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守屋英一氏:猛威を振るう新手のコンピューターウイルスとその対策
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守屋英一氏:猛威を振るう新手のコンピューターウイルスとその対策

2016-04-13 23:00

    マル激!メールマガジン 2016年4月13日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/
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    マル激トーク・オン・ディマンド 第783回(2016年4月9日)
    猛威を振るう新手のコンピューターウイルスとその対策
    ゲスト:守屋英一氏(明治大学ビジネス情報倫理研究所客員研究員)
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     新手のコンピューターウイルスが猛威を振るっている。今回拡散しているウイルスはランサムウェア(Ransomware)と呼ばれるもので、感染したユーザーのパソコンに保存されているファイルを勝手に暗号化し、開けなくしてしまう機能を持っている。そして、ファイルを開くための復号キーと引き換えに金銭を要求するというもの。データを人質に取って身代金を要求してくるところが、ランサム(身代金)ウェアと呼ばれる所以だ。
     トレンドマイクロ社の統計によれば、世界の法人利用者におけるランサムウェアの検出台数は、2014年の1万4400件から15年に3万1900件と約2.2倍になり、病院や学校などの被害も相次いでいるという。また国内法人の被害報告数は、15年は650件にのぼり、14年から約16.2倍に急増。3月には愛知県警がスマホへの被害を全国の警察として初めて確認した。
     明治大学ビジネス情報倫理研究所の客員研究員で内閣サイバーセキュリティセンターの上席サイバーセキュリティ分析官を務めるゲストの守屋英一氏は、今回のランサムウェアの流行は、コンピューターウイルスが新たな次元に入ったことを示唆しているという。それは従来のウイルスが、金融機関やクレジットカードなどから資金を引き出すことを意図していたのに対し、ランサムウェアが個人を対象に、犯人と被害者の間で直接資金のやりとりをする方式をとっているからだ。
     守屋氏によると、ネット上ではランサムウェアを製作するアプリケーションが10ドル程度で販売されていて、誰でもランサムウエアビジネスに参入できる状態にあるというから、今後、その猛威がさらに拡大していく可能性は高い。守屋氏は、こうした不正に対する防衛策の重要性を強調すると同時に、フェイスブックやLINE(ライン)といったSNS上から個人情報が収集されて偽装に悪用されていることにも注意を払うべきと指摘する。
     利便性につられて無防備にコンピューターやインターネットの利用を拡大してきたわれわれだが、ランサムウェアの登場でネットセキュリティに対する認識を根本的に再考する必要があるのかもしれない。
     ランサムウェアの流行状況やコンピューターウイルスの歴史などを振り返りながら、ウイルスの脅威やネット上に溢れる個人情報のリスク、そしてその対処法などについて、ゲストの守屋英一氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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    今週の論点
    ・猛威をふるう“身代金ウイルス”の恐怖
    ・合理的なビジネスとしてのコンピューターウイルス
    ・コンピューターウイルスの歴史とは
    ・フェイスブックを利用する上で必要なセキュリティ対策
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    ■猛威をふるう“身代金ウイルス”の恐怖

    神保: 今回のテーマは「ネットセキュリティ」です。いまさらながらという話題にも思えますが、どうも実は旬なネタらしい。メールをチェックすれば、毎日のように何かの添付書類付きで、怪しいメールが来ている。

    宮台: 僕のところにも来ています。

    神保: 「誰が何の目的で送っているのか」ということもさることながら、「どうやってこちらのアドレスを知ったのか」ということも、重要なポイントのようです。ここに来て、どうもネットのコンピューターウイルス問題は、特に個人に対する攻撃という意味で、ひとつ新しい次元に入っているように見えるとのこと。一体何が起きているのか、これまでとどう違うのか、ということをきちんとおさらいをしたうえで、今後についても考えていきたいと考えています。
     ゲストをご紹介します。明治大学ビジネス倫理情報研究所の客員研究員で、ネットセキュリティやSNSの問題に詳しい、守屋英一さんです。守屋さんは、去年2015年から、内閣サイバーセキュリティセンターの上席サイバーセキュリティ分析官も兼務されていますが、僕は『フェイスブックが危ない』(文春新書)で知りました。いわゆるSNSから、情報がどんどん取られている、ということに以前から警鐘を鳴らされています。
     いま申し上げたメールですが、見たこともない名前で毎日10通くらいは必ず来ています。必ず添付ファイルが付いていて、もちろん開くようなことはしないのですが、これを開いてしまうと、後から問題にするような事態につながってしまうのでしょうか。

    守屋: そうですね。コンピューターウイルスにはさまざまな目的があり、神保さんはジャーナリストなので「金銭以外の目的」で情報を取ろうとする攻撃がくる可能性もありますが、一般的には金銭を目的としたものが多いと思います。

    神保: たまたま僕がここのところ攻撃を多く受けているのか、それとも日本、あるいは世界的に見て増えているのでしょうか。

    守屋: 例えば、今回話題にするランサムウエアであれば、この3月に新種が多く出ており、それがいろいろなところで猛威を振るっています。世界的に増えていて、そのなかに日本も含まれていますね。

     
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