3.  X JAPANと普遍性


 前回書いたように、変わらないということは圧倒的な力を持つ。

 逆に変わってしまうことの哀しさを端的に表しているのが、今話題になっている、薬物汚染が発覚した有名アーティストだ。

 そう、彼の場合は、音楽(=クリエイティブなこと)よりも有名人特有の悩みや苦しみ、錯覚や驕りが上になってしまった。

 残念ながら、彼のように「堕ちてしまうアーティスト」は数多くいる。

 共通しているのは、活動が始まった頃は根底に音楽があったにもかかわらず、成功した後は、大切なものの優先順位が変わってしまうことだ。

 シビアな表現をすると、変わってしまったアーティストは、その時点でもう本物ではなくなってしまう。
 
 もちろん「過去」の活動と作品は永遠に残るが、「今」は残念ながら・・・。




 さて。

 尊敬に値する優れたアーティストは、変わらない。つまり普遍性がある。

 そして普遍性はオリジナリティから生まれる。

 だから、その普遍性はアーティストによってそれぞれだ。

 X(X JAPAN)の前に、僕が新人発掘の仕事をしていて出会った優れたアーティスト、エレファントカシマシの場合は、作品の味わいだけでなく、メンバーやライブでの表現スタイル自体が、25年以上変わっていない。

 エレファントカシマシを見れば、「変わらない = 最初からオリジナルの塊であり、フロンティアだった」という構図が理解しやすいだろう。

 そう、最初は多少変に見えても、アーティスト本人にとっては、そのスタイルこそが普遍なのだ。

 結局、変わらないということは、活動の最初からそのアーティストが普遍的な魅力とオリジナリティを持っていたことを証明することになるわけだ。

 サザンオールスターズ、ミスターチルドレン、BUMP OF CHIKIN・・・ 

 それぞれの味わいが、長い間全く変わらないことがよくわかる。

 そして、どのアーティストも皆、その長い活動期間、音楽と作品が何より一番上にある。


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 さて、X JAPANの場合、その普遍性はどのようにして形成されていったのだろう。

 「すべての始まり」の背景から、活動初期のそのあたりを見てみよう。