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R&Bフリーク以外は置き去りにするR&B評 第24編『The Isley Brothers』
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R&Bフリーク以外は置き去りにするR&B評 第24編『The Isley Brothers』

2016-09-29 18:53
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    「The Isley Brothers」

    アメリカ合衆国オハイオ州出身の音楽グループ。60年もの長きに渡り第一線で活躍するレジェンド。




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    <TSUYOSHI評>

    1996年リリースの「Mission to Please」でアイズレー・ブラザーズにハマった。それまでアイズレーにずっと興味はあったのだけど、その昔CD屋に並んでいたアイズレーの日本版CDの帯に書いてあった”ブラック・ロック”の文言が私をアイズレーから遠ざけさせていた。後々ちゃんと聴いてみたら全然ロックじゃなかったけど。アーニー・アイズレーが弾くギターソロはそりゃ歪んでいるしフレーズもロックだけども、ほぼほぼその要素だけで”ロック”って言っちゃう感覚には恐れ入る。「For The Love Of You」がロックな訳あるまい。そんな恐ろしい”ブラック・ロック”というカテゴライズなど微塵も受け付けないアルバム「Mission to Please」は本当に美しいアルバムだ。アーニーの歪んだギターがこれまたセクシー極まりない。アルバムを通して、当時のロナルド・アイズレーの奥方のプロデュースワークが冴えていたとも思うし、Babyfaceやキース・スウェットの存在も大事だが、やはりR・ケリーが手掛けた名曲「Let's Lay Togetherhttps://youtu.be/AqlQ1eqLRmk )があってのアルバムの完成度なのだと思う。往年のアイズレーが聞かせてくれていた”美しさ”。それを90年代以降のR&Bテイストに焼き直してもなお輝きを放ち続けることができるアイズレー・ブラザーズの懐の深さ・偉大さを教えてくれたR・ケリーには本当に感謝しかない。 

    兄弟グループであるアイズレー・ブラザーズ。結成して62年も経っているらしい。初のヒット曲「Shout」のリリースですら57年前。この曲ですでにリードを歌っているロナルド・アイズレーの才能なくしてアイズレー・ブラザーズは存続しえなかったはず。70年代に入りさらに弟2人と従兄弟1人の若手親族が加入しセルフ・コンテインドなグループになってからもその勢いは止まらず。ロナルドの歌は熱いシャウトとあまりに美しいファルセットを行き来する。かつてアイズレーのバックバンドにいたジミ・ヘンドリックスばりのギターを奏でるアーニーとの絡みはもはや伝統芸能。今では当たり前だが、「Summer Breeze」のようなファルセットで歌っているミディアムスローな曲にエレキギターのソロが入るのは当時は画期的だったはずだ。


    ちなみにギター担当のアーニーはレコーディングにおいてはドラムも担当している。派手なフィルインなどはせず、ひたすらビートを刻む。個人的に1975年リリース「The Heat Is On」の、昔でいうところのB面の3曲の流れがとても好き。「For The Love Of You」と「Make Me Say It Again Girl」という名曲に挟まれた「Sensuality」(https://youtu.be/Y5nwCXuqd6g)で、ギターを担がずに淡々とハイハット抜きのドラムを叩くアーニー。クリス・ジャスパーが奏でるエレピで始まるイントロのコード進行の美しさに輪をかけるように響き渡るARPシンセのメロディー。ロナルドの終始抑えめながらも時に官能的な歌声が乗っかれば、ただただこの上ない美しさの逸品となる。是非周りの寝静まった夜中にでもお聴きいただきたい。


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    <西崎信太郎評>

     "Between The Sheets"のトラックを初めて聴いたのは、ビギー"Big Poppa"(もしかしたらヴィシャス"Nika"だったかも)"For The Love Of You"のトラックを初めて聴いたのは、2パック"Bury Me A G""Work To Do"を初めて聴いたのは、ヴァネッサ・ウィリアムズのリメイク。"Summer Breeze"を初めて聴いたのは、ニッキー・リチャーズのリメイク。そう考えると、リアルタイムにアイズレー・ブラザーズの音楽に触れたのは、『Eternal』辺りだったのかも。サンプリング文化=リスペクト思考。恐らく、サンプリングされた楽曲数(カバー曲ではなくて)で言えば、どのアーティストよりもアイズレー・ブラザーズが最も多いのでは。今日のブラック・ミュージックの基盤を作っていると言っても過言ではないはレジェンド・バンドは、結成から70年近く経とうとしている。

     僕の中でアイズレーと言えば、ファンク・バンドとして名を馳せた創成期より、TR-808を駆使して生まれたアーバン・ソウル"Between The Sheets"時代のイメージがやはり強い。ヒップホップのサンプリング・ソースとしてあまりにも有名な曲だが、この1曲があったから(マーヴィン・ゲイ"Sexual Healing"も含め)R・ケリーの才能を開花させ、R&B/ソウルたるもの「セクシャルでなんぼ」という価値観が定着し、少子化対策(?)に一役かっているわけである。アイズレー・ブラザーズのフロントマン、ロナルド・アイズレーとかつて共演したトレイ・ソングスは、クリス・ブラウンと『Between The Sheets Tour』を'15年に決行。ツアーで"Between The Sheets"の披露はなかったようだが、時代のトップ・アイドルのアイズレー・ブラザーズへのリスペクト心を感じざるを得ない。

     生涯現役を貫き、引退は全く考えていないというロナルド。彼が歌い続けるかぎり、アイズレー・ブラザーズに終わりはなし。




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