環境NPOが告発
全国で次々とすすむ石炭火力発電所の新規建設計画が計48基(2350万キロワット)に上り、これらが全て稼働した場合、推計で年間約1億4100万トンの二酸化炭素(CO2)が排出されることが、26日までに分かりました。「脱炭素」に向かう世界の潮流に逆行するものです。 (野村説)1998年の設立から石炭火力発電の動向を注視してきた環境NPO(非営利法人)「気候ネットワーク」が、一目でわかる「石炭発電所新設ウオッチ」をホームページで公開しています。
建設計画は、とりわけ福島県や兵庫県、東京湾に集中しています。神戸製鋼神戸製鉄所が神戸市灘区の溶鉱炉跡地に建設を計画する130万キロワット(65万キロワット×2基)の石炭火力発電所もそのうちのひとつ。同発電所から20キロ圏には約4900人の大気汚染の公害病患者が住んでいます。
「神戸公害患者と家族の会」の川野達雄会長(65)は、高度成長期にもたらされた工場からのばい煙や自動車排ガスによって、15歳からぜん息に苦しんできました。「吸入や静脈注射で一時しのぎはするものの、一日中、呼吸困難に悩まされ、仕事も辞めざるをえなかった」と話します。
川野さんは、今月末から始まる気候変動対策の国連会議COP21を前に、「石炭を燃やせばCO2だけでなく、人体に有害な化合物や水銀も排出される。新たな石炭火力発電所をつくらせないために、いま反対の声を強めなければ」と話します。
「石炭発電所新設ウオッチ」