僕のニコ生では、あるテーマを設定してそれにまつわるエピソードや思い出、想いなどを募るコメントコーナーという時間がある。
 
 直近の番組でコメントを募ったテーマは「メンバーの表情について」だった。
 
 30年前の記憶を辿ってその頃の出来事を思い出したりすると、僕の脳裏には鮮やかにあの頃のメンバーの表情が浮かぶ。
 
 何よりも最初に思い出し、その表情が様々な記憶を浮かび上がらせてくれるのは、やはり当時の僕が最も関心を寄せていたのが、メンバーそのものだったからなのだろう。
 
 僕という人間と「Xという物語」の関係は、そのほとんどが僕とメンバーに関することだと思う。
 
 考えてみれば、通常レコード会社のディレクターにとって一番の関心ごとは担当アーティストの作品がどれだけ売り上げをあげるかであり、その売り上げによって社内で自分がどのような評価を得るかであり、そのディレクターとしての仕事がいずれ自分の社内におけるポジションにどう影響するのか・・・なわけで、やはり当時の僕は相当変わり者だったのだ。
 
 おまけにたとえ社内であろうが、共にXのプロデュースを手がけていたStaff Room3rdの4名を除けば、メンバーの人間性について理解はなく、ちょうどXのことを知らなかった当時の世間の人たちと同じように「反抗的で尖っていて不敵で不良じみた社会的には決して人のお手本になるような人間性ではない」といったイメージを抱いていたのだった。

 でも僕にとってメンバーは、どんな時でも見つめていたい特別な魅力を持った人間であり、その様子から天才アーティストのカリスマ性と赤ちゃんのピュアネスを同時に感じることのできる心地の良い存在だった。
 
 そんなメンバーは実際にどのような表情を見せながら日々を送っていたのかといえば、