マル激!メールマガジン 2015年10月7日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/
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マル激トーク・オン・ディマンド 第756回(2015年10月03日)
創価学会が公明党を見限る日は来るか
ゲスト:玉野和志氏(首都大学東京都市教養学部教授)
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 平和を最大の理念に掲げる創価学会は、集団的自衛権の片棒まで担いでしまった公明党をどこまで支え続けるつもりなのだろうか。
 先の国会で、違憲の烙印を押されながらも採決を強行して可決した安保関連法は、公明党こそが最大の功労者だったといっても過言ではない。自民党は参院では単独で過半数を持たない。安保関連法は公明党の全面協力なしでは成り立たない法案だった。
 しかし、戦後政策の最大の転換と言っても過言ではない、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更を公明党が率先して行ったことについて、平和を最上級の理念に掲げる創価学会は、どう考えているのだろうか。公明党は安倍政権と一体となって安保法制の可決に向けて邁進してきた。しかし、これに対して支持母体の創価学会の中から、この法制に反対する声が上がり始めた。最近は安保法制に対する抗議集会やデモの参加者の中に、創価学会の赤、黄、青の三色旗を振る人が見られることも珍しくなくなっている。
 著書『創価学会の研究』の著者で社会学者として創価学会を研究してきた首都大学東京の玉野和志教授は、今回の学会内で安保法制への反対の動きがあることについて、「もっと早く起きていてもおかしくないことだ」と言う。創価学会が、とりわけ婦人部が平和に対する強い思いを持っていることは周知の事実だ。また、創価学会という団体は一枚岩の組織であるという一般のイメージとは異なり、組織内部で上層部への批判などは日常的に行われている体質を持っていると玉野氏は言う。
 玉野氏は、公明党は野党時代に自民党が池田大作現名誉会長を国会に証人喚問しようとした時のトラウマがあり、下駄の雪と言われようが、そういう無茶をやりかねない自民党には何が何でもくっついていく基本方針に変わりはないという。仮に自民党が両院が過半数を取り、多数派形成のために公明党との連立が必要なくなっても、選挙で学会の支援は絶対に必要な以上、自民党も公明党を手放すことはないだろう。
 安保法制をきっかけに表面化した創価学会と公明党の間の微妙な関係は今後どうなっていくのか。創価学会が公明党を見限る日は来るのか。創価学会の歴史を参照しながら、創価学会の現在の状況や公明党との関係、自民党の連立政権による功罪などについて、玉野和志氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・「もうひとつの地域」だった創価学会
・創価学会は本当に池田大作の独裁なのか
・出来レースに映る“公明党的努力”をどう捉えるか
・社会的つながりから派生する政治的活動が、創価学会周辺にしかない日本の現状
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■「もうひとつの地域」だった創価学会

神保: 今年に入ってからずっと大きな案件として安保法制を取り扱ってきましたが、今日はその中における公明党について扱います。最初に、衆参両院の政党別勢力図を見ていただきましょう。