マル激!メールマガジン 2014年2月5日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第668回(2014年02月01日)
5金スペシャル
政治権力による放送の私物化を許してはならない
ゲスト:永田浩三氏(武蔵大学社会学部教授・ 元NHKプロデューサー)
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5回目の金曜日に特別企画を無料放送する5金スペシャル。今回はNHK新会長の発言問題を取り上げる。2001年の「ETV番組改編問題」の渦中にいた元NHKプロデューサーの永田浩三氏(現在は武蔵大学社会学部教授)をゲストに迎えて、なぜ時の政権による放送局への介入がそれほど重大な問題なのかを議論した。
安倍政権が送り込んできた新しい経営委員らの後押しを受けてNHKの新会長に就任した籾井勝人氏は、その就任記者会見の場で従軍慰安婦や靖国、秘密保護法などに対する持論を披歴した。確かに、籾井氏の歴史認識については初歩的な誤解や誤認も多く、NHKの会長としての資質に疑問が呈されるのは避けられないかもしれない。
しかし、籾井発言を単なる「NHK会長の歴史認識のあり方」の問題として位置づけるのは、事の本質を欠いている。籾井氏は歴史認識以外にも重要な発言をしている。「政府が右というのに左というわけにはいかない」と発言しているのだ。これはNHKは政府の意向に沿った放送をせざるを得ないとの考えを表明したものに他ならない。
NHK会長はNHK経営委員会が任命し、経営委員は内閣が国会の同意を得て任命する。予算は国会の承認を必要とし、法律に基づいて徴収される受信料で運営されている。だからといって、NHKがその時々の政治権力の意向に左右されていいはずがない。そこにこの問題の本質がある。
日本が公共放送のお手本とするイギリスのBBCでは、政治介入を防ぐための手立てが多重的に講じられている。フォークランド紛争の際に、サッチャー政権からイギリス軍を「我が軍」と呼ぶように求められてもそれをはねつけ、あくまで「イギリス軍」と呼び続けたBBCは、NHKと同様にBBCトラストと呼ばれる経営委員会によって運営されている。このBBCトラストの委員は公募制を取り、委員になる人物の能力や資格の明確化や選任プロセスの文書化と透明化、選任プロセスへの外部監査など厳しい外部チェックを受けることで、党派性や偏りを排除し、適性に疑問のある委員の選出を防ぐような手立てがとられている。同じ経営委員会でも、時の政権の意向に沿う形で密室の中で意味不明の基準に基づいて委員が選ばれている日本との違いはあまりに顕著だ。
NHKに代表される時の政治権力とわれわれが守るべき公共性との関係などについて、ゲストの永田浩三氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・ETV問題の延長線上にあった、NHK新会長の会見
・露骨な政治介入が明らかになった経常委員人事
・日本の放送をめぐる「恐ろしい仕組み」
・参考にしたいBBCのモデルと、期待される「怪我の功名」
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