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鈴木直道氏:10年目を迎えた夕張破綻の教訓
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鈴木直道氏:10年目を迎えた夕張破綻の教訓

2016-04-06 23:00

    マル激!メールマガジン 2016年4月6日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/
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    マル激トーク・オン・ディマンド 第782回(2016年4月2日)
    10年目を迎えた夕張破綻の教訓
    ゲスト:鈴木直道氏(夕張市長)
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     今年は夕張市の財政破綻から10年となる。2006年に約353億円の財政赤字が発覚して財政破綻した夕張市は、この10年間、増税を含む住民の負担増と、行政サービスの廃止・縮小による歳出削減による極度の緊縮財政政策のもと、地道に財政再建の道を歩んできた。2015年度末までに約117億円の返済が済む見通しだが、まだ200億円以上の債務が残る。
     夕張市民は市民税や軽自動車税などの増税のほか、公共施設やサービスの利用料の値上げなどを受入れてきた。市長は給与の70%をカットし月給約26万円に、市議会議員の報酬も月20万円に満たないこところまで削り込んだ。破綻前の半分以下に減った市役所の職員の給与も全国最低水準だ。市内に9校あった公立小中学校は、今や小中それぞれ一校ずつに統廃合、市役所の出先機関も1ヵ所に集約されるなど、住民は大きな不便益に耐えている。
     そんな夕張で2011年から財政再建の先頭に立つ35歳の鈴木直道市長は、元々東京都庁からの応援で夕張に派遣され、そのまま居ついて市長になった変わり種だ。破綻から10年目を迎えた夕張市の現状について鈴木市長は、債務返済の過酷さとともに、将来に向けた政策が一切打てないことに危機感を示す。夕張市は財政破綻後、市民の流出が止まらず、破綻当時に約1万3千人あった人口が、現在は9千人を割るところまで減少。しかも、65歳以上の高齢化率が5割近い。夕張を出て行ってもやっていける人は皆去り、出るに出られない高齢者や、地元で商売を営む商店主だけが取り残された状態にあると言っても過言ではない。
     かといって、夕張市は定住促進策や子育て政策などの新規事業を一切打つことができない。財政再建途上にあるため、歳出を伴う新規事業が許されていないからだ。債務返済は必要だが、このままでは地域経済も市民も疲弊してしまい、仮に借金を完済しても地域が死んでしまいかねない危機感を持っていると鈴木市長は語る。
     そこで鈴木市長は破綻から10年の節目に当たって、財政再建一辺倒だった政策を見直して、債務を返済しつつ同時に地域再生も目指すという方向に舵を切ることを政治決断したという。破綻から10年を迎えた夕張は今どんな状態にあるのか。極度の緊縮財政の下で、市民生活はどのような影響を受けるのか。そうした中でも再生に向けた強い意思を見せる市民の力はどこからくるのかなどを、ゲストの鈴木直道夕張市長とともに、社会学者の中澤秀雄とジャーナリストの神保哲生が議論した。

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    今週の論点
    ・東京都職員だった鈴木直道氏が、夕張市長になった経緯とは
    ・市長も給与7割カット、市民もゴミ出しまで有料……夕張市の“痛み”
    ・夕張市の財政状況と、市長が考える最優先課題
    ・夕張再生の鍵――日本の希望になるために
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    ■東京都職員だった鈴木直道氏が、夕張市長になった経緯とは

    神保: 今回は普段と違って水曜日の収録ということで、宮台さんの代わりに中央大学法学部教授の中澤秀雄先生に司会をお願いしました。テーマは財政破綻から10年を迎えた夕張について。中澤先生、今回のポイントはどのあたりになるでしょうか。

    中澤: 夕張は日本唯一の再生自治体ですから、その経験がほかの自治体、あるいはより大きな単位にもたらす教訓はあると思います。厳しい財政再建によって地域も相当疲弊していますが、それでもどっこい住民自治は死んでいない。そうしたものの中から、最終的には地域の自治の底力を見出して、日本の地域の可能性や今後の方向性について議論できればいいと思います。

     
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