思いもよらないところから、安全・安心なお野菜が。
昨今、光や気温・湿度をコントロールした屋内で野菜を生育する「植物工場」が注目され、様々な事業者による取り組みが進んでいます。そんな中、一見すると野菜とは無縁にも思える鉄道事業者、東京メトロが手がけるブランド野菜がありました。その名も「とうきょうサラダ」です。
その完全人工光型植物工場があるのは、なんと東京は葛西~西葛西間の東西線の高架下! 東京メトロならではと言える立地の野菜工場で、最先端の野菜作りを見学してきました。
まず、東京メトロが植物工場を始めた理由として、高架下にある遊休地の活用を模索していたことに加え、震災以降の食の安心・安全への関心の高まりと、鉄道会社としての東京メトロが掲げる「安全・安心運行」の理念が合致したことが挙げられるといいます。
2015年の1月13日に稼働を開始したという工場では、現在ベビーリーフ、レタス、ハーブなどの葉物野菜を中心に約15種類が栽培されています。大体30坪ほどのクリーンルームから1日最大120株の野菜が収穫され、すでに東西線沿線の飲食店向けに出荷されているのだそう。
菌の侵入を制限した屋内環境は温度・湿度などが管理され、液肥の循環なども機械によって自動化された水耕栽培。野菜の成長にあわせて植え替えを行います。収穫は人の手で行われていて、種を蒔いてからおおよそ数週間で収穫が可能。
養分のコントロールができる水耕栽培ならではのメリットとして、食事に制限のある人でも食べられる低カリウム野菜なども生産できるそう。今後はこうした付加価値の高い野菜作りも目指すといいます。
価格は一般的に流通する野菜よりやや高めの200円に設定されているものの、露地物の野菜が天候などによって価格が変動するのに対して、常に一定の価格で販売できるのが強み。また、土や虫が付着しないため、洗わずに食べられることから、出荷先の飲食店では「手間が少なくなる」「日持ちが良いので廃棄ロスを抑えられる」として好評を得ているのだそうですよ。
実際に試食させていただいたところ、茎が柔らかく「えぐみ」も少ないことから、野菜が苦手な人にも受け入れられそうな印象を受けました。
今のところは東西線沿線の飲食店向けのみの出荷となっている「とうきょうサラダ」ですが、5月9日、10日に勝どきで開催されるイベント「太陽のマルシェ」で一般向け販売を行うとのこと。
職員の方も「安全・安心という部分を理解してもらって、たくさんの方に食べていただけたら嬉しい」と今回の販売に意欲を見せていますので、興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
東京メトロの「とうきょうサラダ」販売開始 [東京メトロ ニュースリリース]