マル激!メールマガジン 2014年12月3日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第712回(2014年11月29日)
マル激的総選挙の争点
ゲスト:大沢真理氏(東京大学社会科学研究所教授)
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安倍首相は今回の選挙を自ら「アベノミクスと問う選挙」と位置づけ、野党に対して「対案があるのなら出して見ろ」と言わんばかりの姿勢で選挙に臨む姿勢を打ち出している。
しかし、言うまでもなく、選挙の争点が何であるかを決めるのは有権者であり、安倍政治について、以下の2点で厳しい検証が必要だ。まずは、アベノミクスが本当に日本経済の立て直しに寄与しているのかという問いが一つ。そして、2つめが、2年間の安倍政権の是非を問うべき総選挙の争点が、本当にアベノミクスだけでいいのかという問題だ。
社会政策が専門の大沢真理東京大学教授は、「安倍政権下で日本の実質賃金は低下し続けている。これは企業側が非正規雇用への転換を進めてきた結果だ」と、アベノミクス効果を真っ向から否定する。一握りの大企業だけが恩恵を受けているが、国民の大多数は日に日に貧しくなっているというのが現状だと言う。雇用者の数は増えても、その大半は不安定かつ賃金も安い非正規雇用のため、個々の賃金は減少する結果となっている。 そこに、アベノミクスの目玉の一つである「異次元」金融緩和に起因する円安、輸入原料高による物価高の拍車がかかるため、国民の生活は苦しくなる一方だというのだ。
もう一つ、安倍政権の2年間を評価する際に、決して忘れてはならないのが、日本の安全保障政策の大転換だ。安倍政権は歴代の内閣が憲法9条の下では行使ができないとしてきた集団的自衛権の行使に道を拓いてしまった。また、日本が長らく平和国家としての象徴として守ってきた武器輸出三原則を緩和し、日本を武器が輸出できる国に変えてしまった。 民主的手続きの軽視も、安倍政権2年間の大きな特徴と言っていいだろう。
他にもメディアに対する政府の介入問題や、相次ぐ冤罪事件を受けて議論を始めながら、結果的に人質司法や密室司法を正当化しただけに終わった刑事司法改革、一向に取り締まりが行われないヘイトスピーチ問題など、安倍政権の2年間では日本の多くの問題が放置されたり、さらにそれが悪い方向に進んでいると言わざるを得ない。
安倍政権の下で日本はいい方向に向かっているのか。政権が唯一の拠り所とするアベノミクスも、このまま推し進めて大丈夫なのか。マル激がこの選挙、そして2年間の安倍政治の実績の中で特に注目すべきと考えた政策的な論点を、ゲストの大沢真理氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者 の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・「アベノミクス」だけ見ても、安倍政権は失敗している
・重大ながら、争点にならない社会保障問題
・国内外から危惧される集団的自衛権と秘密保護法
・それでも考えなければいけない、教育問題と原発問題
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