-12-18 14:27  
     皆様こんにちは、ニコ生D&D解説担当の塚田です。フォーゴトン・レルム世界の設定を解説するシリーズの第5回となる今回は、ハーパーに関する説明をお送りします。 ハーパーはフォーゴトン・レルム世界に大きな影響を与えてきた重要な組織なのですが、D&D4版の『フォーゴトン・レルム・キャンペーン・ガイド』にも『ネヴァーウィンター・キャンペーン・セッティング』にも、ハーパーの歴史や理念に関する記述はほとんどなく、この組織の現状や活動内容だけが書かれているため、新しくフォーゴトン・レルムに触れる方にはやや不親切な状態になっています。そこで、ここでは「そもそもハーパーとは何なのか、ハーパーという設定は何のためにあるのか」をまとめてみることにしました。参考資料としてはAD&D2ndの『Forgotten Realms Adventure』およびD&D3版のレルム系サプリメントを使っています。ハーパーの目的と

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  • ダンジョンズ&ドラゴンズ 『ネヴァーウィンターの失われし王冠』リプレイ -第3回-

    2013-12-12 14:20  
    ミシュナ:絶望の導く道 夜明け前。 高原の冷たい空気は刃のようで、吸い込むたび胸の奥が切裂かれるように痛む。 ――許されぬ、ことをした。 塔への階段を登るごとに、自責の思いが彼女を苛む。 ――取り返しのつかぬ、ことをした。 “たすけて”と絶えゆく息の中、彼は声にならぬ言葉を唇だけで訴えて。 それに応え、彼女はあの時。 どうしたのかは覚えていない。けれどもそれから、絶望の黒い瞳があれからずっと。まぶたの裏から消えようとしない。 ――ごめんなさい。 何を謝るというのか、誰に謝るというのか? 何もかももう、終わってしまったことなのに。足を止めてしまったならば、責める声に胸が詰まる。ゆえに彼女は歩きつづけ、上り詰める。 魔術塔の最上階に至った。 どこまでも拡がる空の下、どうしようもなく行き止まりだった。 それでも未練がましく、彼女は胸壁まで歩いてゆく。 このまま、足を止めずに虚空に踏み出してしまえ
  • 『水曜夜は冒険者!:マスタリングのうらがわ』-12-

    2013-12-10 17:52  
     皆様こんにちは、ニコ生D&D解説担当の塚田です。フォーゴトン・レルム世界の設定を解説するシリーズの第4回となる今回からは、今シーズンの物語の舞台となっているネヴァーウィンターの内外で陰に陽に活動しているさまざまな勢力を紹介していく予定です。そして今回は、すでに動画にも登場しており、今シーズンの物語に深く関わってきそうな、政府および反政府組織について解説します。それぞれの勢力のより詳しい情報は『ネヴァーウィンター・キャンペーン・セッティング』をご覧ください。ニュー・ネヴァーウィンター ニュー・ネヴァーウィンターは都市国家ネヴァーウィンターを復興させるためにダガルト・ネヴァレンバー卿が組織した集団であり、ネヴァーウィンターにおける事実上の政府と呼んでもそこまで間違いではありません(復興が完了しつつある守護卿特別区においては特にそうです)。ニュー・ネヴァーウィンターを支持しているのは、守護卿を

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  • ダンジョンズ&ドラゴンズ 『ネヴァーウィンターの失われし王冠』リプレイ -第2回-

    2013-12-04 14:18  
    掃溜めに朽ちたエース:セイヴ ラスカン――。 そこは掃溜めの街、絶望の泥沼。 外道の魔術師、悪党海賊のなれの果てが弱者をいたぶり、奪い取り、そして暗がりで喉を切裂かれる。 腹を空かせた野良犬たちが、路地裏で死者を(ときにはまだ生きているものも)貪り喰らう。市壁の中に満ちるのは吐き気を催すどぶ川の臭い。 ハーフエルフのエースは物心ついたときからこの街にいた。 おそらく彼にも親はいたはずだ。赤子のうちに素材や奴隷として売られずに、育つことができたというのはそういうことだ。 だが、彼はなにも覚えていない。父と母、どちらがエルフで人間だったのか。二人はこの街にふさわしい悪党だったのか、それとも不本意にもこの街に関わった運の悪い人間だったのか。彼は知らなかった。その代り、彼には養い親がいた。 トイテール。 “キング・トイ”、“未来を見通すもの”の二つ名を持つ、ハーフリングのバードにして、盗賊ギルド『

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  • 『水曜夜は冒険者!:マスタリングのうらがわ』-11-

    2013-12-04 14:09  
     皆様こんにちは、ニコ生D&D解説担当の塚田です。フォーゴトン・レルム世界の設定を解説するシリーズの第3回となる今回は、今シーズンの物語の舞台となっているネヴァーウィンターという都市の歴史と現状をざっくりとご紹介します。より詳しい情報は『ネヴァーウィンター・キャンペーン・セッティング』をご覧ください。北方の宝石 ネヴァーウィンターは大陸北西部のソード・コースト(剣の海岸)と呼ばれる海岸の北のほうに位置する港湾都市であり、昔から沿岸交易の拠点として栄えてきました。ネヴァーウィンターより北にある大きな港はラスカンのみであり、しかもこちらの都市は海賊と邪悪な魔術結社が跋扈する悪徳の都であったため、良識ある者にとってはネヴァーウィンターこそが最北端の港でした。ネヴァーウィンターが“北方の宝石”の美称で呼ばれていたのものこの時代です。 貿易都市によくあることですが、ネヴァーウィンターは大商人や地主、

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