キャーッ胸突き八丁ならぬ七丁!それとも九丁?な原稿呻吟の最中にお届け「あとは自分で考えなさい。」第61回連動「だから、言わんこっちゃない!」3月6日号!
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で、本日はニュースも順不同wでお届け!
http://www.nippon-dream.com/ を御覧頂くと、「田中康夫の新ニッポン論」「その『物語』、の物語。」「憂国呆談」等々をご覧頂けます。
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もヨロピク、ピクピク。
御意見・御質問・御提言は 「#おしえてヤッシー」でお送り下さいまチェ。
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で、始まり始まり。
2014/03/05 PC遠隔操作事件の片山祐輔被告が保釈 「とにかく出てこれてよかった」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/127748
「自由というのは眩しいものだな」PC遠隔操作事件・片山祐輔被告が保釈会見
http://blogos.com/article/81701/
田中龍作ジャーナル
http://tanakaryusaku.jp/
クリミア半島の紛争を収めるには“協議離婚”の方が合理的 田岡俊次
http://diamond.jp/articles/-/49718
地図で見るウクライナ
http://www.cnn.co.jp/special/interactive/35044749.html
安倍首相:集団的自衛権「他国と同じように行使できない」
http://mainichi.jp/select/news/20140305k0000m010099000c.html
米NYの3つ星レストラン、衛生検査は最低評価
http://www.cnn.co.jp/usa/35044808.html?google_editors_picks=true
郷原信郎が斬る
http://nobuogohara.wordpress.com/
警察病院入札で裏金 業者「元長官秘書らに2千万円」
http://www.asahi.com/articles/ASG345GVZG34UUPI003.html
http://www.asahi.com/articles/ASG345GVZG34UUPI003.html
警視庁の外郭団体「自警会」が2005年に発注した東京警察病院(東京都中野区、415床)の建設工事の入札に絡み、元警察庁長官と元国家公安委員長のそれぞれの秘書が、落札した西松建設(本社・東京都港区)から計2千万円の裏金を受け取っていた疑いのあることが分かった。秘書2人が西松側の依頼で自警会に口利きをした謝礼だったという。口利きを受けた自警会事務局長(当時)も、数十万円分のビール券を受領した疑いがある。
この疑惑は、09年に東京地検が捜査したが、秘書1人が自殺し、未解明に終わった。その後、朝日新聞が取材を続けたところ、西松建設元首脳らが現金供与の実態を具体的に証言し、警察に絡む「利権」の構図が明らかになった。
現金を受け取った疑いがあるのは、元警察庁長官の故・後藤田正晴氏=自民=の秘書と、警察庁を管理する国家公安委員会の元委員長、村井仁氏=同=の秘書。自警会事務局長は、警視庁ノンキャリアの最高ポストとされる地域部長から再就職していた。
東京警察病院の建設工事は、05年6月に入札の参加条件が公告され、同8月の一般競争入札で、西松建設を代表とする共同企業体が約94億円で落札した。
西松建設の金山良治元会長によると、自身が公告前に東京・麴町の後藤田事務所を訪ね、秘書と面会。自社が参加できる入札条件にしてもらうため、自警会への口利きを依頼した。後日、この秘書から、現職の衆院議員だった村井氏の秘書にも協力を求めたと聞かされたという。
石橋直元副社長によると、秘書らは自警会事務局長に口利きをし、後藤田氏秘書が入札の責任者は事務局長であることを伝えてきた。これを受け、石橋元副社長らが警視庁内にある自警会で事務局長と会い、「西松が入札できる条件に」と頼んだという。
結果的に入札条件は西松が望む形になった。だが、金山元会長らによると、同年秋、後藤田氏秘書が本社を訪れ、「いろいろ面倒を見た」と怒った様子で謝礼を要求してきた。金山元会長は国沢幹雄元社長らに支払いを指示したという。
国沢元社長は取材に、後藤田事務所で後藤田氏秘書に500万円を、都内のホテルロビーで村井氏秘書に1500万円を、裏金から渡したことを明かした。
また、石橋元副社長は落札後に自警会を訪ね、事務局長に謝礼として20万~30万円分のビール券を渡したという。事務局長が07年に退職するまでにさらに2回ほど、同様にビール券を渡したといい、「事務局長は元公務員。発覚したら大ごとなので、現金でなくビール券にした」と話した。
後藤田氏秘書は取材に「忘れ去った話」などと答えた。村井氏秘書は東京地検の捜査中の09年に自殺している。村井氏本人に事実確認を求めたところ、「全く知らない」と話した。
当時の自警会事務局長は秘書らと面会したことは認めたが、「入札で便宜を図ったことはない」と答えた。ビール券については「記憶がない。儀礼的な範囲なら受け取ったかもしれない。20万~30万円という多額ではない」と説明した。(久木良太)
◇
〈自警会〉 警視庁職員らが会員となる一般財団法人で、職員の福利厚生などを担う。会長は警視総監、理事長は副総監で、警視庁から再就職した事務局長が実務上の責任者。病院事業は定款で「公益的な事業」と明記。東京警察病院は大規模災害に対応する機能を備え、地域の患者にも開かれている。旧病院の売却益と、国と都から約8億5千万円の補助を受けて建設した。
秘書自殺、流れた捜査 警察病院入札、裏金の実態聴取中
http://www.asahi.com/articles/ASG345HC4G34UUPI006.html
http://digital.asahi.com/articles/ASG345HC4G34UUPI006.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASG345HC4G34UUPI006
大物政治家の事務所、警視庁幹部OB、ゼネコンが絡んだ利権の構図が明らかになった。東京警察病院の建設をめぐる西松建設の現金供与疑惑。5年間の取材で、真相に迫った。(久木良太)
2009年2月24日、長野市内の電柱で首をつった男性(当時59)が見つかった。男性は、元国家公安委員長で当時長野県知事だった村井仁氏の側近。長く秘書を務め、当時は県参事として仕えていた。
この日、東京地検特捜部による男性の事情聴取が予定されていた。西松建設の裏金事件の捜査だった。
「おちょうし1本」(=1千万円)。西松建設はそんな暗号を用い、海外から裏金を持ち込んでいた。特捜部は同年1月、外為法違反の疑いで国沢幹雄元社長らを逮捕。国沢元社長は裏金の使途として、元警察庁長官の故・後藤田正晴氏の秘書に500万円、村井氏の秘書に1500万円を渡したと供述していた。
後藤田氏は官房長官や法相を歴任して1996年に政界を引退し、東京警察病院の入札直後の05年9月に死去。村井氏は入札直前の同8月の「郵政解散」まで衆院議員を務めていた。
関係者によると、特捜部は、入札公告時に現職議員だった村井氏側への現金供与に違法性があるかどうかを探っていた。特捜部の参考人聴取で、後藤田氏秘書は500万円の受領を認め、調書に署名したという。
村井氏秘書の参考人聴取は09年2月20、23日に約6時間ずつ都内のホテルで行われた。両日の聴取では核心に至らず、検事は「詳しい話は明日聞くからよく考えておいて」と伝えた。
その翌日に秘書が自殺。秘書らが口利きをした自警会の人物も特定できない段階で捜査は頓挫した。
だが事件は、捜査対象を変えて展開する。
特捜部は翌3月、西松から違法に献金を受けたとして、小沢一郎・民主党代表(当時)の秘書を逮捕した。民主党による政権交代や「小沢首相」の誕生を阻もうとする国策捜査だという批判が吹き荒れた。
しかし、特捜部の当初の狙いが自民党側だったという事実は、今でもほとんど知られていない。(久木良太)
■村井氏「事実なら言語道断」 後藤田氏秘書「記憶にない」
「理由は分からない。僕も知りたい」。秘書が自殺した当時、村井氏自身はそう語った。県議会などで説明責任を追及され、知事を1期で辞めている。
死の真相は何か――。西松建設幹部らの取材を続けた。2011年になって、後藤田氏秘書がキーマンであることが見えてきた。
西松は、金山良治元会長と後藤田氏が同じ徳島出身という縁を利用し、関係を築いていた。国沢元社長は「警察署の建て替えなど警察関係の仕事に後藤田事務所は強かった。全国で結構、仕事があった」と明かした。盆暮れの付け届けもしていたといい、「05年には1度、私が後藤田氏本人に500万円を渡した」と証言した。
東京警察病院の入札で、西松は、別のゼネコンが入札の参加条件に「官庁発注の大規模病院の工事実績」を入れるよう画策しているとの情報を得た。西松にはその実績がなく、金山元会長が後藤田氏秘書に「大手が西松を排除しようとしているからやめさせてほしい」と頼んだという。結果的に、参加条件は西松がクリアできる「民間発注の実績でも可」となった。
西松の政界工作と秘書の口利き行為の輪郭が見えてきた。謝礼金についても、国沢元社長が昨秋、4回目の取材でようやく自ら裏金を渡した事実を認めた。金額は「秘書の言い値」で決めたという。
最後まで謎だったのは、秘書が口利きした自警会の人物だ。それを特定できたのは今年1月。石橋直元副社長が、当時の事務局長だったことを認めた。警視庁の暴力団対策課長や地域部長を務めた幹部だった。
2月以降、金品を受け取った側の取材を進めた。
当時の事務局長は、「警察庁職員の紹介で秘書と会った」と説明した。西松との面会も認めたが、便宜供与は否定した。
村井氏は秘書が現金を受け取った疑惑を知らなかったという。「衝撃的な話。事実なら言語道断」と話し、厳しい表情を見せた。
後藤田氏秘書は「今さら蒸し返すな」と言い、こう続けた。「故人(村井氏秘書)の名誉にかかわる。今は記憶にない」(久木良太)
■利権の温床 意識欠如
《解説》東京警察病院の建設は、国と都が補助金を出す公益事業だ。政治家秘書は、公正であるべき入札の条件に口をはさむべきではなかった。自警会事務局長も、ゼネコンと結託した秘書と接触することが利権の温床になりかねないという意識が欠けていた。
「西松に便宜を図っていない」と言われても、落札後に秘書や事務局長が金品を受け取ったとなれば、本当に入札が正しく行われたのかとの疑念が生じる。
秘書は、警察庁長官や国家公安委員長(国務大臣)という警察組織の最上の肩書を使い、元警視庁幹部の事務局長に口利きをしていた。事務局長には面会を拒否するという発想はなく、取材の際には、情報収集のために口利きも有益という認識を示した。
9年前の事案で、事件化される可能性もほぼないが、警視総監をトップとする自警会は厳に襟をただし、今からでも事実関係を調べるべきだ。(久木良太)
ドワンゴに入社受験料の中止要求 厚労省、口頭で助言
日本の防空識別圏内の海上に落下 3日発射の北朝鮮ミサイル
複数の韓国メディアは4日、韓国国防省関係者の話として、北朝鮮が3日に日本海へ向けて発射した短距離弾道ミサイル2発が、日本の防空識別圏内の海上に落下していたと伝えた。
3日のミサイルは北朝鮮南東部の元山周辺から北東に発射され、500キロ以上飛行したと同省が明らかにしていた。朝鮮日報は、能登半島の北西400~456キロの海上に2発が落ちたと伝えた。米韓当局は、発射されたのは短距離弾道ミサイル「スカッド」とみている。
韓国国防省報道官は4日、3日の発射は「当然、国連安全保障理事会の決議違反」と述べた。北朝鮮は2月21日と27日にも短距離ミサイルを発射しているが、同報道官は28日、決議違反かどうか判断を避けていた。(共同)
閣議議事録公表へ 来月から、法改正は見送り
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014030402000238.html
「現行の公文書管理法の趣旨で、憲政史上初めて、議事録を作成して公表する」
「閣議決定で基本方針を定める。効力はその後の内閣にも及ぶのが原則」
現行の公文書管理法では閣議の決定と経緯について文書作成が義務付けられているが、守られてこなかった。
安倍首相は、昨年秋の臨時国会で公文書管理法改正案の提出を明言したが、方針転換。議事録の作成や公開について「閣議決定で基本方針を定める。効力はその後の内閣にも及ぶのが原則」と述べた。
解釈改憲との「取引」狙う?=首相、公明に配慮-議事録公開
議事録公開、NSC含め検討=全面開示は否定―菅官房長官
就任会見発言 籾井NHK会長「言わされた」
http://www.asahi.com/articles/ASG3366VZG33UCVL023.html?iref=com_rnavi_srank
「アンネの日記」 「知の遺産」に対する蛮行だ(3月4日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20140303-OYT1T01487.htm?from=ylist
日本に対する誤った認識が世界に広がらないか、心配だ。
米国や韓国などの一部メディアは、「日本の右傾化」と関連づけて報じている。ヒトラーを礼賛するような、ネット上の極めて限られた言説などを根拠としているが、的外れな論調である。
日本は、戦前も含め、反ユダヤ政策に同調したことはない。
在日イスラエル大使館には、日本国民から謝罪や励ましの電話、メールが多数寄せられている。
会員制の高級トイレ、米NYで今夏開業
http://www.cnn.co.jp/photo/l/548836.html
安倍首相、村山談話の認識踏襲=参院予算委
http://jp.wsj.com/article/JJ10452279867356453837218445017881954422974.html
「わが国は多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えた。その認識においては歴代内閣の立場を引き継いでいる」
「侵略や植民地支配を否定したことは一度もない」
安倍首相:「村山談話」踏襲、改めて示す
http://mainichi.jp/select/news/20140304k0000m010072000c.html
1995年に村山富市首相(当時)が日本による過去の植民地支配や侵略を謝罪した「村山談話」について「わが国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えた。その認識においては歴代内閣の立場を引き継いでいる」
「安倍内閣として侵略や植民地支配を否定したことは一度もない」
「戦後わが国は深刻な反省の上に立って、自由で民主的で基本的人権や法の支配を尊ぶ国を作り平和国家として歩んできた。その歩みは今後も変わらない」
政府、TPPで米以外と優先協議 関税分野打開へ戦略転換
http://www.47news.jp/CN/201403/CN2014030301002286.html
政府が環太平洋連携協定(TPP)交渉の関税協議で、オーストラリアやニュージーランド、メキシコなど米国以外の10カ国との話し合いを優先して進める方針を固めたことが3日、分かった。日米協議が難航し、米との合意を先行させる従来の戦略を転換する。
日本はコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、サトウキビなどの甘味資源作物の重要5項目で関税の維持を目指している。日本は米以外の各国と5項目の関税をなくさずに合意し、関税撤廃を求める米に圧力をかける狙いがある。
ただ、米以外も日本市場への輸出を増やしたい項目を抱えている。日本が思惑通りに各国と妥協点が見いだせるかが焦点となる。
石原慎太郎、衝撃発言「皇居にお辞儀するのはバカ」「皇室は日本の役に立たない」
http://biz-journal.jp/2014/03/post_4279.html
冷え込んだ東京市場、地政学的リスクにうろたえ株安・円高
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA2206620140303?feedType=RSS&feedName=topNews&google_editors_picks=true&sp=true
ロシア、クリミア占領拡大=G7、サミット準備参加せず-米は軍事手段除外
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014030300030&j4
「連絡グループ」設置に同意=ロシア大統領http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014030300062
【ベルリン時事】ドイツ政府スポークスマンによると、ロシアのプーチン大統領は2日、メルケル首相との電話で、同首相が提案したウクライナ情勢に関する「連絡グループ」設置に同意した。
連絡グループは政治対話の開始が目的。欧州安保協力機構(OSCE)の指揮下に置かれる可能性があるという。
メルケル首相はプーチン大統領に対し、ロシアによるクリミア半島への軍事介入は国際法違反であり「受け入れられない」と非難。ウクライナの領土保全を尊重するよう改めて求めた。(2014/03/03-08:45)
新国立競技場の建設コンペをめぐる議論について (4)
http://www.huffingtonpost.jp/takashi-moriyama/new-national-stadium_b_4856278.html
子宮頸がんワクチン中止訴え、都内で国際シンポ 「アルミが副作用原因」専門家指摘
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014022602000121.html?ref=rank
「自己破壊」するスマホ、ボーイングが開発
http://www.cnn.co.jp/tech/35044602.html?google_editors_picks=true
死去と宣告の男性、葬儀場で袋蹴り「蘇生」伝える
http://www.cnn.co.jp/usa/35044653.html
特集ワイド:続報真相 「安倍1強」自民に変調
http://mainichi.jp/shimen/news/20140228dde012010002000c.html
特集ワイド
http://mainichi.jp/search/index.html?q=%E7%89%B9%E9%9B%86%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%89&imgsearch=off
汚染水漏れも「事象」 規制委事務局「事故」と呼ばず
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014022802000145.html
豊洲新市場が起工式 完成は16年予定
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014022802000236.html?ref=rank
継げるか築地ブランド 市場移転先の豊洲で起工式
http://www.asahi.com/articles/ASG2G6R5XG2GUTIL04Z.html?google_editors_picks=true
米国の食品ラベル、新表示方式に―不健康な成分を浮き彫りに
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304227204579410232516984214.html?google_editors_picks=true
在特会ヘイトスピーチを非難 米人権報告書
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014022802000229.html?ref=rank
期待高まるエアバス新型旅客機「A350XWB」
http://www.cnn.co.jp/travel/35044460.html
ビットコイン「通貨でない」、静観する日本政府 マネロン対策急務
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0LX15S20140228
社会問題化した仮想通貨ビットコイン 「すべて自己責任」の方が「すっきり」かも
http://www.j-cast.com/2014/02/27197849.html?p=all
北欧「オンカロ」からの警世
http://jp.reuters.com/article/jp_blog/idJPTYEA1Q02X20140227
02/28 【特別編集委員コラム】慰安婦と歴史の真実
歴史の真実とはなんだろうか―。
来年の戦後70年を前に、従軍慰安婦問題で旧日本軍の関与と強制性を認めた1993年の河野洋平官房長官談話を撤回したい。それが本音に違いない安倍晋三首相にとって、好機がやってきた。
米カリフォルニア州などで慰安婦像設置が相次ぐ。像の碑文に刻まれる「日本軍に強制連行された」という趣旨の一文が、国会で問題となった。河野談話作成にかかわった当時の官房副長官、石原信雄氏が衆院予算委員会に呼ばれ、軍が慰安婦を強制的に集めたことを「裏付ける資料はなかった」とあらためて説明した。だから、元慰安婦らの証言を「強制性」の根拠にしたのだという。
だが当時、証言の裏付け作業はしていないから、安倍政権は証言を調べ直すことになった。しかし、たとえ証言を裏付ける証言が出ても、資料(文書)はないということで、結局、強制性は「証明できない」という結論へと導かれるのは見え見えだ。
そこに見られる考え方には、根本的欠陥がないか。歴史は文書の資料がすべてであり、証言などは信用できないという考え方だ。
都合の悪い文書は破棄されるということこそ、歴史の真実だ。情報機関の歴史を専門とする英国の学者リチャード・オルドリッチは、英米でさえも戦時においては、知られてまずいことを隠すため大量の公文書を焼き捨てたありさまを、著書に書き記している。
焼き残された公文書が正確な記録かというと、どの国でも役所間の争いがあり、自己正当化できる文書だけを残そうとする傾向がある。文書でたどる歴史はゆがんでいるのだ。
慰安婦集めの強制性を示す文書など出てこないだろう。むしろ証言の方が重いはずだ。
「日本軍より(自分を売った)父さんが憎い」。そう語った元慰安婦もいる。慰安婦問題の解決には、韓国の近代日本文学研究者、朴裕河(パク・ユハ)さんが著書「和解のために」でいうように、日本人も韓国人も当時、どのように女性の「性」を扱ったか、今も双方がその延長で犠牲者たちを「政治の道具」に使っていないか、それぞれわが身を振り返ることが出発点だ。そこから、歴史の真実が見えてくるのではないか。
(共同通信特別編集委員 会田弘継)
與那覇潤さんに聞く「歴史認識問題」
http://www.asahi.com/area/aichi/articles/MTW20140219240550002.html
第2次安倍政権の発足後、よく目にするのが「歴史認識問題」。中国・韓国は右傾化と批判、首相の靖国参拝では米国まで「失望した」とする一方、国内では支持する声も。この動きについて、愛知県立大准教授で日本近現代史が専門の與那覇潤さんに聞いた。
●もはや歴史ではない?
――「歴史認識問題」をめぐる動きをどう見ていますか。
歴史認識問題と呼ばれていたものが、実はもはや歴史問題ではなくなっているように感じます。1990年代に「新しい歴史教科書をつくる会」や、小林よしのりさんの『ゴーマニズム宣言』が論争を呼んだころは、かろうじて歴史観という物語どうしがぶつかっていた。でも、いまは単なるエピソード対決。従軍慰安婦問題などで「ひどいことをした」という主張に対して、「いいことをして感謝された日本人もいますよ」と返すだけなら、個々の挿話をつなぐ歴史観=物語はもういらなくなる。
典型的だったのは、NHKの籾井勝人・新会長の発言です。慰安婦問題に関する従来の右派的な立場は、「軍や官憲が、国家の意思として強制連行した証拠はない」というものでしょう。ところが籾井氏は「韓国は日本だけが強制連行をしたみたいなことを言うからややこしい」として、あたかも日本も強制連行したが、他の国もやっていたはずじゃないかと言う。要するに、韓国に言い返せれば歴史認識はどうでもいいと、そのレベルになっているわけですね。
――朝日新聞の1月末の世論調査で安倍晋三首相の靖国神社参拝への支持が41%ありました。
安倍首相は参拝後に、過去の戦争を賛美するものではない、むしろ「不戦の誓い」をしたんだと述べました。まさしく、歴史認識の問題とは切り離して考えましょうよと。それが、狭義の右翼的な歴史観の持ち主以外も捉えたのでしょう。小泉純一郎首相の時と、似た戦略を立てたのだと思います。
問題は、世界はそう見ないということで、中韓はむろん米国にまで批判されてしまった。お前たちは無条件降伏をして、東京裁判を受諾することで戦後世界の秩序に復帰したんだろうと。日本人の一部が「東京裁判史観」をいかに呪おうと、現にそういうストーリーに基づいて、今日でも国際政治は動いているんですね。A級戦犯を祀(まつ)った神社に参拝しながら「いえ、われわれは歴史観への挑戦はしていません」では通らない。
●批判者こそ「物語」を
――安倍首相が口にする「日本を取り戻す」というフレーズ。いつの時代に戻すのでしょう。
安倍さんを熱烈に応援している人たちは、そういう国際社会版の「戦後レジーム」から脱却すれば、もう外国に気兼ねしないでいい「自立した日本」が取り戻せると思っているのでしょう。しかし、単に海外を無視したいという欲求は、江戸時代の鎖国よもう一度、と言っているのと変わりません。
むしろ歴史的にみて、いまの日本の状況に似ているのは、日清戦争前の朝鮮(李氏朝鮮)の方です。普天間から靖国まで、日本がどこまで米国に「従属」しているかがはっきりしないように、当時の朝鮮も中国(清)からどこまで「自立」した国なのかが曖昧(あいまい)だった。平和なあいだはそれでよかったのですが、明治日本が台頭して国際関係のバランスが崩れると、従属なり自立なりの「白黒をはっきりつけろ」という声が各国で高まり、最後は戦争になりました。
――極端なナショナリズムに陥らないためには。
批判する側こそ、しっかりした物語を語ることです。単なる「戦前日本残酷エピソード集」では、「実は日本人はすごかったエピソード集」に、人気や売り上げで勝てないのは当たり前ですから。
そしてその物語が、過去の日本人を「他者化」して非難するのではなく、その過ちや欠点も含めて「自分の」個性なんだなと、思えるものであること。昔は潔癖症的に全面的な正義を要求する左派に対して、国家たるものどこかで傷や汚れを引き受けざるを得ない、と説く役割だったはずの保守派が、いまは「日本だけは完全無欠だ」と叫んでいる。そういう時代だからこそ、どれだけ汚点やみじめさがあったとしても、自分たちの過去を省みて慈しむことができるような自画像を、批判者の方が描いていく必要があると思います。(聞き手・高橋昌宏)
《よなは・じゅん》
1979年生まれ。著書に『中国化する日本』(文芸春秋)など。朝日カルチャーセンター名古屋教室で3月、特別講座「いま、一番新しい日本史」の講師を務める。
慰安婦証言検証に疑問 村山元首相「軍関与明らか」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014022802000136.html?ref=rank
村山富市元首相は二十七日、日本記者クラブで記者会見し、従軍慰安婦問題をめぐり、旧日本軍の関与と強制性を認めた河野洋平官房長官談話について「軍も政府も関係して慰安所をつくった経緯は明らか。強制性の事実はなかったと言って意味があるのか」と、元慰安婦の証言内容を検証する意向を示す政府に疑問を呈した。
村山氏は、河野談話作成の経緯について「慰安婦から聞き取りし、政府関係資料などを調べて総合的につくった」と説明し、妥当だとの考えを示した。
日本の過去の植民地支配と侵略を認めた自身の村山談話については「国際的な約束事になっている。否定するのは無理。(安倍晋三)首相も否定していない」と述べた。
安倍政権の下での日韓関係の悪化については「首脳同士が会うのは簡単ではない。事務レベルで地道な話を積み上げるべきだ」と指摘した。
一樹百穫:バランサーの重み=専門編集委員・松田喬和
http://mainichi.jp/shimen/news/20140225ddm005070066000c.html
中曽根康弘元首相はこう述懐する。「日米首脳の信頼関係は岸信介首相以来の日本外交の基軸だ。私がレーガン米大統領と構築した関係は対韓国・中国外交でも有効だった」。バランサーの重みが増すが、外交は首脳間の信頼関係がポイントだ。
保守と歴史認識:/2 他国批判に「愛国」使うな−−鈴木邦男・「一水会」顧問
毎日新聞 2014年03月01日
http://mainichi.jp/shimen/news/20140301ddm005010125000c.html
東京裁判で裁かれたA級戦犯がまつられている靖国に首相が行くことは、東京裁判そのものを否定することになる。
対中韓関係 嫌だからといって引っ越すことはできないので何とかうまくやっていくしかない。
中国や韓国に意図的にけんかを売って反感を導き出し、求心力を高めようと利用している感じがする。外圧をわざと作り政権の安定を考えているように見えて仕方がない。
他国を批判するために愛国心という言葉を使うのは単なる排外主義だ。日本だって間違いも失敗もあった。でも日本がいとおしいと思うのが愛国心だ。日本には悪いところは一つもないというのは、失敗や暗い面を見る勇気がないだけで、愛国心でもなんでもない。
ネット右翼の人たちなどは、安倍首相だったらいろいろやってくれるだろうと期待している。首相にはいろいろな形でつけ込まれる隙(すき)があるのではないか。不満や恨み、怒りを政権が代弁してくれるという錯覚を持っている国民がいる。それに対して、そういうのはやめろと指摘する野党も左翼もいない。今は一つの方向に向かっている感じだ。愛国心は常識となり、その度合いを競って歯止めがない。憲法改正もエスカレートして、徴兵制だって認める方向になるのではないか。
昔は非武装中立という理想論も語れたが、今はそんな自由はない。現実を見ろと言われ、平和憲法を守ろうという力がなくなりつつある。今の憲法は米国に押し付けられたというのは事実だと思うし、きちんと見直すべきだとは思う。ただ、今の政権で改正すればもっともっと不自由になり、国民を縛る憲法になる。自由のない自主憲法になるよりは、自由のある押し付け憲法の方がいい。形じゃない。
保守と歴史認識:/1 漂流防ぐ安保構想を−−櫻田淳・東洋学園大教授
http://mainichi.jp/shimen/news/20140228ddm005010082000c.html
戦後日本の保守層には、二つの対外政策上の方向性がある。一つは「敗戦国」の境遇を受け入れつつ、国際秩序の現状維持勢力として役割を幅広く果たしていこうという意図。もう一つは「敗戦国」の境遇を汚辱ととらえ、その汚辱をそそごうという意図。つまり日本は「戦勝国」にずっと頭を押さえつけられてきたが、それをどうやって取っ払おうかという意図で、米国や欧州諸国には受け入れられないだろう。安倍首相の政治姿勢における最大の不安は、その二つの意図の「どっちなのか」がはっきりしない点にある。
自由で繁栄した、人権を守る社会を作ろうという戦後日本の方向性を評価し、国際秩序安定の一翼を担うという意思を明確にすべきだ。私は日米同盟を軸に「アジア・太平洋版NATO(北大西洋条約機構)」を結成すべきだと唱えてきたが、日本は米国や豪州、インド、東南アジア諸国などとどのような枠組みを作り、何をするか議論を始めるべきだ。集団的自衛権の行使も憲法改正も、その先の構想があれば「今」は実現に向けた一つの過程になる。しかし、それを考えないなら「今」の意味は一変し、「前後不覚」「右往左往」という漂流と孤立に至る岐路になりかねないと思っている。
格差のブドウ:南ア民主化20年/2 人種「平等」、経済はいつ
http://mainichi.jp/shimen/news/20140228ddm007030165000c.html
米軍が大リストラ、日韓への波紋 編集委員 秋田浩之
2014/2/28 7:00
日本経済新聞 電子版
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2602U_W4A220C1000000/
秋田浩之(あきた・ひろゆき) 87年日本経済新聞社入社。政治部、北京、ワシントン支局などを経て政治部編集委員。著書に「暗流 米中日外交三国志」。
国防予算の削減にあえぐオバマ政権が、米国の新たな大リストラを決めた。安全保障を米軍に大きく頼るアジア各国にとって、人ごとではない。
関連記事 |
・2月26日 日経朝刊7面「陸軍兵力15%削減、米、サイバー・対中国重点」 |
・2月26日 朝日朝刊13面「厳しい米財政、陸軍削減」 |
・2月26日 産経朝刊2面「米陸軍、戦後最小に」 |
大リストラ案は、ヘーゲル国防長官が24日の記者会見で明らかにした。それによると、いちばん縮小されるのは陸軍。いま約52万人の兵力を約15%削り、44万~45万人にする。
■第2次大戦参戦以降、いちばん少ない兵力に
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これによって、第2次世界大戦に米軍が参戦した1941年以降、陸軍はいちばん少ない兵力になるという。「現在の陸軍の規模は、予算でまかなえるよりも大きい」。ヘーゲル氏は大なたを振るう理由をこう語った。
現在、米国の国防予算は5千億ドル弱(50兆円強)。日本の防衛予算のざっと10倍もある。だが、財政難から、向こう10年間で最大約1兆ドル(約100兆円)の削減を強いられかねない状況になっている。
そこで大なたを振るうことになったのが、陸軍というわけだ。アフガニスタンとイラクでの戦争を終え、地上部隊を減らしても大丈夫という判断が働いた。その代わりに、対テロ戦に欠かせない特殊部隊やサイバー対策は強化するとしている。
24日、米国防総省で記者会見するヘーゲル国防長官=AP
気がかりなのが、アジア太平洋への影響だ。ヘーゲル氏はこの地域を重視するオバマ政権の路線は変わらないと約束。アジアへの兵力の傾斜を続けると表明した。中国による急速な軍備増強が念頭にあるのは言うまでもない。
それを裏付けるように今回、アジア太平洋で主役を担う海空軍力は大きな削減を免れた。オバマ政権はかねて、この地域に海軍艦船の6割を振り向けると宣言しており、この路線も変わらないとみられる。
だが、アジア太平洋への影響が皆無かといえば、そうとは言い切れない。国防総省の戦略に通じた元米政府高官は指摘する。
■韓国軍が担う役割大きく
「(米陸軍が削減される結果、)朝鮮半島で紛争が起きたとき、韓国軍が担う役割はさらに増えるだろう」
安全保障情報を提供しているサイト「グローバル・セキュリティー」によると、在韓米軍の規模は約3万1千人。この主力は、北朝鮮の侵攻にそなえた陸上部隊だ。今回の削減に在韓米軍が含まれるかどうかは公表されていないが、影響を受けるかもしれない。
北朝鮮の脅威は依然、深刻だ。北朝鮮内では権力闘争が激しくなっており、内部の矛盾から目をそらすために新たな軍事挑発に出るとの見方もある。米国はその点、どうみているのか。
「北朝鮮軍の通常兵力は大きく弱まっている。通常兵力だけの戦いなら、米陸軍に頼らなくても、韓国軍だけでかなり、対処できるようになりつつある。米国にとって重要な役割は核抑止力を維持し、北朝鮮に核の使用を思いとどまらせることだ」
アジア情勢に詳しい米安全保障専門家はこう解説する。
日本に駐留している米陸軍は2千人台で、在日米軍全体の1割にも満たない。ただ、朝鮮半島が不安定になれば、日本にも火の粉が飛んでくる。いざというとき日米韓で連携できるようにするためにも、冷え込んだ日韓関係を改善しておく必要がある。
メド立たぬ日韓首脳対話、米で浮上する次善の策
ワシントン支局 矢沢俊樹
2014/2/28 7:00
「実現可能性は10%以下だろう」。ワシントン在住の韓国政府関係者がため息をもらす。安倍政権は日韓関係の膠着打開に向け、3月にも朴槿恵(パク・クネ)大統領に首脳会談に応じるよう呼びかけを始めた。「様々な問題があるからこそ首脳同士の意思疎通が大事」(菅義偉官房長官)。日本側は、両首脳が出席を予定する3月のオランダでの核安全保障サミットを念頭に置く。「6月初旬には韓国統一地方選があるが、朴大統領がわざわざ反日感情をあおり立てるようなことはしない」との声もあるものの、全体としては米で見る韓国側の反応は相当厳しい。
米ホワイトハウス関係者も、3月の日韓首脳会談実現については「とても楽観的にはなれない」と漏らす。米側は日中韓の関係改善は「仲介はしない」(国務省高官)として、3カ国間の努力を促す姿勢を示すが、現状のままでは米のアジア重視戦略も打撃を被る。実際には昨年12月の安倍晋三首相の靖国神社参拝後、内々に3カ国との間を様々に取り持つ形で緊密な折衝を進めている。
米側では、日中韓首脳会談で持ち回りの議長国を今年務める日本が、今春にも両国に早期の3カ国会談開催を呼びかけるシナリオも一時取り沙汰された。ただ、これも中国は首脳会談を拒否しており、早期実現は困難な情勢とみられる。会談を設定できなければ、日中韓首脳がそろいそうな主要外交イベントが今秋に北京で開く予定のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議あたりまで見あたらなくなるとの声もあり、関係者の焦りは濃い。
韓国の朴大統領=ロイター
安倍首相
中国の習近平主席=ロイター
オバマ米大統領=AP
節目となる日程は4月22日から1泊2日の日程を予定するオバマ米大統領の訪日だ。韓国側の強い意向を踏まえオバマ大統領は日本に続き韓国にも訪れる予定で、米側は大統領訪日前の日韓関係改善の糸口を探るよう強く迫っている。
残り約2カ月という厳しい時間的制約の中で迫られる、綱渡りの韓国との調整。「日韓では気候変動など、まず実務者レベルで幅広い懸案を話し合う枠組みを立ち上げることも考えられる」。複数の米外交筋によると、今月7日にワシントンでケリー国務長官との会談に臨んだ岸田文雄外相はこんな考えを米側に明かしたようだ。
首脳会談のメドが立たなければ、高級事務レベルで地球温暖化や幅広い技術協力などを取り上げる。従軍慰安婦など歴史問題の機微には直接触れずに、「比較的話しやすい」(米政府関係者)テーマを俎上(そじょう)にのせ、ボトムアップで雪解けの機をうかがう構想だ。膠着を懸念する米側も基本的に歓迎だ。外務省の伊原純一アジア大洋州局長は先に韓国を訪問し、同国外務省の李相徳(イ・サンドク)東北アジア局長と会談した。日米外交当局が腐心する様々な「次善の策」に韓国側が応じるのかどうか。駆け引きは静かに熱を帯びている。
中国共産党、自由主義学者を次々に弾圧
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2602L_W4A220C1000000/
中国の教育機関の中でも、北京大学はトップクラスに位置する。モットーとして「思想の自由と許容的姿勢」を掲げる。だがこの数カ月、同大学は経済学教授である夏業良氏に対し、それほど「許容的」な態度を取ってこなかった。同氏を解雇したのである。
言論・発表の自由を訴える民主主義推進者ら。参加者の人数について、主催者は6000人としたが、警察は最大で1600人だったと発表した(23日、香港)=ロイター
声高に意見を述べる夏氏がバッサリと「斬って」きたテーマは、経済学とは別のものだった。中国の大幅な民主化を求めた2008年の「08憲章」の署名者となったほか、政治に関するリベラルな論調で知られている(この憲章の署名者には、2010年にノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏もいる。同氏は国家政権転覆扇動罪で11年の懲役刑に処され、現在服役中である)。
■学校でリベラルなテーマを扱えない
夏氏は教授としての資質不足を理由に昨年10月に解雇された。その後、中国国内では新たな勤務先を見つけることができず、今月から米国ワシントンDCにあるシンクタンクのケイトー研究所で客員研究員となっている。
夏氏の解雇は自由思想を持つインテリ層への締め付け強化策の一環である。12月には、中国は憲政を行うべきだとする一連の論文を発表した法学者の張雪忠氏が上海華東政法大学での職を追われた。中国の報道機関は憲政を求める動きを「共産党の転覆を狙う欧米の陰謀」と呼んでいる。
また同月、西安にある西北政法大学の諶洪果・副教授が辞職した。同大学は同副教授が企画したジョン・スチュアート・ミルなど西洋の哲学者の著書を読み議論するイベントに介入し、難色を示していた。
中国が近代化を進めてきた結果、学生たちはかつてないほど社会的・経済的な自由を手にしてきた。そして、欧米社会から影響を受けるようになった。よほどデリケートな事柄でない限り、彼らはあらゆることをツイッターで自由につぶやき、ブログに書きつづり、語っている。そうした背景があるため、教授陣に対する今回の締め付けはますます異色なものに映る。
中国共産党は、自らが支配力を失いつつあるという懸念から、学校でリベラルなテーマを扱うことを禁じる複数の政治命令を出している。夏氏はこう語る。「党総書記の座に就いて以来、習近平氏は毛沢東氏の手法にならって全権を手中に収めようとしている。わが国にとってこれは大きな後退だ」。
■少数民族の独立運動にも深い懸念
少数民族出身の活動家も、党による取り締まりの標的となっている。今年1月15日、北京の中央民族大学の経済学者イルハム・トフティ氏が身柄を拘束された。同氏は中国北西部に居住するイスラム少数民族、ウイグル族の出身だ。多くのウイグル人は、自分たちの土地が中国によって占領されていると考えている。当局はトフティ氏が分離独立主義的な思想を広め、民族間の憎悪をあおったとしている。
去年7月、北京の自宅でインタビューに応じた経済学者のトフティ氏。今年1月、自宅から連行された=AP
米国政府が出資するラジオネットワーク「ラジオ・フリー・アジア」が、トフティ氏が拘束される前に収録した同氏のインタビューを2月7日に放送した。その中で同氏はテロ組織との関与を否定し、不安な心中を語り、もしも自分が拘束されたらこのインタビューを公開してほしいと発言している。
また、「自分を監視する警官の数が少しずつ増えている」「中国政府は今度こそ私を始末しようとしているに違いない」などと話した。そして、自分はただウイグル族の人権、法的権利、平等を求めて活動してきただけだと述べている。
法学者の張氏は、自分の解雇は当局による威嚇戦略によるものだと考えている。そして、国民の日常と政治との間にある隔たりが広がるにつれ、長期的にはこういった戦略は失敗すると見ている。「これから立ち上がろうとしている人々が数多くいる今、こうした取り締まりは国民の怒りを買うだけだ」と。
それはそうかもしれない。だが今のところ、少なくとも表面上は共産党がすべてを支配しているように思える。
(2014年2月15日付 英エコノミスト誌)
(c)2013 The Economist Newspaper Limited. Feb 15th 2014 All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、日本経済新聞がライセンス契約に基づき掲載したものです。(翻訳協力 日経ビジネス)
フェイスブックに2兆円で買われた男 波乱の半生
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2500L_V20C14A2000000/
食卓に異変 サケ36年ぶり高騰、白菜16%高
1月、海外の供給減や国内の大雪響く
http://www.nikkei.com/markets/features/13.aspx?g=DGXNASFS28026_28022014000000
2014/2/28 15:19
サケの価格は1月25.3%高と、約36年ぶりの大きな上昇幅となった(都内の小売店)
日常の食卓に上る機会が多い食材の値上がりが目立っている。総務省が28日に発表した1月の消費者物価指数(CPI、2010年=100)によると、銀ザケやトラウトサーモンなどを含む「さけ」の価格は1月に前年同月比25.3%上昇し、1978年3月に29.3%上がって以来、約36年ぶりの大きな上昇を記録した。野菜でも、鍋物などで冬場に食卓に上る機会が増える白菜が16.1%上がるなど、身近な食品に物価上昇の影響が広がってきた。
今月大きく上がったさけは、国内産のほか、チリ産やノルウェーなど海外の養殖場で大量に生産され、国内に輸入されてくる輸入品が半数以上を占める。多くの産地があり、年間を通じた供給が可能なため、通常ならば季節や気候などで漁獲高が変動する魚に比べて価格が安定している。これまでスーパーの切り身魚コーナーでサケが常連だったのはこうした供給・価格の安定性が大きな理由の1つだった。
鍋物の定番である白菜は1月16.1%高。大雪の影響が出た
ここ最近のさけの価格高騰は、安定してきた供給体制に異変が起きていることが理由だ。水産大手のマルハニチロホールディングスによると、「サケの最大供給地であるチリの養殖業者が先行きの値上がりを見込んで銀ザケの供給を絞り込んでいる」という。加えて、サケの一種であるトラウトサーモンに疫病が発生し、サケ類全般の供給が急激に減ってしまったことが価格高騰に拍車をかけたという。こうした事態で「日本の卸業者などは在庫がすっからかん。アラスカ産サケが漁獲される年半ばまで値上がりが続く可能性もある」(マルハニチロ)との声も出てきた。
一方、白菜などの野菜は気候によって価格が大きく動くため、値上がりしてもあまり長引かないことが多い。ただ、全国の物価の動きに先行する東京都区部の2月中旬速報値では、白菜は14.4%上昇と前月に引き続き上がった。総務省は「2月に全国的に降った大雪の影響が出ている」と指摘している。東京都では白菜だけでなく、ネギも2月に18.7%上がっている。こうした影響は、翌月公表となる2月の全国の指数にも波及しそうだ。
消費増税前の駆け込みで、耐久消費財などの臨時出費が増えてきた世帯も多い。身近な食の価格高騰は、家計に思わぬ打撃を与えそうだ。(浜美佐)
02/28 【記者の目】ビキニ被ばく60年 築地跡地に残せマグロ塚
1954年3月16日、東京・築地市場で第五福竜丸から水揚げされたマグロの放射能測定
◆悲劇後世へ伝えるために
東京都中央区の築地市場正面入り口脇の壁にマグロの絵が描かれた一枚のステンレス製プレートが埋め込まれている。1954年3月1日の米国のビキニ水爆実験で放射能汚染されたマグロの投棄場所を示す案内板だ。
第五福竜丸の元乗組員大石又七(おおいし・またしち)さん(80)がマグロを弔うため99年に「マグロ塚」を造ったが、築地市場は移転計画中だったのでプレートだけを設置し、石碑は江東区夢の島にある福竜丸展示館の庭に置かれている。
重さ2トンの緑がかった石は海の青さと太平洋の荒波を想像させるが、マグロ塚と彫った大石さんの文字に核廃絶への強い意志を感じる。
米の水爆ブラボーの威力は広島に落とされた原爆約千発分に相当し、福竜丸をはじめ南太平洋で操業中の日本漁船延べ約千隻が死の灰にさらされた。その船が日本に持ち帰ったマグロ457トンが築地市場の片隅に埋められた。
水爆マグロの扱いをめぐり日本国内は当時大変な騒ぎになったが、厳格な放射能検査が行われた背景には、マグロが缶詰の原料として米国へ輸出されていたという事情もあった。
ビキニ事件は発生から10カ月後に米国が日本に7億2千万円(当時)の見舞金と原子力技術を供与する形で政治決着。責任を不問にしたのは敗戦国の悲しい現実であろう。厚生省(同)は検査を打ち切り、マグロパニックは終息したが、米は56年に核実験を再開、汚染マグロがその後も市場流通を続けていた事実は知られていない。
「ビキニ事件の深刻さは被ばくマグロに象徴される。平和への道しるべにしたい」として大石さんはマグロ塚の建立を考えて全国に10円募金を呼びかけ、子供たちから寄せられた300万円を使って石碑を完成させた。
大石さんは各地の学校などで700回以上の講演を続けてきたが、2年前に脳出血で倒れた。リハビリに励み、体調は万全でないながらも今月26日、マーシャル共和国の首都マジュロへ入った。
ビキニ被災60年集会に出席して南太平洋の島民と交流するためで、「核の恐ろしさを若い人に伝えていきたい」と、日本を出発前に話していた。
東京電力の福島原発事故につながる日本の原子力開発はビキニ事件をめぐる米国との政治的取引の中から始まった。「情報を隠し、責任をあいまいにする。ビキニの事件処理はすべて福島の事故へつながっている」と大石さんは訴える。
築地市場は2年後に豊洲への移転が正式に決まったが、その跡地にはマグロ塚をきちっと残してほしい。ビキニの悲劇を後世に語り伝えるためにも。それは世界一のマグロ消費国日本の責務でもある。(共同通信編集委員・上野敏彦)
2/28
検問「ここから先撃たれるぞ」 クリミア半島に記者入る
ロシアへの帰属を求める動きが強まるウクライナ南部クリミア半島のクリミア自治共和国。駐留ロシア軍の基地がある南部セバストポリでは空港が封鎖され、軍車両がひっきりなしに行き交っていた。
1日、首都シンフェロポリから南西へ約120キロの沿岸部セバストポリへ向かった。ぶどう畑が広がる田園地帯を貫く幹線道路を進むと、ロシア国旗を掲げた検問所が突然現れた。「ここはロシアだ」と書いた横断幕が張られている。
検問所を運営しているのは親ロシア派の市民だ。4日前からテントを張って寝泊まりしながら検問を続けているという。「キエフのファシストからクリミアを守らなければならない」。運転手のバシリ・ブシュコさん(42)は話す。武装はしていないが、「何かあれば、15分以内に武器を持った人々が来る」。ロシア軍と協力しているのかと聞くと「自主的にやっており、誰とも協力していない」と否定した。
ベルベク空港付近の道路には別の検問所があった。3台の乗用車や金属棒で封鎖されている。道路の先にはロシア黒海艦隊の基地があるという。「ここから先へ入ると撃たれるぞ」。検問で見張りを続けるウラジーミル・ビノグラドフさん(56)に忠告された。腕にはオレンジと黒のしまのリボンを巻いている。過去の戦争でのロシアの勝利を象徴しているという。
その100メートルほど先に軍車両と約10人の武装した兵士が見えた。所属を示す腕章は着けていない。幹線道路をカーキ色の軍車両がひっきりなしに通り過ぎた。
一方、シンフェロポリの議会庁舎にもロシア国旗が掲げられ、武装集団が占拠している。庁舎へ続く道は閉鎖され、銃を持った兵士が警戒にあたっていた。発足したばかりのウクライナ新政権は、ロシアによる露骨な挑発とみる。アバコフ内相は2月28日、同艦隊の部隊が半島内の2空港や幹線道路に展開したと批判。トゥルチノフ大統領代行も、「ロシアがクリミアに軍を送った」と強く批判。「(ロシアの)プーチン大統領に、挑発をやめてクリミアから軍を撤退させるよう強く求める」と話した。(セバストポリ=山尾有紀恵)
(インタビュー)「平和と繁栄」の後で シカゴ大名誉教授ノーマ・フィールドさん
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11005077.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11005077
日本社会はどこへ行こうとしているのか。日米双方の心と言葉で語り続ける研究者は、胸を痛めていた。戦後の繁栄が過去のものとなり、さらに平和すら手放そうとしているのでは……。第2次大戦直後の東京で生まれ、米シカゴで暮らすノーマ・フィールドさんの目に映る日本の風景を、そっとのぞいた。
――二つの国の間で「宙づりになっている」と、著書「天皇の逝く国で」に書かれていますが、その日米両国の今をどう見ていますか。
「米国生活が長くなりましたが、この国の政治のひどさが身に染みるようになりました。オバマ大統領に期待しただけ余計にそう感じます。日本も、米国流の格差社会に追いつけ、追い越せといわんばかりですね。日本社会がかろうじて残してきたものが壊されていると思うと、いたたまれません」
――居場所がなくなるという感覚でしょうか。
「いえ、そんなことはありません。同僚の大学教員たちは、ひどい政治家が大統領になったら米国を脱出するよ、などと言いますが、大学があるシカゴのサウスサイドに住む貧困層の人たちは、国が嫌になったら国外に出る、なんてことはできない。逃げたくても逃げられない人たちがいるのです。余裕があるから『国を捨てる』などと言える。運命を共にするというと大げさですが、軽口はたたかないと決めました」
「一方、日本は何年たっても『帰る』という感覚なんです。大切な人がたくさんいるから。でも、このままいくと、いずれ帰れなくなるのでは、という恐れも感じます。私は父親が米国人、母親が日本人の日本生まれで、当時の国籍条項では米国籍しか得られなかった。今の状況が続くと、最悪の場合はビザがおりなくなることもあるように思えて」
――日本での原点は何ですか。
「団塊の世代の66歳ですから、私の原体験は質素な日本なのですが、そこには戦争が終わった解放感が確かにありました。『めだかの学校』に歌われてるような、誰が生徒か先生か分からない、そんな空気です。空襲で防空壕(ごう)に逃げなくてもよくなったという喜びは、たびたび母に聞かされました。あの感覚が日本では次第に薄れているのを感じます」
――確かに、戦後的なものが急速に崩れてきています。
「知人によると、日本のある小学校での講演で『平和』という言葉を使わないように言われたそうです。プロレタリア文学を研究していると戦前の伏せ字を扱いますが、戦前、戦中に平和は『××』とされたことが多かった。いまや、戦後と地続きではなくなったというか、敗戦直後に日本人が真剣に議論したことがゼロになりつつあるように思います。安倍首相も靖国神社参拝を強行しました。米国従属から一歩踏み出ようとしているのでしょうか。米国を中心とした考え方が良いとは思いませんが、大国の制止も気にしないような空気が漂いつつある。それは非常に怖いですね」
「いわゆる『普通の国』イコール戦争ができる国ということなのでしょう。戦争になって最初に犠牲になるのは、若くて生活に困っている層だということは米国の歴史が証明しています。東京都知事選の結果からは、そんな若い人たちも『強い国』を主張する田母神俊雄さんに投票したように見えます。最初に戦場に出る若者が右傾化を支持する。それは、近代史の忌まわしいパターンの一つだと思います」
――今の若者は「戦争を知らない子どもたち」ではなく、「戦後を知らない子どもたち」ですね。
■ ■
「戦後を知らないし、バブルの頃すら知らない世代です。自分たちに戦後民主主義と繁栄の恩恵がもたらされているとは感じられないのだと思います。細川護熙さんは都知事選立候補の会見で『腹七分目の豊かさでよしとする成熟社会を』と語りました。就職できない若い人たちはこれをどう感じるだろうか、と日本の知人が心配していました。細川さんの考えが間違っているとは思いません。でも、その言葉が届かない」
「2000年に発行した『祖母のくに』の中の論考で『繁栄感覚が希薄になったとき、その代わりに何が出てくるのか』と書きました。それがいよいよ現実になってきたのを感じます。まず繁栄がなくなり、そして、平和すら犠牲にしようという流れになっている。8月15日に『平和と繁栄』とだけ唱え続けてきた欺瞞(ぎまん)はずっと気になっていましたが、今聞くと懐かしくすらあります」
――経済の衰退が人々の意識を変えていく、ということですか。
「経済的に一番弱い立場に置かれる人は、自分の生命さえ犠牲にしないといけないようになります。私は『生活と生命の乖離(かいり)』と呼んでいますが、明日の生活のために5年先、10年先の命を顧みられなくなる。マイケル・ムーア監督の映画『シッコ』で、トニー・ベンという英国労働党の政治家がこう語っています。人が押しつぶされそうになっている状態というのは、支配層にとって、とても都合がいい、と。『戦争ができる国』にしようとしている政治家を若い世代が支持するのは、まさに生活と生命の乖離だと思います」
――「生活と生命の乖離」の例は、ほかにもありそうですね。
「ええ、これは格差にあえぐ若い世代に限りません。広い意味では、原発を誘致した地域や原発作業員にも当てはまる。生活のために自分の存在自体を懸けなければいけない構図はいたるところにあります。細川さんの文明論は、明日がどうなるか分からない人には、抽象的でぜいたくなものに聞こえたかもしれませんが、この乖離を乗り越えようと言っていたようにも思えます」
「原発に反対しようとするなら、反対できない人々のことを考えなければいけないと思います。選択肢がない人は情報すら欲しくなくなる傾向があります。さらに心配の種になるからです。そういう意味では今後、現実を伝える言葉すらタブー視されるのではないでしょうか」
――戦後の繁栄と平和を知らない世代に届く言葉を、どう紡ぎ出せばいいでしょうか。
■ ■
「都知事選では、宇都宮健児さんも若者の支持率が高かった。田母神さんと宇都宮さんの若い支持層は逆の方向を向いているように見えるけれど、実は同じ層から来ているのではないでしょうか。希望を託す先が違うだけで。この双方の若者層に、時代のしわ寄せをすべて負わされている『我々』という意識が生まれたら、可能性があるとも思います」
「小林多喜二は、『中央公論』で『党生活者』という作品を書いています。舞台は満州事変後で、軍事産業の景気が良くなり、工場がガスマスク製造を始めるために臨時工を雇います。戦争のために臨時工が職にありつき、一生懸命働いたら正社員になれるかも、と考えて働きます。そこで、運動家たちが臨時工と普通工の共闘を仕掛けようとするのです。劣悪な労働条件を改善すると同時に、臨時工の雇用をもたらす戦争にも反対しようとする。戦争が始まった状況で、それでもこんなことを目指していたのがすごい」
「08年の『蟹工船』ブームの際には、物語を現代にあてはめても、非正規労働者と正社員は一緒に闘えないだろうと繰り返し指摘されました。そこをどう橋渡しするか。多喜二の作品でも結局は失敗しますが、その失敗を丁寧に描いている。だから次があると感じられます」
■ ■
――どこに希望を見ますか。
「私は『希望派』ではないんです。自分が実感できない希望を、自分が信じていないものを、人に伝えることはできません。一方で、希望と聞くと、先日亡くなったフォーク歌手のピート・シーガーを連想します。シーガーは、決して諦めない人でした。どんな場で音楽を奏でても、聴衆との関係を作り上げ、全員を参加させる。体を使って模索する行為自体が希望だという気がします。結果よりプロセスを重視するということでしょうか」
――希望は見えにくいけれど、諦めない、と。
「井上ひさしさんは多喜二を描いた戯曲『組曲虐殺』で『絶望するには、いい人が多すぎる。希望を持つには、悪いやつが多すぎる』というセリフを主人公に託しています。いとおしく思う人や譲れない理念があるからこそ、愛情と共に怒りが生まれる。私にとって怒りは原動力です。これほど人間を馬鹿にした政治を押し通すなんて、放っておけるものか、と考えています。希望とは、外にあって元気づけられるものではなく、主体的に作り上げるものではないですか」
*
Norma Field 47年東京生まれ。65年に渡米。シカゴ大教授として日本文学・文化を教えた。源氏物語や小林多喜二の研究で知られる。
<取材を終えて>
ふと振り返って、ずいぶん遠くに来てしまったことに気付く。ノーマ・フィールドさんの言葉を咀嚼(そしゃく)しながら、そんな思いにとらわれた。自身の一部である日本社会に対して、彼女の思索は厳しく、そして温かい。戦後の繁栄と平和はすでに過去のものである。そんな覚悟から始めなければ、新たな希望は生まれない。(ニューヨーク支局長・真鍋弘樹)
(インタビュー)米国から見る安倍政権1年 米国在住の作家・冷泉彰彦さん
http://www.asahi.com/articles/DA3S10990455.html
https://twitter.com/HirokiManabe
政権が発足して1年が過ぎ、靖国神社参拝や中韓両国に関する言動から、安倍晋三首相の目指すものへの懐疑と警戒が欧米でも強まっている。政権再交代から間もない昨年1月、この欄でインタビューした在米作家の冷泉彰彦さんに再び聞いた。首相の振る舞い、そして首相を支える日本の民意は、「米国の目」にどう映っているのか。
――昨年1月のインタビューで、安倍政権に対して米政権は「わかりにくさ」を感じていると指摘されていました。米国は現在の安倍政権をどう見ているのでしょうか。
「靖国参拝と国家主義的な言動に対する危機感が、日本では薄すぎます。ダボス会議の発言を報じた欧米メディアを見ると、安倍首相への印象がかなり悪化していることが分かる。ロイター通信の社長が自ら書いた記事では、中国政府高官の『安倍首相はトラブルメーカー』という発言が紹介されています。引用とはいえ、安倍首相こそが『面倒を起こす人』という含意が感じられます」
「CNNの単独インタビューでも安倍首相は『習近平政権だけではなく、過去20年、中国はずっと拡張主義だった』と答えた。これでは、中国と関係修復するつもりがあるのかと受け止められる。こんな報道が象徴しているように、安倍政権は一つのイメージにはまり込みつつある。それがどれほど日本の国益を損なうか、分かっているのでしょうか」
――国益を損なうほどですか。
「安倍首相は『(日本の)民主党政権が日米関係を悪くした』と言っていますが、逆です。米国にとって安倍首相への懸念は大きく言って3点あります。まず、日韓関係がこれほど険悪だと、米国の行動を制約する。北朝鮮情勢に対する情報交換や態勢作りで日韓が一枚岩になれないのは、米国にとって大きなリスクです。もし北朝鮮が明日にでも政権崩壊したら、どうするのかと」
「二つ目は、経済への波及です。先日、ニューヨーク・タイムズ紙の経済欄に『アジア経済の最大のリスクは日中関係だ』という記事が載りました。中国がくしゃみをすれば世界が肺炎になりかねない今、もし日中関係の悪化が何らかの形で中国経済の足を引っ張り、アジア発の世界的株安が起きたら、その原因は安倍首相だと言われかねない。国家主義イデオロギーを求心力に使いつつ、リベラル的な経済政策をするアベノミクスは、分かりにくいながらも評価されていました。しかし、中国との関係悪化が株安の引き金を引いたら、世界は許さないでしょう」
「三つ目は米中関係に対する悪影響です。この2大国の関係は一筋縄ではいかない繊細な代物です。米国は中国の様々なことが気に入らないし、価値観もまるで違うが、我慢している。貿易相手及び国債引き受け手として共存共栄を目指すしかないからです。なのに、安倍首相の無分別な言動が微妙な均衡を狂わせ、米国の国益を左右している。日本人が想像する以上に米国にとって中国は難しい存在です。その遠くて近い距離感を何とかしのいで中国と付き合っているのに、安倍政権は無頓着過ぎる。これでは逆に中国の改革を遅らせてしまう、とオバマ大統領は思っているでしょう」
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――中国の改革を遅らせる?
「そうです。米国は中国に硬軟合わせたメッセージを送り、国際的ルールにのっとるよう促しています。軍事的膨張を牽制(けんせい)し、より開かれた社会と政治体制に軟着陸させようというのが米国の国家意思です。しかし、パートナーである日本が、中国を刺激し、こともあろうに連合国、第2次大戦戦勝国側のレガシー(遺産)を利用させるような事態となっています」
――「遺産」とは何ですか。
「対日戦では多くの米国民の血が流れましたが、その結果、日本は民主化し、日米が共存共栄する平和な太平洋が実現した。ジョン・ダワー氏の言うように、日本は『敗北を抱きしめて』まともな国になったはずでした。ところが戦後70年近く経つ今、中国に『日本は戦後の国際秩序に反している』などと言わせる隙を作っている。米国が主導して作り上げた戦後の国際秩序だというのに、後から入ってきた中国の共産党政権が主役面して正義を名乗るなど、米国政府は許し難いはずです」
「ただ、米政府は、安倍首相自身が戦後の国際秩序に真剣に反抗しようとしているとは思っていないでしょう。A級戦犯が合祀(ごうし)されている神社に参拝するのは、そこまで考えた上でのことではなく、単に無思慮な行為だと理解していると思います」
――靖国参拝に「失望した」という米政府のコメントで、米大使館のフェイスブックが炎上しました。
「安倍首相は反米に傾く人たちに支持されていると見られかねないでしょうね。実際、ネット右翼的な人たちの間では中韓だけでなく、米国も気に入らないという雰囲気が生まれている。堂々と孤立の道を歩め、というような。安倍首相はそんな支持層に引きずられるところがあり、日米関係の資産を過去半世紀なかったような形で傷つけています」
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――なぜ、こんな雰囲気が出てきたのだと思いますか。
「市場がグローバル化し、国際化していることの副作用という面は否めないと思います。言語、文化、価値観などで国際化に伴う軋轢(あつれき)が日本社会に押し寄せており、適応する努力が求められている。その反発として、国内にとどまる方が安心だという感情が生まれ、同時に、第2次大戦で悪者となった過去をひっくり返して、国際化への不適応を帳消しにしようとする精神的な作用が出てきたのでしょう。安倍首相自身はそんな自己省察はしていないでしょうが、似たような心性を持った人から支持され、吸い寄せられてしまう」
「さらに戦後日本の文化的、思想的エスタブリッシュメントだったリベラル系の人々への反発という感情もあるでしょう。知性とされてきた側を引きずり落としたい衝動、反知性主義とも言える。この日本的な左右対立は、米国の『大きな政府と小さな政府』や『宗教右派とリベラル』の対立よりも、なぜか先鋭的になっている。社会的な意味合いは小さいにもかかわらず、個人的な、心理的な経験として対立が激化しているのがやっかいなところです」
「人口減や一部の産業の国際競争力の低下からくる閉塞(へいそく)感に対し、イデオロギーのゲームでうっぷんを解消しているとも言えます。例えば、過剰な反原発感情もそうでしょう。大切な問題ではありますが、必要以上に大きく語られ、人口減少や産業競争力低下といった日本の根源的問題が避けられている。リベラル側から社会全体の行き詰まりを解消する処方箋(せん)を出せていないのも確かです。議論が粗雑になった責任の一端は、(日本の)民主党にあります」
――右が靖国、左が反原発に向かうならば、真ん中は?
「中間的な層が実は多数派ですが、この真ん中はいわゆるノンポリなんです。価値判断など面倒なことにかかわりたくないという巨大な空白があるんですね。是々非々で判断する中間層というのが日本にはない。ふわっとしたノンポリという立場があり、それが巨大なのです」
「日本の教育には決定的に欠けていることがあります。社会、政治問題について『自分の意見を持つことの重要さ』を教えないということです。自分の中に核になる考え、抽象的な原理原則を持ち、それに基づいて政策への賛否を決めるという当たり前のことを、公教育で一切教えていない。大きな問題です」
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――政治への根本的な無関心が、今の状況を生んでいるのですか。
「具体的な政策が、自分の境遇にダイレクトに跳ね返ってくる感覚が薄いのも確かです。税負担感と、大きな政府、小さな政府といった政策の選択肢が関連づけられていない。財政難でも歳出を絞らない国の赤字体質と、有権者のお上任せ体質の双方が関係するのでしょう。先への不安感だけはみんな持っているが、それぞれの政治への関心は分断されている。ばらばらになった個人は精神的に不安定になり、国家に依拠し、政治参加に刹那(せつな)的な楽しみを見いだすだけになってしまう」
――このままでは日本はどうなるのでしょうか。
「そう簡単に、日米同盟は崩壊しないでしょう。安倍首相の一連の言動によって日米関係が決定的に悪くなることはない。ですが、衰退と孤立化を早めることにはつながります。日本は突然破綻(はたん)するのではなく、時間をかけて衰退するだろう、と知人の金融関係者が言っていました。崩壊前に逃げられると思っているから、まだ日本に投資する人がいる、というのです」
*
れいぜいあきひこ 米国在住の作家・ジャーナリスト 59年生まれ。米コロンビア大学院修了。渡米して約20年、ニュージャージー州プリンストンから日本と米国の今を観察している。
<取材を終えて>
日本を離れているから見えるものがある。祖国への愛着と同時に、外部から観察する冷徹な目を併せ持つことで、国内では見えにくい、見たくないものが浮かぶ。それを冷泉さんは巧みに言葉に乗せる。安倍政権に対する海外の視線は冷え込み始めている。冷泉さんが語る仮借ない現状認識に、反論できないのが切ない。
(ニューヨーク支局長・真鍋弘樹)
JR福知山線脱線:「組織罰」勉強会、遺族らが初会合 /大阪
http://mainichi.jp/area/osaka/news/20140302ddlk27040373000c.html
JR福知山線脱線事故の遺族らが事故を起こした企業への処罰を研究するために作った「組織罰を考える勉強会」の第1回会合が1日、高槻市の関西大高槻ミューズキャンパスで開かれた。遺族ら13人が参加し、組織罰に詳しい同志社大の川崎友巳教授が日本の法律の現状や海外で導入されている組織罰の仕組みを説明した。
川崎教授は、刑法に組織を罰する規定はないが、罰則がある日本の約1000の法律のうち、個人と共に組織の責任を問う両罰規定があるものが600以上あることを紹介。「刑法に組織罰を導入することは可能だ」と説明した。また、刑法が2000年以降、度々改正されていることにも触れ、「被害者の生の声が大きく影響する時代になっている」と話した。
会合後、次男昌毅さん(当時18歳)を亡くした上田弘志さん(59)=同=は「企業にプレッシャーを与え、大きな事故が起きないように抑止するためにも法人罰は必要だ」と話した。次回は5月に開催する。
「歴史認識変わらない」 河野談話で岸田外相
【ジャカルタ共同】インドネシア訪問中の岸田文雄外相は1日(日本時間同)、韓国の朴槿恵大統領が、従軍慰安婦問題をめぐる河野洋平官房長官談話の作成経緯を検証する日本政府方針をけん制したことに関し「日本の外交姿勢、歴史認識は変わりない」と述べ、談話見直しにはつながらないとの認識を示した。
パレスチナ支援を協議する閣僚会合に出席するため訪れたインドネシア・ジャカルタで記者団の質問に答えた。
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